「ダイアローグ イン ザ ダーク」
この名前を初めて聞いたのは、先月の半ば、大船渡市でのことでした。
そこでは「碁石海岸で囲碁祭り」というイベントが催され(→これについてはまだ書きかけのままで、すみません。9回まで書いてきたところです。)、そこでご挨拶されていた岡田結美子6段が、ステージの上から、「娘と行ってきたのですが、とても良かったです。皆さんも是非行ってみて下さい。」というようなことを仰られたので、興味がわきました。
また、釜石駅から新花巻駅へ向かう電車の中で、盲目の棋士アマ4段の柿島光晴さんとお話する機会がありました。視覚障害者の世界は一体どういうものなのか(どういう風に感じ、何が一番問題で、周りはどうあったらいいのか、等)を知りたがる私に柿島さんは、「それなら岡田さんが言われていたように、ダイアローグ イン ザ ダークへ行かれるのが一番いいでしょう。」と言われたのでした。
そこで東京に戻ってから早速申込んだのですが、その時点で既に、かなりの回の予約はいっぱいでした。けれど幸いなことに、6月25日(日)午前11時スタートの回を、どうにか予約できたのでした。ええ、夫コウジさんと行こうと思って週末にしたのです。
そして25日の当日まで、コウジさんには何度も説明していたのに、コウジさんはその日外苑前で電車を降りて会場へ向かう道すがらでも、「ねえ、これからどこへ行くんだっけ?」と聞くのです。
(ああ、いつも通りだなあ。)とうんざりしながら、また納得しながら、再度説明しなければなりませんでした。でも実際のところ、どういう催しなのかうまく説明できず、「視覚障害者の世界を体験する」くらいしか言えませんでした。なぜなら前もってあれこれ知識を入れておくと、せっかくの体験を先入観に邪魔されるといけないと思って、何も調べてこなかったのです。
「ダイアローグ イン ザ ダーク」自体は、かなり前から神宮前でやっていたそうですが、全然知りませんでした。HPから引用しますと、
「暗闇の中の対話。 鳥のさえずり、遠くのせせらぎ、土の匂い、森の体温。水の質感。足元の葉と葉のこすれる枯れた音、その葉を踏みつぶす感触。 仲間の声、乾杯のグラスの音。暗闇のあたたかさ。
参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、暗闇のエキスパートである視覚障がい者のアテンドにより、中を探検し、様々なシーンを体験します。その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、コミュニケーションの大切さ、人のあたたかさなどを思い出します。」
「1988年、ドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれたダイアログ・イン・ザ・ダークは、これまで世界39カ国以上で開催され、800万人を超える人々が体験。何千人もの視覚障がい者のアテンド、ファシリテーターを雇用してきました。日本では、1999年11月の初開催以降、現在は東京・外苑前の会場と、大阪「対話のある家」を中心に開催、これまで約19万人が体験しています。」
だそうです。
・・・実際のイベントの中身を詳しく説明するのは省きますが(だって書いてしまったら、これから行かれる方ががっかりされてしまいますからね。)、とにかくすごい!素晴らしい!90分でした。視覚に頼れないため、聴覚、触覚、味覚、嗅覚、そして会話によって物を認識したり安心したりしました。90分があっという間で、参加者の方々も、「もっと長かったらいいのに。」と言ってましたが同感でした。
高次脳機能障害のコウジさんが、全くの暗闇というある意味ストレスの中に置かれて、なにか変わった反応をしたり、急病になったりしないか心配でしたが、そんなことはありませんでした。それどころか、コウジさんはテンション高くいつも以上に陽気でおしゃべりになり(やはり彼なりにストレスを感じ、それを打ち消すための反応だったかな?)、その8名のグループの中で、すっかりいじられキャラになってしまっていました。
ほかの6人やアテンドの方(視覚障碍者です)には、私が暗闇の中でコウジさんのことを気にかけし過ぎているので、よほどの愛夫家?だと思われたと思いますが、違う違う、障害があるので心配なのでした。
特にそのことについては話しませんでしたが(必要なかったので)、会場でお願いされたアンケートに、きっと彼はおかしなことを書いているだろうな、とそれも心配でした。
(たとえば、協力し合う大切さや、人助けについての質問などには、「んなの、知ったこっちゃね~。僕は1人で大丈夫!ママちゃんさえいれば、大丈夫!」という意識で傲慢な回答をしているだろうと思います。 ああ、私が横からそのアンケート用紙に、「これを書いている人には、高次脳機能障害があります。」と書き入れておけば良かったな。)
さて、奇遇なことがありました。
8名の中で、ペアを組まなくてはいけない時間があったのですが、順番を色々変えながら歩いているので、「さあペアを組んで下さい」と言われた時に、たまたまそばにいた人と組みますね。ところが私が組んだ女性と、コウジさんが組んだ女性は、友人同士で、2人で参加されていました。私とコウジさんはかなり離れたところにいましたし、彼女たちも同様でした。 ですからその確率もすごいと思ったのですが、その女性たちは東北の女子大学院生たちで、なんとそのうちの1人は、大船渡の方だったのです。
びっくりです。私が先月大船渡へ行ってきた話をすると、彼女たちもびっくり。彼女たちと同じ大学の大学院生とも大船渡で会ってきましたが、彼女たちは碁石海岸で囲碁祭りというイベントは知らないそうでした。
とにかく不思議な縁があるものだなあ、と思いながら、またお会いすることもあるかもしれず、連絡先を交換しました。聞くところによりますと、大学院の研究室の先生が、このイベントに仙台で参加され、生徒たちにも勧められたので、彼女たちはすぐ予約したのだそうです(たまたま先週末、勉強していることのコンペが東京であり、それに合わせて予約したとのこと。勉強熱心で偉いなあ)。
このダイアローグ イン ザ ダークは、外苑前では8月いっぱいで終了してしまい、それまでの予約は満員のようですが、当日キャンセルが出ることもあったり、追加発売があったりするそうなので、関心のある方は、いつもHPをチェックされていると券が取れるかもしれません。
柿島さんもアテンドの1人だそうですが、たまたまその日は当番ではありませんでした。でも私たちの担当の方がたも、とても面白くて案内も上手で、いい経験をさせてもらいました。有難うございました。
この日の経験を生かしていかなくちゃ、と思っています。
目が見えないと、杖や人の声がとても役に立つものだと知りました。目が見えない方を見かけたら、なるべく話しかけて何かお手伝いできないか、尋ねようと思います。
この名前を初めて聞いたのは、先月の半ば、大船渡市でのことでした。
そこでは「碁石海岸で囲碁祭り」というイベントが催され(→これについてはまだ書きかけのままで、すみません。9回まで書いてきたところです。)、そこでご挨拶されていた岡田結美子6段が、ステージの上から、「娘と行ってきたのですが、とても良かったです。皆さんも是非行ってみて下さい。」というようなことを仰られたので、興味がわきました。
また、釜石駅から新花巻駅へ向かう電車の中で、盲目の棋士アマ4段の柿島光晴さんとお話する機会がありました。視覚障害者の世界は一体どういうものなのか(どういう風に感じ、何が一番問題で、周りはどうあったらいいのか、等)を知りたがる私に柿島さんは、「それなら岡田さんが言われていたように、ダイアローグ イン ザ ダークへ行かれるのが一番いいでしょう。」と言われたのでした。
そこで東京に戻ってから早速申込んだのですが、その時点で既に、かなりの回の予約はいっぱいでした。けれど幸いなことに、6月25日(日)午前11時スタートの回を、どうにか予約できたのでした。ええ、夫コウジさんと行こうと思って週末にしたのです。
そして25日の当日まで、コウジさんには何度も説明していたのに、コウジさんはその日外苑前で電車を降りて会場へ向かう道すがらでも、「ねえ、これからどこへ行くんだっけ?」と聞くのです。
(ああ、いつも通りだなあ。)とうんざりしながら、また納得しながら、再度説明しなければなりませんでした。でも実際のところ、どういう催しなのかうまく説明できず、「視覚障害者の世界を体験する」くらいしか言えませんでした。なぜなら前もってあれこれ知識を入れておくと、せっかくの体験を先入観に邪魔されるといけないと思って、何も調べてこなかったのです。
「ダイアローグ イン ザ ダーク」自体は、かなり前から神宮前でやっていたそうですが、全然知りませんでした。HPから引用しますと、
「暗闇の中の対話。 鳥のさえずり、遠くのせせらぎ、土の匂い、森の体温。水の質感。足元の葉と葉のこすれる枯れた音、その葉を踏みつぶす感触。 仲間の声、乾杯のグラスの音。暗闇のあたたかさ。
参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、暗闇のエキスパートである視覚障がい者のアテンドにより、中を探検し、様々なシーンを体験します。その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、コミュニケーションの大切さ、人のあたたかさなどを思い出します。」
「1988年、ドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれたダイアログ・イン・ザ・ダークは、これまで世界39カ国以上で開催され、800万人を超える人々が体験。何千人もの視覚障がい者のアテンド、ファシリテーターを雇用してきました。日本では、1999年11月の初開催以降、現在は東京・外苑前の会場と、大阪「対話のある家」を中心に開催、これまで約19万人が体験しています。」
だそうです。
・・・実際のイベントの中身を詳しく説明するのは省きますが(だって書いてしまったら、これから行かれる方ががっかりされてしまいますからね。)、とにかくすごい!素晴らしい!90分でした。視覚に頼れないため、聴覚、触覚、味覚、嗅覚、そして会話によって物を認識したり安心したりしました。90分があっという間で、参加者の方々も、「もっと長かったらいいのに。」と言ってましたが同感でした。
高次脳機能障害のコウジさんが、全くの暗闇というある意味ストレスの中に置かれて、なにか変わった反応をしたり、急病になったりしないか心配でしたが、そんなことはありませんでした。それどころか、コウジさんはテンション高くいつも以上に陽気でおしゃべりになり(やはり彼なりにストレスを感じ、それを打ち消すための反応だったかな?)、その8名のグループの中で、すっかりいじられキャラになってしまっていました。
ほかの6人やアテンドの方(視覚障碍者です)には、私が暗闇の中でコウジさんのことを気にかけし過ぎているので、よほどの愛夫家?だと思われたと思いますが、違う違う、障害があるので心配なのでした。
特にそのことについては話しませんでしたが(必要なかったので)、会場でお願いされたアンケートに、きっと彼はおかしなことを書いているだろうな、とそれも心配でした。
(たとえば、協力し合う大切さや、人助けについての質問などには、「んなの、知ったこっちゃね~。僕は1人で大丈夫!ママちゃんさえいれば、大丈夫!」という意識で傲慢な回答をしているだろうと思います。 ああ、私が横からそのアンケート用紙に、「これを書いている人には、高次脳機能障害があります。」と書き入れておけば良かったな。)
さて、奇遇なことがありました。
8名の中で、ペアを組まなくてはいけない時間があったのですが、順番を色々変えながら歩いているので、「さあペアを組んで下さい」と言われた時に、たまたまそばにいた人と組みますね。ところが私が組んだ女性と、コウジさんが組んだ女性は、友人同士で、2人で参加されていました。私とコウジさんはかなり離れたところにいましたし、彼女たちも同様でした。 ですからその確率もすごいと思ったのですが、その女性たちは東北の女子大学院生たちで、なんとそのうちの1人は、大船渡の方だったのです。
びっくりです。私が先月大船渡へ行ってきた話をすると、彼女たちもびっくり。彼女たちと同じ大学の大学院生とも大船渡で会ってきましたが、彼女たちは碁石海岸で囲碁祭りというイベントは知らないそうでした。
とにかく不思議な縁があるものだなあ、と思いながら、またお会いすることもあるかもしれず、連絡先を交換しました。聞くところによりますと、大学院の研究室の先生が、このイベントに仙台で参加され、生徒たちにも勧められたので、彼女たちはすぐ予約したのだそうです(たまたま先週末、勉強していることのコンペが東京であり、それに合わせて予約したとのこと。勉強熱心で偉いなあ)。
このダイアローグ イン ザ ダークは、外苑前では8月いっぱいで終了してしまい、それまでの予約は満員のようですが、当日キャンセルが出ることもあったり、追加発売があったりするそうなので、関心のある方は、いつもHPをチェックされていると券が取れるかもしれません。
柿島さんもアテンドの1人だそうですが、たまたまその日は当番ではありませんでした。でも私たちの担当の方がたも、とても面白くて案内も上手で、いい経験をさせてもらいました。有難うございました。
この日の経験を生かしていかなくちゃ、と思っています。
目が見えないと、杖や人の声がとても役に立つものだと知りました。目が見えない方を見かけたら、なるべく話しかけて何かお手伝いできないか、尋ねようと思います。
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