日々コウジ中

日々コウジ中 - クモ膜下出血により、さまざまな脳の機能不全を抱える“高次脳機能障害”になったコウジさんを支える家族の泣き笑いの日々

つづきです。

駅近くのホテルにチェックインして荷物を置き、コウジさんに電話し、何事もないことを確認すると、安心してまた駅に戻り、構内のお店で具の大きな天ぷら定食を食べました。さすが海に近い金沢、海の幸に恵まれているので量が多いのに安いです。構内に観光案内所があったので、いくつかパンフレットをもらって、食事が運ばれてくるまでの間、何気なく読んでいました。

すると、土曜日の夜は「ライトアップバス」というものが特別に走っているのを知り、40分ほどを300円で回れるのなら、と8時20分発のバスに乗ってみました。車窓からライトアップされた近江町市場、金沢城、21世紀美術館、県立美術館、能楽堂、赤レンガミュージアム、成巽閣、石川四高記念文化交流館、香林坊の町、尾山神社などを見て駅に戻ると、ちょうど9時。金沢駅からこんなに近いところに、見どころがいっぱいあることに驚きながらホテルに帰りました(ほかにも、ひがし茶屋街、にし茶屋街、武家屋敷跡、浅野川や犀川などもあるんですからね。)。頑張れば、兼六園や金沢城まで駅から歩けますね(頑張りませんが)。

翌朝は6時に起きて、アルバイトへ行くワッチが寝坊していないか、ワッチとコウジさんに電話しました。ちゃんと起きて用意しているのを確認してホッ。ホテルの美味しい朝食を頂くと、講演会場へ行くにはまだまだ時間があるので、遠くは行けないけれど、昨日場所を確認した兼六園くらいは行ってみよう、という気になりました。 そして7時10分発の路線バスに乗りましたが、やはり、それが間違いだったかも。大人しくホテルの部屋にいれば良かったかも。

「兼六園下」で降りたものの、迷っておかしなところ(大手町)に出てしまいました。また同じ道をさっきのバス停まで戻ると、見上げたところに金沢城があり、そこに繋がる歩道橋も見えたので、そこまで坂を上っていくと、どうにか兼六園に辿り着けました。やれやれ、その時7時40分。

気温30度に近くなるという陽気の良さの中、無駄に歩いたせいで、段々へばり始めた私。高校の修学旅行で来たはずなのに、全く覚えていない兼六園。灯篭を見た後、栄螺山(さざえやま)なんて上ったら、息切れしてベンチに座り込んでいました。そこから見下ろす景色は良かったのですが、ゆっくりもしていられず、すぐ降りると、そのあとが迷路のような道で迷いに迷い、このままでは講演に差し支える、と退散を決意。

転がるように出口を見つけて兼六園を出、バス停へ行くと、15分もバスを待つことがわかり、がっかり。けれど8時40分発のバスを待つ時間を利用して、講演で話すことをおさらい(おさらいしたくせに、本番では話があちこちに飛んでしまい、すみませんでした。→ 明日以降に後述)。

金沢駅に戻ると、講演会後に時間がないかも知れないから今のうち、とコウジさんや近所やその他の人たちにお土産を購入。コウジさんは頑張って留守番してくれているので、好きなお酒を買っていって喜ばせたい(好きといっても、毎日コップ一杯飲むだけですが)。けれど、地酒を探したところ、種類があり過ぎて、どれがいいかわからない。ゆっくり選ぶ時間もないし、適当に選び、ほかのお土産を抱えてヤマトの窓口へ。送る手配をしてから、急いでホテルに戻ったら9時半。荷造りしてチェックアウトしたのが10時15分。
どこかでちょっとアイスコーヒーでも飲んで休んでいきたい気も大いにしたのですが、本の入った重いキャリーをゴロゴロ引いていると、どこかへ行く気にもならず、足はそのままタクシー乗り場へ向かいました。(講演会場の石川県リハビリテーションセンターは、金沢駅からはちょっと遠い不便なところにあるのです。)

乗り場では、お客さんは流れ作業のように、どんどんタクシーに乗せられていきます。
私がのろのろキャリーを引いてそこへ着くやいなや、係員のおじさんがてきぱきとキャリーを私の乗るタクシーのトランクに入れてくれ、あっという間に私は車中の人になったのでした。 (つづく)


金沢へ行ってきました。

東京から北陸新幹線でなんと片道2時間半なので、日帰りできる近さです。が、この時期台風が来たら新幹線が止まる可能性があり、当日金沢へ行けなかったらご迷惑をおかけしてしまうので、小心者の私は前日から金沢入りしました。

けれど前日の土曜日午前は、石倉昇先生の囲碁教室に通っているため、授業を欠席するのは気持ち悪くてできない性質の私は、しっかり教室に参加してきました。
先生はとても優しくてきめ細やかでわかりやすい指導をして下さるし、囲碁の歴史や現在の興味深い話を楽しく山ほどして下さるので、囲碁を学ぶ人たちからなぜこれほど絶大な人気があるのかがわかりました。ああ、私の家の近くに石倉先生教室があったなんて、なんてラッキーなんでしょう。これで上達しなければ、バチが当たりますね。

でも、私が毎日囲碁だけの生活だったら、きっともっと上達しているはずなんですが、あれこれ用事に追われて1週間碁石に触れられないまま教室へ行くこともあるため、いつまでたっても初心者の域から抜けられません。

たしかにもう少し上達すれば、もっと上級者のいる大教室の方に移れて、今よりずっと長い1時間は石倉先生の講義を聞けるそうなので、それも楽しみです。(でも、まだまだです。)

コウジさんの高次脳機能障害症状改善に効果があるのでは? と木谷正道さん(故木谷實九段のご三男)から誘われて始めた囲碁ですが、肝心のコウジさんこそ囲碁の本すら読もうとしません。ま、まずい・・・。

私が声掛けしないと、テレビばかりのコウジさん。母の病気騒ぎ等があって、ここ1か月は特に時間に余裕がなかった私は、コウジさんの前で碁盤を広げることがなかなかできませんでした。 けれど金沢講演も終わった今、11月19日の町田市講演(町田市民ホール)までは頑張って、コウジさんと碁盤をはさんで向き合いたい・・・ って、さっきから言い訳ばかりですね(苦笑)。

実はこれはまだここで書いていなかったかもしれませんが、2020年の東京オリンピックに合わせて、木谷さんは囲碁と障害と音楽とアートの祭典を企画しています(会場は碁石海岸のある岩手県大船渡市)。
それまでに私は、囲碁と高次脳機能障害、視覚障碍、身体障害などをテーマにした絵本を描き上げている予定・・・なのです。 だから尚更、コウジさんには囲碁に取り組んでもらいたいのです。

それはともかく、囲碁教室から帰宅した私は、留守をする時いつもするように、大きなカレンダーの終わった月の裏に、その日と翌日(講演日)のコウジさんや私のスケジュールを、見やすいようにマジックで書きました。

私が何時何分の東京発の新幹線に乗って何時何分に金沢に着くのか、宿泊するホテル名と電話番号、翌日の講演会場名と主催者(石川県リハビリテーションセンター)の電話番号と担当者名、何時何分の金沢発の新幹線に乗って、何時何分に東京に戻ってくるのか。帰宅は大体何時くらいか。その間コウジさんとワッチの食事のこと(冷蔵庫に何が用意してあるかや宅配チラシ等)、犬猫の餌やりや水替え、トイレ掃除や犬散歩、植木の水やりなど、たった30時間のことですが、細かく書きました。
コウジさんはいつもその大きな紙をいそいそと冷蔵庫に貼って、私の留守中はそれを見ながら過ごすのです。

さらに私の母親とコウジさんの母親2人に電話して、頻繁にコウジさんに電話して様子を見守ってくれるよう、いつものように頼みました(この2人からの電話が何度もかかってくるため、結構コウジさんにはうるさいようですが、やはり安心です)。もちろん私も、留守中何度もコウジさんに電話をします。

こうして私は1泊くらいならなんとかできるようになりましたが、2泊はちょっと厳しいです。コウジさんの不安やストレス、家事などの負担が彼を疲れさせたり、ブチッと切れた彼が思わぬ事故事件を招きかねないからです。(一番心配しているのは、犬のウメの散歩です。散歩中、よくイヤイヤをするウメにブチッと切れると、彼はリードを思いっきり引っ張るのです。それで今まで何度、ウメの首輪がはずれて脱走させてしまったことか。車にぶつかったら死んでしまいます。)

「絶対ウメのリードを引っ張らないこと」と何度も念を押し、一抹の心配を残して家を出た私。新幹線の中では詰碁の本を読み、金沢に着いたのは夜7時のことでした。 (つづく)

おっと、書き忘れました。今日9月13日は、コウジさんがくも膜下出血で倒れた日です。今日から14年目に入ります。 『続・日々コウジ中』に書いたように、新しいコウジさん誕生を記念してケーキは食べず、いつもの私のなんてことない手料理を山ほど食べて、今彼はソファーで幸せそうに寝ています。元気でいてくれて、嬉しいです。

なかなか書けないうちに、もう何日も経ってしまいましたので、少し焦りながらここへ来ました。

今度の日曜日、9月10日は金沢で講演です。

【平成29年度高次脳機能障害に関する普及啓発講演会】

日時 : 平成29年9月10日(日) 13時30分~15時30分
会場 : 石川県リハビリテーションセンター 4階 大研修室
      (〒920-0353 石川県金沢市赤土町二 13-1 TEL:076-266-2188)
内容 : 講演 「日々コウジ中の夫とともに ~高次脳機能障害の夫を支える妻の体験記~」

対象者 : 一般県民、高次脳機能障害者とその家族、医療機関、就労関係機関、市町、保健福祉センター等職員

*「高次脳機能障害患者と家族の会つばさ」さんとの共催とのことです。お世話になりますが、宜しくお願いします。

金沢は、高校2年生の時の修学旅行で行って以来です。今は東京から北陸新幹線でわずか2時間半、近くなりましたね。お天気も良さそうで、なによりです。皆様とお会いできるのを、楽しみにしています。

ところで昨日は、世田谷区福祉人材育成・研修センター主催の、「障害福祉の理解研修」という研修会でした。
私と夫コウジさんはそこで、世田谷高次脳機能障害連絡協議会(世高連)の依頼で、「記憶障害」について話をしました。(昨日は水曜日で平日でしたので、有休をとって臨みました。)

病識の薄いコウジさんなので、私が手取り足取りフォローが必要かも、と思っていましたが、意外や意外、私の知らない彼の努力の話も彼の口から出て、驚きました。以前職場では、マニュアルも見ないしメモも取らずに独断で仕事を進めることもあったのですが、必要に迫られてメモをするようになっているようです。

思えばもう障害者枠で勤めて11年目に入りましたから、やっぱり進歩しているのですね。すごい!勿論、そこには職場の方々の支えがあってのことですから、改めて会社に対する感謝の念でいっぱいになりました。

けれどふとコウジさんの背中を見ると、汗でシャツがびっしょり濡れていました。もう、すごく頑張って考えて話しているのがわかりました(涙)。ほかの方のお話を聞いている時は、シャツは乾いていましたから。

話を聞いて下さったのは、区内のケアマネさんたちや施設の職員の方たちなどの、支援職の方々。そして、センターの母体である、世田谷区社会福祉事業団の方々。この障害に対する理解を深めようとして下さる皆様に、役立つ話ができたら嬉しいのですが・・・。

世高連の今井代表や、長谷川幹副代表(三軒茶屋リハビリテーションクリニック院長)にもお会いできて嬉しかったです。コウジさんは2人に励まされ、終始笑顔でした。

ちなみに、「記憶障害」のコウジさんのほかには、「半側空間無視」の方、「失語症」の方が、それぞれとても味のある話をされました。
世田谷区には失語症会話パートナーや、高次脳機能障害ガイドヘルパーなどが養成され、活躍(支援)して下さっています。

・・・色々書きたいことがあるのですが、今日ふと読んでいた小冊子『働く広場』。そこに高次脳機能障害者に有益な情報が多く載っていることに気づきました。
この独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が発行されている冊子を、私はもう何年も購読していますが、これは1冊129円+税という安さなのに、障害者にとって貴重な情報が満載です。是非皆さんも購読されるといいです。

いつも読んでいるつもりが、忙しさのせいもあり(理由になりませんね。)、つい数冊、つまり数か月手に取れないでいました。今月9月号には、「職業訓練実践マニュアル 高次脳機能障害者編Ⅰ~施設内訓練~」の情報がありました。このマニュアルは、機構ホームページ http://www.jeed.or.jp/  からダウンロードして読めます。ホームページを開かれて、検索欄に「職業訓練実践マニュアル・・・」と読みたいものを記入されて「検索」をクリックすると、出てきますよ。

また、7月号には「記憶障害を有する高次脳機能障害者の補完手段習得のための支援」という、障害者職業総合センター職業センターによる研究開発レポートが詳しく載っていますが、それも同じようにホームページで「記憶障害を有する・・・」と記入して検索されると、読めますよ。すごいですよね。最新の研究情報が、こんなに楽して(無料で)読めるなんて!読まない手はありません、とくにこれから就労を目指される高次脳機能障害をお持ちの方やご家族は。

さらに、この『実践報告書No.30 記憶障害を有する高次脳機能障害者の補完手段習得のための支援』という冊子自体の配布を希望される場合は、職業センターに直接連絡されるともらえるそうですよ。(TEL:043-297-9043) この『働く広場』を購読していないとダメ、とは書いてないので、大丈夫と思いますが、それより『働く広場』はこうした有益な情報が常時入手できますから、やっぱり購読されていた方がいい、と私はお勧めします。ペットボトルのお茶1本買うより、1冊が安いんですからね。

・・・8月号も家のどこかにあると思いますので(→ありました)、またそのほかの号も読み直して、高次脳機能障害に関する情報がありましたら、ここでお知らせしますね。

そもそもこの冊子を読み出したのは、私とコウジさんが取材され掲載されたからです。それ以来ずっと購読しています。表紙が、またいいんです。毎回、障害をお持ちの方が描かれているのですが、皆さんすごく上手ですよ! 全国各地の、障害者雇用をされている会社の取材話も素晴らしいです。

明日(もう今日ですが)も5時に起きなくてはならない用事があるので、もう4時間しか寝られませんが、 おやすみなさい!

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