日々コウジ中

日々コウジ中 - クモ膜下出血により、さまざまな脳の機能不全を抱える“高次脳機能障害”になったコウジさんを支える家族の泣き笑いの日々

2017年03月

今日で、3月も終わりです。なので、区切りですからここへ来ました。(なかなか来られずすみません。)

3月も終わりなのに、このあたり(世田谷区~大田区~目黒区)はほとんど桜が咲いていません。
毎年このくらいの時期には結構咲いていたのに、今年は随分遅いですね~。

しかも、今日は冷たい雨。家の中は暖房をつけ、ウメの散歩にはダウンにマフラーで出かけています。
雨だと、(多摩川の猫たちは、寒かろうな。)と可哀想になります。

昨日は母の用事で横浜へ、一昨日は健診に行っていました。

区から送られてくる子宮頸がん・乳がん健診の受診券の有効期限が今日なので、一昨日に慌てて受けてきたのですが、ギリギリなのですごく混んでいました。子宮頸がん(ついでに体がんも)健診は2時間以上待ち、乳がん健診は1時間待ち。1日がかりでした。

4月から使える券なのだから、もっと早く行っていればいいのですが、私は誕生日が今月下旬なので、いつも誕生日前後に行っているのです。それが今年は何かと用事に追われ、月末になってしまったのでした。
次回(2年後)は、3月のはじめに行こうと思います。

ワッチが月曜日から木曜日にかけて合宿に行っていたので、その用意やら帰ってきてからの山のような洗濯。
ワッチは運転したけれど、なんとか無事に帰ってきてほっとしました。合宿へ行くとき、駅まで車で送り、ワッチの顔を最後に見たとき、冗談でなく、これが見納めになりませんように、と思ってしまいました。
親はいつまでたっても子どもが心配なんだと、身を持って知ります。

那須で雪崩に巻き込まれて亡くなった高校生たちが、可哀想でなりません。そしてその親御さんたちも。
詳細を知れば知るほど、これはラッセル訓練なるものを強行した大人の責任だと思い、怒りに震えます。
引率の先生お1人も亡くなられていますが、この先生もお若いし、訓練強行に反対できなかったのでは、という気がします。

千葉で殺された、ベトナムの9歳の女の子の事件にも、可哀想で、怒りで、言葉になりません。
早く犯人を捕まえてほしい。
現場できっと待ち伏せしていた犯人なのだから?目撃情報があってもいいと思うのですが。
もしかしたら、もう犯人の目星はついているのでしょうか?イライラして事件の推移を見守っています。

囲碁の練習もしなくては、と思いながら、なかなか進んでいません。
第一、ネットで「コスミ」のゲームをやっても(1回5分もかからないです)、なぜ負けたのかもわからず、困っています。夫コウジさんも、「やった、これ、勝ったよね?」と喜んで終わりにすると、そこに現れる結果が、「あなたの38ポイント負け」と出てびっくり。そして、それがなぜかわからない。

あさってが「囲碁・高次脳機能障害プロジェクト」の集まりなので、明日はちょっと真剣にコウジさんと勉強しないと。





娘のワッチが、あさって月曜日から部活動(天文部)で合宿に行くのですが、その移動はレンタカーで、娘も「運転する。」と言うのです。

ワッチが免許を取れたのは昨年の秋で、ほとんど運転していないので、とても心配です。
「危ないから。」と反対しても、「運転したい。」「それでは、何のために免許取ったのかわからない。」と答えます。

たしかに運転手は皆、学生同士、交替で運転するそうなので、免許を持っている娘が運転しないのも、悪いという気がします。

仕方ないので、今日は近所の多摩川へ練習に、ワッチに運転してもらい、私は助手席に乗りました。後ろにはコウジさんと犬のウメ。 車の前後には、初心者マークをつけて。

もう、生きた心地しませんでした。左に寄り過ぎている気がしたり、狭い道なのにスピードが出過ぎている気がしたり。その都度大声で叫び、注意する私に、ワッチもしまいには「うるさいよ!」と怒り出す始末。

けれどどうにか無事に多摩川近くの駐車場に着き、ほっとしました。まあ、安全運転に気を付けながらなら、運転できるかな。まあ、大丈夫かな、という感じです。

河川敷に住んでいる顔見知りのホームレスさん2人に、猫の缶詰や食品の差し入れを持って、ウメも連れて歩きました。河川敷は単調な道で、距離がないようであります。ウメは大興奮で、ぐいぐい引っ張るし、色々騒動起こすし、荷物はちょびっと重いし、寒いと思ったら今日はわりと暖かかったので、セーターにダウンを着ていた私は暑かった(笑)。

桜は、開花宣言が出たけれど、まったく咲いていません。寒い日が続いていますからね。

4月2日には、またここへ来ることになっていますが、その頃には桜もきっと満開かな。楽しみです。

歩き疲れたワッチ(ワッチも5キロの猫缶を持ってくれました)は、帰りは運転したがらなかったので、私が運転しました。

もう少し暖かくなったなら、今度はウメに海を見せに、ワッチの運転で行こうと思います。
ワッチは「ウメ連れは疲れるなあ~。」とぼやいていますけれど、絶対ウメと一緒に行くもんね。ウメも車に乗せられると、嬉しそうです。

囲碁の「コスミ」という、無料でできるサイトがあるのですが、時々挑戦しています。まだ初心者なので、6路盤でやっていますが、私は昨夜初めて勝つことができました! でも、幻の1勝で、今日はまた負けてばかり。
コウジさんも、1勝もできていません。それどころか、「あれ、どうやるんだっけ?黒石を5つ並べればいいんだっけ?」とよく言います。

・・・それは、「五目並べ」です。 大丈夫かな、もう~。
2日に、「囲碁・高次脳機能障害プロジェクト」の集まりがあるので、それまでにはもう少し2人して練習しておかないと。

今日は私の誕生日でした。いつまでも20歳代くらいの気持ちなのですけど、年だけはなぜか54歳になりました。あんまり年は気にしませんけど。

夫コウジさんが有休を取ってくれたので、近所でゆっくりランチをしました(ゆっくりと言っても、1時間。笑。犬のウメが留守番を寂しがるので、すぐ帰ってきました)。
そのあと、コウジさんと一緒に、ウメの散歩。川の字で歩きました。まだ寒くて、桜は全くと言っていいほど、咲いていません。思えば、私の誕生日に大雪が降った年もありましたっけ。

誕生日に何かしたくて、多摩川猫の世話をされている小西さんに、猫の缶詰やホームレスさん用の食品、配布に使う紙袋などを、2つの段ボール箱に詰めて送りました。時々、そういうことをしています。

ホームレスさんたちは、猫のお世話もしてくれています。ホームレスさんたちは、ご自分が食べるものがなかったり稼ぎがない時でも、猫の餌だけは用意される、優しい方々です。その猫たちやホームレスさんのお世話をされる小西さんご夫妻もお優しくて、私はひそかに「多摩川の神様」と呼んでいます。

小西さんに伺ったところ、猫たちの食糧や医療費などすごくかかるけれど、支援をしてくれる人はあまり多くないそうです。もし少しでもご支援頂ける方は、宜しくお願いします。 「小西修の動物ドキュメンタリーBLOG」画面右上にある、「BACK」という小さな字をクリックしますと、小西さんのHPになります。そこの右下にある「TAMA猫基金」からご支援できます。→ http://www.top-virtual.com/kabuto/diarypro/

今日小西さんは、両前脚、両後脚、脊椎や首などが不自由な猫のところに行かれたそうです。その猫に、あろうことか石を投げたり、「殺してやる」といじめる人もいるそうなので、見張っていたそうです。今日はいなかったけれど、明日出てくるかもしれないので、明日も行かれるとか。
見て見ぬふりするならまだしも、弱い猫に危害を与える人間って、絶対許せません。私も見張りに行き、もしいじめていたら、怒鳴りつけてやりたいです。

昨日、ほぼ毎日チェックしている宮崎の「いのちのはうす保護家」さんのHPを、チェックし忘れて寝てしまいました。最近犬の殺処分記事がなかったので、安心していたせいもあります。

実は、来月新しく動物愛護センターができ、「保護家」代表の山下由美さんが11年間通ってこられた中央管理所は嬉しいことに閉鎖になります。センターでは、犬猫の引き取りから治療や譲渡までが行われるという、宮崎県初の施設です。動物愛護教室を開いたり、被災犬の引き取りもするそうです。

これはすごいことで、山下さんらが地道に保護・啓発活動を続けてこられたこと、中央管理所が舞台になった映画『ひまわりと子犬の7日間』(堺雅人さん主演)やその原作『奇跡の犬』(山下由美さん著)の力も大きかったと思います。

けれど、センターに収容される犬猫は、宮崎県全体で保護される動物が対象とはなっていないそうです。管轄外で保護や捕獲された犬猫は、これからもその地域の保健所で殺処分となるとのこと、なので、両手放しで喜ぶわけにはいきません(もちろん、このようなセンターのないほかの都道府県に比べたら、それでもずっと進んでいるのですが)。

ともかく、そのようなセンターがもう来月開所するので、私はてっきり中央管理所での殺処分も止まっているのだと思い込んでいました・・・。
けれど今晩、「保護家」のHPを見て愕然。今朝が、最後の殺処分が行われる日だったと知りました。

そこに山下さんが体調が悪いのに精一杯アップしてくれていた犬達の数は多く(6匹)、どれだけの犬達が助かったのか、助からなかったのか、わかりません。けれど、私のこのブログで昨日のうちにお知らせしたかった、と申し訳なく思います。私ができることは、そのくらいしかなく・・・

また山下さんは、このたび『尊厳死・王子と生きた時間』 という本を自費出版されたそうです。「一人でも多くの方に読んで頂き、 読んで下さった方が、一人でも多くの方に伝えたくなるような、そんな力のある書籍になれば良いなと思います。 売上金の一部は、啓発活動費用に充てさせていただきます。」とのことです。
詳しくは、「保護家」のHPをご覧ください。 → http://pawstamp.com/hogoya/

私の誕生日、やはり私は犬猫のことを考えていましたね。
もちろん、高次脳機能障害のことも考えていますが、高次脳機能障害はもう毎日の生活の中にありますし、夫がこの障害になってもならなくても私が続けていたいことは、絵と犬猫など動物保護支援活動なのであります。皆さんにとっては、何ですか?それは、是非続けて下さいね。

宮崎の「保護家」さん、多摩川猫の小西さんのほかに私がいつも心にかけているのは、石巻の「アニマルクラブ石巻」さんです。HPの「アマゾンほしい物リスト」を見ていますと、必要なのに全然集まっていないものだらけで心配になります。私も時々物資をお送りしていますが、もしご支援頂ける方がいらっしゃいましたら、こちらも宜しくお願いします。→ http://a-c.sub.jp/

お願いばかりの今日で、スミマセンでした。

とにかく私が願うことは、障害者も動物も、貧しい人も病気の人も、被災された人も差別されている人も、みんなみんな、幸せに暮らせますように、ということだけです。

話は変わりますが、今日夕方は、籠池さんの国会証人喚問を、NHKで放送された午前の分だけ、録画したものを見ていました(午後の分はネットから見られたようですが、知りませんでした)。

この事件を知った当初、「この籠池って人は何?」「森友学園て何?」「いまどき、こんな学校があるの?」とびっくりしていましたが、段々大阪府や政府も揺るがすほどの大きな事件になってきましたね。

見ている限り、籠池さんは真摯に答えているように見えますが、やはり公平に安倍首相夫人も喚問に来て頂くと、真実がはっきりするのでは?という気がしてなりません。何しろ国民の多額の税金がかかった問題でもありますし、「政治的力」というものの勉強?のためにも、国民は注視する必要があります。

また、先週3月15日の東京新聞の中の、文芸評論家である斉藤美奈子さんが書かれているコラムを読んで、「なるほど」と思ったのは、「東の豊洲」と「西の豊中」って、なんか似ていない?」という面白い文章です。この斉藤美奈子さんが書かれる文章は、いつも本当に面白いです。

「疑惑がらみの土地売買という点も、背後に政治家の関与がちらつく点も似ているが、さらなる共通点は、土壌汚染や地下のゴミなど、問題の多い土地立った点である。」 その他色々詳しく書かれてありますが、両者の地名の字も似ているし。妙なものですね。

最後に斉藤さんは、「もしかしてこれは「氷山の一角」ではないのか。二カ所であったことが三カ所であったとしても不思議ではない。」という言葉でしめられていましたが、本当にそうですね。

ではまた。

昼間暖かかったので、ウメをお風呂に入れました。ウメはきれいになったけれど、お風呂場がウメの抜け毛で大変なことになったので、大掃除。ついでにウメがいつも寝ている薄手の毛布計6枚も洗濯。

その他色々あって、もうくたくた。眠いので寝ようと思いましたが、簡単に書けるエピソードだけ書いて寝ます。面白かったので、早くここに書きたくて(笑)。

それは3日前の金曜日のこと。前回の受診から1か月経つので、喘息の持病がある母の薬をもらいに、かかりつけの病院へ母と行く日でした(物忘れが多い母なので、もう毎月、私が同行することにしています。 思えばパーキンソン病だった、今は亡き父の通院にも数年間、毎月同行していたものでした)。

医師からは、「今までお母さんが飲み忘れた薬を、今度の時全部持ってきてね。」と言われていましたので、早めの11時半に実家に着いて、残っている薬のチェックをしました。すると個包されている朝・昼・夕の薬のうち、朝はこの1か月ほとんど飲めていいたものの、昼は全部で68袋(つまり68日分)、夕は28袋(同28日分)残っていました。 朝の薬が大事だというので(それが飲めていれば、必要な薬の8割かたは取れているそうです)、この1か月喘息の発作はあまり起きていませんでしたが、あまりにも多い昼と夜の残薬。

母もきまり悪いのか、「昼は出かけて忘れちゃうのね。あんまり多いと先生ががっかりするから、持っていくのはちょっとにしない?」なんて言っていましたが、それはダメですね~。
ケアマネさんもかかりつけ医に挨拶したいというので、2時前には実家に来て、一緒にタクシーに乗って病院へ行くことになっていました。母には私がいますが、私のような付き添う家族がいない方には、ケアマネさんが家族代わりに病院へ付き添うそうですよ。

午後の診察は3時からですが、ケアマネさんは、「連休前なので混むかもしれませんね。早めに行って待ってましょうか?」と提案。それもそうだ、と母に何時から病院は開くか尋ねると、「いつでも開いているわよ。もう行きましょう。」と言うので、2時半に病院到着。・・・でも、ドアは開きません。中も真っ暗です。

私は、「開いてないじゃん!もう、なんでも自分の希望通りに世の中は回っている、と思っているんだから~。」とブツブツ。仕方ないので、病院のドアの前に母、ケアマネさん、私の3人で立っていました。

すると、向こうから母と同じような年齢の、マスクをしたおばあさんがやってきました。同じくマスクをしているケアマネさんが軽くそのおばあさんに会釈をすると、おばあさんは、「やあだ、マスクしているから、誰だかわからなかったわあ!」と言いました。

私は、(ケアマネさんはあちこちに知り合いがいるんだな。すごい。)と感心しておばあさんとケアマネさんの会話を聞いていました。おばあさんは、「私は最近遠くの病院へ行くようになったけれど、急な時は近いこの病院にお世話になっているんですよ。」、云々、あれこれ色々な話をされ、ケアマネさんも、「まあ、そうなんですか。」と相槌を打っていました。

会話をしながら思い出そうとしていたのでしょうか、どうしても思い出せなくて諦めたおばあさんは、ケアマネさんに向かって、こう言いました。「ところで、どちら様でしたっけ?」

思わず吹き出しそうになった私は、次のケアマネさんの言葉に、とうとう吹き出しました。
「はあ、あの、今初めてお会いしたと思いますよ?」

ええ~?ということは、2人とも知らない人同士だったのに、延々と話していたということですか?

おばあさんは「え、そうですか?」とびっくりしたあと、尚も世間話を少しだけして、行ってしまいました。

私がケアマネさんに、「てっきり知っている人なんだと思っていました。」と泣き笑いしながら言いますと、ケアマネさんも笑いながら、「いえ、マスクされているから、病院に来られた方と思い、会釈したんですよ。全然知らない方ですよ~。」と言いました。

母だけ平然とした顔で、「話したいのよ。誰かと話がしたいのよ。」と言いました。
ケアマネさんも、「そうかもしれませんね。」と答えました。
そうなんだ、でも、それならおばあさんは沢山話せて良かったです。

聞けば、こういうことはケアマネさんはよく経験するそうです。優しそうに見えますからね。実際面倒見のいい、優しいケアマネさんなんです。

ようやく3時になって病院のドアが開き、医師と私たち3人でかなり長い時間話しました。母の喘息の状態をよく理解して下さっている先生で、安心しました。医師は、「次回もまたみんなで来て下さいね。」と仰いましたから、「ケアマネさんは忙しいので、私がケアマネさんに話を伝えますよ。」と申しました。
余談ですが、待合室には誰も待っておらず、連休前だけれど混んでいませんでした。皆さん午前中に来たのかな。

隣の院外薬局で薬の数を調整してもらいましたので、これからは飲み忘れがないよう、ヘルパーさんにも協力してもらい、母がお薬カレンダーで管理します。薬局で100円のお薬カレンダーも、ワッチ用に買ってきました(ワッチも喘息持ちです)。

その日は、母をめぐってもうひと騒動あったのですが、書くと長くなりますので、寝ます。
(年を取ると、ハプニングが日常茶飯事ですよね。笑。)
おやすみなさい。


昼間は暖かくなってきたものの、朝晩はまだ寒いです。
先週だったか、テレビを見ていましたら天気予報士が言うには、「桜が散るまでは暖房器具はしまわないように。」とのことでした。数日前には桜の花がぽつぽつ咲き始めているのを見ましたし、タンポポや沈丁花もどんどん咲いてきていますけれど、まだ油断して薄着にならない方がいいですね。

ここのところ相変わらず毎日のように用事に追われていましたが、ようやく今日はブログを書けます。色々書きたいことはたまっていますけれど、今日はウメの散歩で遭遇したあるできごとについて書きます。

ウメの散歩は1日2回、それぞれ1時間以上なので大変なのですが、もしウメがいなければこんなに歩かないでしょうし、近所の人たちと表で出会って話さないでしょうし、タンポポが咲いたのも知らないでしょう。つまり犬の散歩は、健康にも良く、地域交流にも役立ち、季節の移り変わりにも気づき、そして人助けにも役立つ・・・?はい、実は、人助けした話を書こうと思います。

3日前の木曜日のこと、私はウメと駅方向へ向かって散歩していました(行先はいつも、ウメの行きたいところについて行っています)。
最初に近所のおば様に遭遇し、旦那さんが足の関節がすり減って手術した話を長く聞いて、別れました。
次は、犬を2匹連れた顔見知りの男性と遭遇しました。元々1匹だったのが2匹になっていたので驚いてわけを聞きますと、「また保護犬の里親になろうと思って、今、お試し中。」とのこと。 2匹の相性が良さそうなので、「これなら大丈夫そうですね。」、と言って別れました。

ようやく駅近くまでやってくると、そこは大きな病院があるのですが、その裏口の前で、初老の男性が妙な姿勢で立っていました。いや、よく見ると少しずつ歩いているようにも見えるのですが、そっくりかえり過ぎでうまく歩けていないのです。(変だな。)と思いながらも、(そういう病気なのかもしれない。じろじろ見たら失礼だな。)、と通り過ぎました。若い人たちも皆、同じように思っているのか、その男性の前を通り過ぎていきました。

・・・けれど、やはり気になった私は、戻るのを嫌がるウメを引っ張ってさっきの場所まで戻りました。
するとさっきの男性は、通り過ぎようとしていた女性に右手を出してつかまっているではありませんか。
女性がびっくりして何か男性に話しかけているので、私も急いで男性のもとへウメと駆けつけ、倒れそうな背中を支えました。男性はこちらを見ようと首を回すのですが、あまり回りません。女性は、「急に動けなくなったのですか?」と質問していました。

男性は、「ああ・・・」と答えます。私は、とっさに「もしかして脳梗塞じゃないですか?脳卒中! だとしたら急いだ方がいいですよ。幸いここが病院ですから、病院へ行きましょう!」と言いました。
男性は、「う・・・そこのスーパーのレジに荷物を預けてあるから・・・」と言うので、女性が「じゃあ、私が取りに行きましょう。お名前は?」 男性「田中・・・」 私「じゃあ、私が体を支えていますね。ああ、でも犬がいるから犬が動いたら心配。」 女性「じゃあ、私が支えます。」 私「じゃあ、私がレジへ行ってきます。ああ、でも犬がいるからレジまで入れない・・・」 女性「それより、あなたは病院の人を呼んできて!」 私「(ハッとして)そうでした、そっちが先でした。」

一刻を争うので、私はウメを繋ぐところを探さず、病院の裏口を開けるとウメと一緒に病院の中へ走り込みました。そして、「すみませ~ん!」「すみませ~ん!」と大声をあげながら職員を探すと、ギョッとしているロビーにいる患者さんたちの横手に、放射線科の窓口があって、その中の男性とちょうど目が合ったので、「すみません!そこで急に具合が悪くなった人がいるんです!」と叫びました。すると、職員は頷くや否や飛び出てきて、ほかの職員に「担架持ってきて!」と声をかけ、私とウメと一緒に外へ出ました。

あの女性が男性を支えているところに病院職員がバラバラと集まり、「お名前言えますか?」と声をかけながら、いつのまにか持ってこられていた椅子に「ゆっくりでいいので、腰を下ろせますか?」とてきぱきと行動されました。
その時にはウメがもう散歩の先を行きたがって引っ張っていたので、「ああ、良かった、もう安心ですね。では私は犬の散歩に行きますね。」と職員や女性に挨拶して、気になりながらもそこを後にしました。

脳梗塞(かわかりませんが、多分そうでしょう)を起こしたのが、病院の裏門だったというのは、不幸中の幸いですね。数年前に横浜市脳血管医療センター(現在の横浜市脳卒中・神経脊椎センター)主催講演会でお話した時、センターが軽快な音楽に乗せた脳卒中の啓発ビデオ「FAST」を流していたのを思い出しました。

それは、「Face:顔がゆがむ、Arm:腕が上がらない、目をつぶって両腕を前へならえの姿勢をとると麻痺のある方の腕が下がってくる。Speech:ろれつが回らない。このような症状が一つでも急に起これば70%の確立で脳卒中の可能性があります。TはTime:時間。脳卒中の治療はスピードが大事で、このような症状があれば即座に119番で救急車を呼びましょう。」というもので、この頭文字をとって「FAST」。米国脳卒中協会が始めたキャンペーンを日本脳卒中協会が取り入れ、横浜市脳卒中・神経脊椎センターが啓発していたようです。
あのビデオ、色々なところで流してくれたらいいのにな。とてもわかりやすいビデオでした。

また、病院職員がすぐ男性に「お名前言えますか?」と問いかけていたのが印象的でした。意識があるうちに身元をはっきりさせておかないと、意識がなくなるかもしれないからですよね。
コウジさんも私が病院から連絡をもらって駆けつけた時には、既に意識はありませんでした。けれど意識がなくなる前に、私の電話番号や私の実家の電話番号を伝えられたのです。(私はワッチのスイミングスクールの建物の中にいて繋がらなかったので、彼は私の実家の電話番号を伝えたそうです。自分の実家より私の実家の方が東京に近いし、しっかりした父もいたからでしょう。→コウジさんの父は20年前に亡くなっています。)

ウメと歩きながら、あの男性はどうなったかな。ご家族とは連絡がついたかな。本人もだけれど、ご家族もびっくりしたろうな。おおごとにならなければいいな。など色々考えていましたら、不意に涙が出てきました。

突然病に襲われてから、治療やリハビリを受け、元の暮らしに戻っていくまでの苦労や努力、悲しみや喜びを思うと、自分が辿ってきた道を思い起こし、やっぱり涙が。でも命が助かれば、もうそれだけで儲けものですね。あの男性の今後に、幸いあれ!と祈りました。

実は私は1年くらい前にも、同様の場面に出くわしたことがあります。やはりその時もウメの散歩中で、背の高い外国の男性が、汗びっしょりになりながらそっくり返って階段を1段1段、上っているのです。
そういう姿勢の方なのかな、お手伝いしようかな、と思いながらもウメに引っ張られ一旦通り過ぎました。
気になって振り返って様子を見ていますと、同じように心配した女性が彼に話しかけています。私もお手伝いしなくちゃ、とまたウメと走って戻り(いつもこのパターンですね。今度は自分から話しかけなくちゃ。)、そばの駐輪場のおじさんもやってきて彼に「大丈夫ですか?救急車呼びましょうか?」と話しかけました。

私も、「ambulance(救急車)?」「hospital(病院)?」「brain injury(脳損傷)?」などの英単語や、適当な英会話で話しかけますと、その外国人男性は、「ダイジョウブ」「ダイジョウブ」と言っていました。
けれど大丈夫なわけないので、なおも皆で彼の鞄をもったり体を支えたりしようとしますと、鞄を取られると思ったのか絶対離さないし(もしかして麻薬とかまずいものが入っているの?と私は思ってしまったくらい)、「サガレ!」「サガレ!」と時代劇のセリフのような言葉で怒るのです。 

そのうち駐輪場のおじさんが呼んだ警官がやってきて、救急車も既に待機してくれているとのことなので、ほっとしました。そして彼が救急車の中に寝かされて入れられるのをウメと見届け、やっと安心して散歩の続きをしたのです。

夜、そういう話をワッチにしながら、「もし姿勢の変な人がいたら、その人は脳卒中を起こしているかもしれないから、無視しないで助けるのよ。」と教えますと、ワッチは「わかったよ。でも、よくそういう場面に出くわすものだね。」と呆れていました。

やはりウメの散歩は、疲れるけれどいいことが多いですね。
明日も楽しく行ってきましょうか、 はい(笑)。

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