私は、今まで囲碁をやったことがありません。
別に威張れることではないのですが、私の父や兄は結構強く(亡くなった父は八段、もう今は囲碁をしていないという兄は4段)、父から教わった母は今も、囲碁教室や囲碁友達との集まりにいそいそと出かけて行きます。

私が小学生の頃から、父は日曜となるとNHK教育テレビ(今のEテレ)の囲碁番組を見ていました(将棋番組も見ていました)ので、私もいつも後ろからぼ~っと画面を眺めていました。つまり、子どもの頃から私は、囲碁をやれる環境にはいたわけなんですが、全然関心がありませんでした。私の関心は、もっぱら犬や猫などの動物、絵でした。ハイ、今と同じです。

夫コウジさんも似たようなもので・・・、と書こうとしましたが、本人に確認すると、「少しはやったことがある。」と申しています。けれど、「好きになる前に自然消滅」してきたとのこと。

こんな2人ですが、なんと囲碁を始めることにしました。
「ええ~?なんで~?」という声が聞こえますし、私や夫も同じ気持ちです。でも、母がいつも「囲碁をやるといいわよ。老後の楽しみになるし、面白いわよ。いい友達も沢山できるわよ。」と昔から私に呪文のように囁いてきていたので、元々いつかはやろうとは思っていた時に、木谷正道さんと出会ったのでした。

木谷さんは「心の唄」コンサートの場で、数年来高次脳機能障害者支援をして下さってきていました。出会うのは必然だったとは思いますが、歌が好きな夫と私が、「心の唄」コンサートでヴォーカルの木谷さんのお声や、ダンディな姿にすっかりファンになっていたことも大きいです。CDやDVDを買ってきて、家で何度も聞いたり見たりしていました。木谷さんは私たち夫婦にとって、あくまでもギターの弾き語りをされる渋いヴォーカリストであり、囲碁の世界を背負ってらっしゃる方ではありませんでした。

けれど木谷さんは、かの有名な故木谷實九段(プロの九段というのは、アマとは違います)の三男でいらっしゃって、ご自身も木谷道場で幼少期を過ごされたものの、その後囲碁はあまり好きでなかったようでやめられて東京大学へ進み(それもすごいですが)、都庁で定年まで勤められました。現在は地元平塚で「NPO暮らしと耐震協議会」の理事長として、防災や耐震補強の重要性を唱えつつ精力的に活動されています。(先日はNHKにもご出演されました。)その一方、「心の唄」コンサートで披露され、聴衆の心をわしづかみされるその歌声で、障害者、高齢者支援もされてきました。しかもその活動はとどまるところを知らず、子ども、環境、市民活動、フルマラソンその他もろもろに及び、今は東京オリンピックが開催される2020年に向けて、囲碁と音楽、障害を融合したフェスティバルを企画されているところです。
木谷さんのHP → http://kokorono-uta.net/kokorono-uta/


その木谷さんが、「高次脳機能障害の症状改善に、囲碁は効果があるのではないだろうか?」と問いかけられ、「きっとある!」「あるに違いない!」と期待し、集まった当事者・家族たち(大体が、「心の唄」コンサート関係で、品川や目黒、大田区の方たち)と、先月から囲碁教室がスタートしたところです。
私とコウジさんは世田谷区ですが、木谷さんいわく、「どなたでも関心のある方はお誘い下さい」とのことなので、近くの方で関心のある当事者・ご家族の方は、コメントで連絡下さい。次回は3月5日(日)、場所は大田区障害者サポートセンター。時間は10時半からです。

ちなみに、私は前回の集まりの時までは、黒白の碁石は、ますの中に入れるのだと思っていました。オセロのように。テレビを見ていても、きっと上の空だったのでしょうね。恥ずかしい。

今日はさわりだけ、お話しました。これから「囲碁と高次脳機能障害」シリーズで、進捗状況などちょっとちょっと書いて行こうと思います。

最後に、この間の相模原市講演会の様子が、2月23日号のタウンニュースさがみはら中央区版に掲載されています。
コウジさんが講演会に来てくれたのは、5年ぶりで珍しいことなので、このツーショットも珍しいのです。
http://www.townnews.co.jp/0301/2017/02/23/371093.html