シラクで人質になっている、後藤さんと湯川さん。
どうか無事に、日本に帰ってきますように。
私が小学生の頃、テレビのニュースを一緒に見ていた父は、「あそこらへんの人たちは、いつも戦争しているなあ。」 と困った表情で言ったのを覚えている。
あそこらへん、とは中東のことで、私の頭には (そうなんだ。 あそこらへんの人たちは、いっつも喧嘩しているんだ。) とインプットされた。
そして、(なんでだろう?) と思った。
その時も答えはわからなかったが、今もちゃんと理解できているとはいえない。
日本は平和で、明日の命さえわからないシリアの人たちの悲惨な生活や、複雑な政治的宗教的背景を理解するのは簡単なことではない。
けれど命の危険を伴うにもかかわらず、現地の様子を調べてはレポートしてくれる、後藤さんや亡き山本美香さんのような方がいらっしゃるから、日本にいても私たちは、シリアやほかの情勢が不安定な地域のことを知ることができる。
それは誰にもできることではなく、高い志と正義感、現地で虐げられている弱い子どもや女性 (男性も) への深い思いやり、そして何より勇気が備わった人でないと、戦地を報道するジャーナリストにはなれまい。
後藤さんのお母さんの言葉にも、共感を覚える。
母ならではの、子どもを心配する気持ちは痛いほどわかるし、後藤さんも湯川さんも、イスラム国に悪いことをしに行ったのではない。
それどころか、役にたとうとして行ったのだ。
どうか、イスラム国の人たちがわかってくれますように。
無事に、2人を解放してくれますように。
私は講演する時に、「自分だけが幸せだと、それは本当の幸せではない。 世界の皆が幸せでなければ、自分も幸せではない。」 とよく言う。
健康でお金持ちの人たちは幸せかもしれないけれど、貧しい人、病気や障害を持つ人のことを無視しての幸せは、嘘の幸せだ、と。
同じことが言える。
「あそこらへんの」 人たちが不幸せなら、私たち日本人も不幸せなんだ、と思う。
全ての国から争いをなくし、全ての人たちが安心して夜を眠れ、明日を楽しみに迎えられるようにしないと。
日本政府が、頑張ってくれますように。
明日には、いい動きが聞けますように。