今日は、木村友祐さんの 『野良ビトたちの燃え上がる肖像』(新潮社) の発売日です。
私は『月刊新潮8月号』ですでに読みましたが、ホームレスさんを取り巻く環境を、読みながら学べる小説と言えるかもしれません。街中ではなく、河川敷に住んでいるホームレスさん達ならではの話ですが、どこか星新一さん的な未来の風景が、クールでドラマティックに描かれています。でもそれは決して未来ではなく、明日にでも起こりうる緊迫感を伴っているのです。また、出てくる地名が全て実在の地名をひねったユーモラスなものなので、それを目にするたびにクスクス笑えたのが、重い内容を軽く読むための作者の気の利いた細工にも思えました。
今回単行本になるにあたり、小西修さんの撮られた写真が表紙となると聞いていたので、昨日夜アマゾンに注文して今日送られてくるのを、今待っているところです。皆さんも是非お読みください(夕方届いたので、早速ここに表紙画像を貼りました。でも家の中で電気をつけて撮影したので、見づらくてすみません)。
私はこの小説が面白かったので、木村さんのほかの本 『海猫ツリーハウス』 も買って読み始めているところです。
やはり読書っていいですね。読もうと思って手元に置いてある本が、もう数十冊あるのですが、なかなか時間がとれません。
昨日、いつもウメの散歩に行っている近くの大学の学生さんが1人、冬山で雪崩に巻き込まれて亡くなった、というニュースに悲嘆に暮れています。まだ21歳とのこと。 81歳で亡くなった父でさえ、こんなに悲しくて惜しんでいるのに、こんな若く亡くなるなんて。 もっと小さい子どもや赤ちゃんも、事件や虐待で亡くなったというニュースが途絶えませんが、若い人が死んでしまうことほど、つらく悲しいことはありません。本当に残念です。
特に、毎日のように散歩しているその大学の学生、というので、もしかしたらキャンパスですれ違ったことがあるかもしれないし、その学生も意気揚々と歩くウメのことを見てくれたことがあったかもしれない。いえ、そんなことはどうでもいいのですが、とにかくすぐそばにいた若い人が亡くなった、ということが余計ショックで、何度も涙がジワジワと出てきます。そして一緒に雪上訓練していたというほかの5人の学生さん達の心の傷も、どれだけ深いことか。仕方ないとはいえ、何もその時そこに、雪崩が起きなくてもよかったのに・・・
亡くなられた学生さんのご冥福を、心からお祈りします。
最近コロンビアでも、到着したその日に銃で撃たれて亡くなった大学生がいました。簡単に人を殺す国では、細心の注意が必要だということを、日本国民に知らせた事件でした。その学生は、電子機器(スマホやタブレット端末)を手に歩いていたそうです。でも、それを奪うために、何も命まで取らなくてもいいじゃないですか。命は1つしかないのに。犯人に対して頭に来て、腸が煮えくり返る思いです。
危険な地域には、やはり近寄らないに限るのですが、その学生は自分の目で、発展途上国を見たかったとのこと。将来、そういう国々を支援する仕事に就きたかったとのこと。そんな尊い考えと勇気を持っていた前途ある若者が失われたことは、世界にとっても、とてもとても大きな損失です。
命は、この世で一番大切なものです。自分の命も他人の命も大切にしないといけない、そんな簡単なことがわからない人間が多い、悲しい地球。
昨年の今日亡くなった水木しげるさんは、戦争で九死に一生を得たあと、ものすごい熱意とともに次々世に出してきた作品で伝えてきたことは次のようなことだ、と奥さんの武良布枝さんは言われています(11月24日朝日新聞夕刊18面より)。
「人間って何てばかなんだろうな。短い人生に狭い地球でこれだけ殺し合いをしたりすることは、本当に愚かなことだ。」
その水木さんが亡くなったというニュースを病院のテレビで私と一緒に見ていた父(その3週間後に亡くなるなんて、私も父も思っていなかったのですが)も、「戦争中は不合理なことばかり行われていた。しかし戦争に勝たなくてはいけないと教え込まれていて(父は当時小学校低学年でした)、悲しいとかは思わなかった。戦争の思い出はおなかがすいていたことばかり。戦争で人生が狂ってしまう人がいっぱいいた。戦争は絶対しちゃいけないよ。」と、当時小学5年生だったワッチに教えていました(ワッチは学校の自由研究に、祖父から聞いた戦争、主に疎開の話を選んでいました。私もいい機会と思い、一緒に父の話を聞いていました)。
また、よくここでご紹介している宮崎の「いのちのはうす保護家」さんでは、明日殺処分予定の犬が3匹いるとのこと。最近は「保護家」のこのような情報が色々な人にシェアされて、どなたかしらが里親に名乗り出て下さり、命がつながってきています。有難いことです。
でも明日も大丈夫だという保証はなく、私もここで拡散して、少しでもその子たちが救われる可能性を大きくしたいと思います。どうか、里親が見つかりますように。そして、宮崎県以外の46都道府県でも、里親を探している犬猫の命が救われますように・・・ 保護家さんのブログは→ http://pawstamp.com/hogoya/ です。
最後に、昨日のブログへのつけ足しですが、「会報に書けなかったこと」に登場してもらった、救急病院の忙しくて冷たい医師。
私はその医師に閉口して、逃げるように父を転院させましたけれど、何かにつけて相談していた医療職の知人が、「お父さんの治療をして命を繋げてくれたことは確かなのだし、(喧嘩別れするより)ちゃんと挨拶して転院した方がいい。またお世話になることもあるかもしれないのだし。」とアドバイスをくれました。
むくれていた私ですが、頭を冷やして、それもそうだと思い、何かお菓子でも(先生へというよりナースステーション全体へ)渡した方がいいかを尋ねますと、「医師が一番喜ぶのは、お菓子でもお金でもない、感謝の手紙です。」という思いもかけない返事をもらいました。
え、そうなの?と半信半疑ながら、私は医師へお礼の手紙を書いて退院の日に渡しました。
すると、それまで大きな声で威圧的に話していた(私が勝手にそう感じていただけかもしれないけれど)その医師は、手紙を差し出した私の前で虚を突かれたようにたじろいだ後、急にパアッと笑顔になって、「あ、有難う。いやあ、でも、ここまで良くなって本当に良かったよね。また何かあったら来て下さいね。まあ、何かあったら困っちゃうけどね。ハハハ。」と、冗談まで言って笑ったのです。父も笑っていました。
私はそれを見て、(もしかしたらこの先生は本当は優しい先生で、ただ忙しすぎるからいつもツンケンしていただけなのかもしれない。悪いのは救急病院の忙しさであって、この先生は父にとって一番いい治療を効率的に考えて下さっていたのかもしれない。)と思いました。そして、知人のくれたアドバイスの的確さに驚きながら、感謝しました。
皆さんも、私と同じような目に遭っていましたら、医師に手紙を書くのはいいかも知れませんよ。
では、ウメがワンワン言ってますので、散歩に行ってきます。