日々コウジ中

日々コウジ中 - クモ膜下出血により、さまざまな脳の機能不全を抱える“高次脳機能障害”になったコウジさんを支える家族の泣き笑いの日々

2017年09月

昨日、ふとコウジさんに聞いてみました。
「私が金沢へ行っている間、私がどこへ行ったのか、わからなくならなかった?」

するとコウジさんは、「なった!なった!」と言いました。
続けて、「あれ、マーちゃん、どこだろう? ウメの散歩かな? と思って家の中を見て回ると、ウメがいやがる。 じゃあ、どこへ行ったんだろう、と考え込んでいたんだよ。」「そしたら、思い出した。あっ!金沢に行ったんだった!ってね。」

・・・ やっぱり! やっぱり、こうしてすっぽり抜けてしまうんですよねえ。冷蔵庫に貼ったスケジュール表も見ないで、心配になっていたそうです。良かったあ、頻繁に電話して。

私からの電話のほか、母や義母からの電話も、やっぱり良いようです。忘れそうになると、誰かしらか電話をかけてくるので、思い出すとのこと。 これからも、家を留守にする時は、時々電話をすることを忘れずにいよう、と改めて思いました。

さて、金沢の話の続きです。
石川県リハビリテーションセンターのKさんに連れられ、センターの中に入ると、会場の4階へ上がりました。
そこではスタッフの方たちがもう準備に追われていたので、感謝しながら控室になっていた部屋へ通されました。そのままそこで、センターの医師や保健師さんや作業療法士さんらの職員の方々、家族会「つばさ」の方々と、13時半近くまでゆっくり話すことができました。

「NPO法人高次脳機能障害患者と家族の会つばさ」は、13年前の平成14年にできた家族会だそうです。
普通家族会は、当事者家族が立ち上げることが多いのですが、「つばさ」はケアマネさんが作られた珍しい会です。ケアマネさん(でもあり、看護師さんでもあり、社会福祉士さんでもある)のDさんは、当事者家族があまりにも大変そうなので「つばさ」を作られることになったそうですが、こうして支援職の方が家族会を作られるなんて、当事者家族としては大変有難く助かることです。

拝見していますと、センターの職員の方々と「つばさ」の方々はとても仲が良く、当事者家族はなんでもセンターに相談できる関係なのだとわかりました。私もその輪の中にいて、とても居心地が良く、いつまでも話していたかったです。石川県の当事者の方、ご家族は良かったですね。

そういえば、北陸3県といわれるほかの富山県と福井県も、支援拠点である高志リハビリテーション病院(現在の富山リハビリテーション病院・こども支援センター)と家族会「高志」の方々、福井総合病院と家族会「福笑井」の方々とは大変仲が良かったのを思い出しました。土地柄でしょうか。都道府県別幸福度ランキングなるもので、この3県はよくトップ3に選ばれていますが、関係あるかな?

講演会は、リハセンターの岸谷都医師によるご挨拶から始まり、ご紹介を受けて110分の時間を頂き、私が話しました。いつもより少し長めにお時間を頂けたので、夫コウジさんのエピソードを色々と織り交ぜながら話していましたら、それが長すぎて時間が足りなくなり、最後はやはりいつもながら駆け足となり、反省しています。

資料もとても長いものとなりましたが、家に帰られてから虫眼鏡で(字が細かいので)読まれて頂けたら幸いです。
質疑応答のあと、「つばさ」の上口会長による会の紹介があり、講演会は終了しました。

会のあとも、なるべく多くの方とお話できるよう、時間に余裕をもって新幹線の切符を買っていたのですが、コメント頂いたように、私と話したくても話せず時間がなくて帰られてしまった方がすごく多かったのでは、と申し訳なく、この場を借りてお詫びいたします。こんな私と話したいと思って下さる方がいらして有難い限りなのですが、最初にそういう方と1人1人とご挨拶してから、時間のある方と話すようにしたら、全ての方と話せたのにな、と反省しています。でも、私が偉そうにそんな采配をふるうことはとてもできないので、それは打ち合わせの時にスタッフの方たちと話しておくべきことの1つだ、と今回遅まきながら学びました。

でも、講演会へいらした方で、もしこのブログを読まれている方がいらしたら、どうぞなんでもコメント下さいね。あの時はお話できませんでしたが、ここならできますから。

さらに、私は東京からキャリーに入るだけ、『日々コウジ中』『続・日々コウジ中』を持って行ったのですが(各10冊)、あっという間に完売したと聞き、有難うございました。欲しくても買えなかった方が沢山いらしたと聞き、そういう方はどうぞ表参道のクレヨンハウスさんへ、電話で注文下さい(TEL 03-3406-6405)。クレヨンハウスさんへもネットで注文できるよう、リンクの貼り方を教わらないといけないのですが、忙しさにかまけてまだ教わっていません。ご不便おかけしています。1か月以内には、教わって貼ります。

このブログでは、注文先はアマゾンさんしか出ていませんが、アマゾンさんには残念ながら在庫はないと思います。けれどこのアマゾンさんへのリンクのはずし方も、わからないのです。スミマセン。そのうちはずせると思いますが。

ではまた。台風が日本列島を縦断しています。被害が大きくなりませんように。東京は1日中、普通の雨でした。

北朝鮮のミサイル、台風などのニュースが気になりますね。
平穏な毎日が続くことが一番いいのに、自然災害はともかく、人為的災害により平穏を乱されるなんて。否、平和は人の努力によってこそもたらされるものであって、争いは、実は簡単に起こせるものなのでしょう。
良識、良心。誰もがそれを持つ世の中であったなら、いいんですがね。

今日は、金沢講演の話の続きを書けません。疲れて眠くなってしまいました。すみません。

午前は囲碁教室で、楽しかったです。
練習不足ゆえ上達している気はあまりしませんが、普段と違う頭(脳)の部分を使って頭(脳)が喜んでいるような感覚がしたり、優しい先生たちや気心がお互い知れ始めた初心者仲間の方々とお会いして笑い合ったり、石倉先生にじかにわかりやすく教われて(はあ、なるほど!)と思えるこの2時間は、1週間の中で特別な時間となっています。なんといいますか、知らなかったことを知る喜びといいますか、刺激的といいますか、向学心が目覚めるといいますか。たしかに若返る気がしますので、囲碁は特に高齢者にはいい趣味だと思います。

井山6冠と高尾名人の第2局の棋譜が、朝日新聞に掲載されていましたので、帰宅してお昼ご飯を済ませると、コウジさんとその通りに並べていました。でも途中でお互い疲れて、やめました。だって、日本一の棋士たちの棋譜ですからね、とてもまだその考えがわからず、「え~、ここに打つの?」「なんでだろう。」と、段々テンションが低くなってきたのです。

そういえば石倉先生が、やさしい問題を解くと碁が強くなる、と仰っていたのを、今思い出しました。ほかにも碁が強くなる心得をいくつか教えて下さっていますが、うっかりみんな忘れていました(汗)。

じゃあ、井山さんと高尾さんの棋譜を並べている場合ではなく、簡単な問題から挑戦しなくちゃあ。
まだ『入門、初心者のためのはじめての詰碁』(日本棋院)を解き終えていないので、『世界一役に立つ実戦詰碁』(石倉昇先生著 マイナビ)は開いていません。明日は大雨のようなので、コウジさんとゆっくりこの2冊の本をやってみようと思います。

夕方から、娘のワッチに頼まれて買い物に付き合うため、雨の中二子玉川へ出ました。面倒くさくて行きたくなかったのですが、仕方なく。
けれどいくつかの買い物を済ませた時、ワッチが「わあ、今日はこれから部活に行かなくちゃいけないんだ!」と言い出したので、途中でしたがワッチと別れて帰ってきました。計画性のない人につきあうと、疲れます。というか、ワッチの予定を把握していないので、当たり前かあ。でも早く帰ってこられたので、少し嬉しかった私。留守番しているコウジさんも、喜ぶでしょう。ただ、慌てて帰ってきてお夕飯になるものを何も買ってこなかったので、今夜は冷凍庫の中にあるものだな。ま、仕方ないか。

「(背負っている)リュックの中に折り畳み傘が入っていたから、これはいらない。」と、長いビニル傘までワッチに押し付けられて、ブツブツ文句を言いながら駅から1人自宅に向かって歩いていると、私のそばを高校生くらいの男の子が、傘を持たずに濡れながら歩いているのに気づきました。

(やった!このビニル傘が役に立つ!)と嬉しくなりながら、「ボク、ボク(若い男の子にかける言葉として適当かわかりませんが)、この傘いらないので、使って!」と持っていたビニル傘を差し出しました。
耳にイヤホンをつけた男の子は、それでも聞こえたようで、目を丸くすると、「あ、有難うございます!」と喜んで受け取ってくれました。

(いいことした!)と高揚した気持ちを抑えながら、私は男の子の先を、颯爽と(本当はドスドスと)歩いて帰ってきました。ワッチのおかげで、いいことができました。あとでワッチが帰ってきたら、この話を報告して喜び合おうっと。

ともかく、囲碁とワッチの買い物付き合いで今日はくたびれましたので、金沢の話はまた明日です。
外の雨は強くなってきました。でも、明日はもっと強く降るようです。
雨がやむ頃には、もうセミも鳴かなくなっているかな・・・ そう思うと、寂しいです。
おやすみなさい。

石川県リハビリテーションセンターは、市役所や兼六園・金沢城など見どころの多い駅東側ではなく、西側の、海方面にありました。電車はなく、バスも本数が少なくて、隣接する済生会金沢病院とともに、車でないと行きづらい、なかなか不便なところにありました。

周りは広々として、何にもなかったような・・・。タクシーの運転手も、「石川県リハビリテーションセンター?それはどこですか? ええ?随分遠いなあ・・・。」と、普通は中心街の東側へ行くことが多いのでしょう、ナビを見て驚いていました。

饒舌な運転手さんで、「私は東京では暮らせないね。」「金沢は家も広く、1人に車1台。車がないと生活できないけれど、いいところだよ~。」「東京は浅いよ。文化がない。東京で阿波踊り、よさこい踊りなんてやってるのを見ると、みじめったらしいね。金沢には文化があるよ。」「食事しにお店に入るのに、列を作る東京なんて信じられない。予約しなくちゃいけないなんて。」「金沢から東は行かないね、新潟や北関東、東北なんて何もない。」など、どんどん郷土愛がエスカレートしていく、面白いおじさんでした。

運転手さんはほかにも、「金沢は学会がすごく多い。」「金沢は観光地ではない。ひがし茶屋、にし茶屋なんて、観光客は喫茶店があると思ってくるけれど、あそこは花柳界で芸者さんがいたところで、今もいる。」「外国からの観光客は金沢市内ではなく、山の方に行く。わかってるねえ。」と話が尽きず、このまま運転手さんの話をずっと聞いていたら、金沢のことがよくわかりそうでした。

名残惜しく?センターの正面玄関前でタクシーを降りると、そこは照りつける真夏の青空の下でした。しかも、まだ11時過ぎ。「12時前に来て下さい。」と言われていたのに、早過ぎた。でも、遅れるよりはいいです。
センターの前で荷物を下ろすと、これから何時間も連絡できないので、家にいるコウジさんに電話をしました。
(こうして頻繁に電話することが、大事です。私がどこへ行ったか忘れて不安になっているかも知れないし、冷蔵庫に貼ったスケジュールのことも忘れているかもしれないし。)

コウジさんは外の鉢植えに水やりをし、ワッチはバイトに行き、犬猫は皆元気で、母や義母から電話が入り、特に異状ないとのこと。「じゃあ、また夕方電話するね。」と一安心し、さてセンターに入ろうとしたら、ドアが閉まっていました。(ああ、日曜日だから閉まっているんだ。・・・もしかして12時前まで入れないのかな?)と不安になりながら、聞いていた担当者の携帯番号に電話をかけたちょうどその時、目の前の通用口の扉がパッと開きました。

そこから出てこられたのが、ずっとメールでやり取りしていた担当者のKさん。ようやくお会いできた!という嬉しさがこみあげてきました。 ・・・ 今までブログを7年書いてきましたが(今月3日で満7年!)、こんなに講演会のことを細かく書いているのは、もしかしたら初めてかもしれません。特に理由はありませんが、この調子で書き続けますね。 (つづく)

一昨日家の掃除をしていた時、どこからかヒラリ、とレシートが床に落ちました。
(ん?なんのレシートかな?)と拾い上げますと、それは9月12日付のタクシー乗車領収書でした。私も、多分ワッチも乗っていないので、乗ったのは残る1人、コウジさんだよね。なんで?いつ乗ったんだろう?

帰宅したコウジさんに、「ねえ、タクシー乗った?」と聞きますと、記憶の悪いコウジさんですが、それは覚えていて、「乗った!」という答え。「なんで?」と聞きますと、「朝、いつもと違う改札から出たら、会社の場所がわからなかったんだよ。遅刻しちゃいけない、と思って、タクシーに乗って、ビルの名前を言って連れていってもらった。」 

私「え~、だって今のビルに会社が移ってきて、もう1年以上経つよ?なんで急に迷うの?」
コウジさん 「オレだってわかんないよ。多分電車をいつもと違う車両から乗ったんだと思う。そして違う階段を上って、知らないところに出たんだよ。」
私「でも、810円って、高くない?初乗り料金て、今410円なんじゃない?」
コウジさん「運転手がビルを知らなくて、ぐるぐる回ったんだよ。」
私「そうなの?でも810円あったら、お昼食べられたよね。勿体ない。」
コウジさん「そうなんだよ。勿体ない。」
私「もう違う車両から乗っちゃダメだよ。」
コウジさん「うん、ママちゃん。」

こういうことがいきなりあるので、気を抜けません。でも遅刻しちゃいけない、と思ったことは偉い!と思いました。

それから、今日、NHKのディレクターさんから電話取材がありました。高次脳機能障害関連ではなく、例のウメの動画、「柴犬さくらの滑り台」の件です。
7月24日にNHKの「投稿DO画」HPに載った、ウメ(本名さくら)がスロープをお尻で滑る動画が面白いので、NHKテレビの「おはよう日本」の「世界が注目!ネット動画」コーナーで放送して下さるとのこと。わあ、嬉しい!
これからまだまだ制作に時間がかかり、放送は早くて10月下旬~11月のようですので、日程が決まりましたらここでお知らせしますね。

まだご覧になっていない方は、こちらを検索下さい。(コメント欄で「夏バテ君」が教えて下さったアドレスです。「夏バテ君」、有難うございました。)

https://toukou.nhk.or.jp/doga/movies/detail/7228
https://toukou.nhk.or.jp/doga/movies/detail/7230

今日もウメは、動画のようにお尻でスロープを滑っていました。きっと楽しいんでしょうねえ。

10月1日(日)午後1時~4時に、築地の浜離宮朝日ホールで「高次脳機能障害講演会 退院後、状況に合わせて考えておくべきこと」がありますね。
http://www.asahi-welfare.or.jp/archives/2017/08/2017101.html

先着400名、参加費千円でお申し込みが必要だそうです。充実した講師の方々ですので、行かれるといいと思います。

この浜離宮朝日ホールでは、去る8月27日(日)に、TKK(東京高次脳機能障害協議会)設立15周年記念講演会がありました。私はそこへ夕方から参加し、奥様がくも膜下出血から高次脳機能障害になられた、キャスターの松本方哉さんのご講演を聞いてきました。非常に良かったので、その話も近いうちにここで書きますね。

ほかにも書いていない話が色々ありますので、おいおい書いていきます(少し涼しくなってきて、書く元気が出てきた私?)。

そうそう、8月末日までに使わなければならなかった、ヤマダ電機の金券。8月22日のブログに書いたばかりのに、やっぱり忙しくて行けず、使えずじまいでした。がっくり。

つづきです。

駅近くのホテルにチェックインして荷物を置き、コウジさんに電話し、何事もないことを確認すると、安心してまた駅に戻り、構内のお店で具の大きな天ぷら定食を食べました。さすが海に近い金沢、海の幸に恵まれているので量が多いのに安いです。構内に観光案内所があったので、いくつかパンフレットをもらって、食事が運ばれてくるまでの間、何気なく読んでいました。

すると、土曜日の夜は「ライトアップバス」というものが特別に走っているのを知り、40分ほどを300円で回れるのなら、と8時20分発のバスに乗ってみました。車窓からライトアップされた近江町市場、金沢城、21世紀美術館、県立美術館、能楽堂、赤レンガミュージアム、成巽閣、石川四高記念文化交流館、香林坊の町、尾山神社などを見て駅に戻ると、ちょうど9時。金沢駅からこんなに近いところに、見どころがいっぱいあることに驚きながらホテルに帰りました(ほかにも、ひがし茶屋街、にし茶屋街、武家屋敷跡、浅野川や犀川などもあるんですからね。)。頑張れば、兼六園や金沢城まで駅から歩けますね(頑張りませんが)。

翌朝は6時に起きて、アルバイトへ行くワッチが寝坊していないか、ワッチとコウジさんに電話しました。ちゃんと起きて用意しているのを確認してホッ。ホテルの美味しい朝食を頂くと、講演会場へ行くにはまだまだ時間があるので、遠くは行けないけれど、昨日場所を確認した兼六園くらいは行ってみよう、という気になりました。 そして7時10分発の路線バスに乗りましたが、やはり、それが間違いだったかも。大人しくホテルの部屋にいれば良かったかも。

「兼六園下」で降りたものの、迷っておかしなところ(大手町)に出てしまいました。また同じ道をさっきのバス停まで戻ると、見上げたところに金沢城があり、そこに繋がる歩道橋も見えたので、そこまで坂を上っていくと、どうにか兼六園に辿り着けました。やれやれ、その時7時40分。

気温30度に近くなるという陽気の良さの中、無駄に歩いたせいで、段々へばり始めた私。高校の修学旅行で来たはずなのに、全く覚えていない兼六園。灯篭を見た後、栄螺山(さざえやま)なんて上ったら、息切れしてベンチに座り込んでいました。そこから見下ろす景色は良かったのですが、ゆっくりもしていられず、すぐ降りると、そのあとが迷路のような道で迷いに迷い、このままでは講演に差し支える、と退散を決意。

転がるように出口を見つけて兼六園を出、バス停へ行くと、15分もバスを待つことがわかり、がっかり。けれど8時40分発のバスを待つ時間を利用して、講演で話すことをおさらい(おさらいしたくせに、本番では話があちこちに飛んでしまい、すみませんでした。→ 明日以降に後述)。

金沢駅に戻ると、講演会後に時間がないかも知れないから今のうち、とコウジさんや近所やその他の人たちにお土産を購入。コウジさんは頑張って留守番してくれているので、好きなお酒を買っていって喜ばせたい(好きといっても、毎日コップ一杯飲むだけですが)。けれど、地酒を探したところ、種類があり過ぎて、どれがいいかわからない。ゆっくり選ぶ時間もないし、適当に選び、ほかのお土産を抱えてヤマトの窓口へ。送る手配をしてから、急いでホテルに戻ったら9時半。荷造りしてチェックアウトしたのが10時15分。
どこかでちょっとアイスコーヒーでも飲んで休んでいきたい気も大いにしたのですが、本の入った重いキャリーをゴロゴロ引いていると、どこかへ行く気にもならず、足はそのままタクシー乗り場へ向かいました。(講演会場の石川県リハビリテーションセンターは、金沢駅からはちょっと遠い不便なところにあるのです。)

乗り場では、お客さんは流れ作業のように、どんどんタクシーに乗せられていきます。
私がのろのろキャリーを引いてそこへ着くやいなや、係員のおじさんがてきぱきとキャリーを私の乗るタクシーのトランクに入れてくれ、あっという間に私は車中の人になったのでした。 (つづく)


金沢へ行ってきました。

東京から北陸新幹線でなんと片道2時間半なので、日帰りできる近さです。が、この時期台風が来たら新幹線が止まる可能性があり、当日金沢へ行けなかったらご迷惑をおかけしてしまうので、小心者の私は前日から金沢入りしました。

けれど前日の土曜日午前は、石倉昇先生の囲碁教室に通っているため、授業を欠席するのは気持ち悪くてできない性質の私は、しっかり教室に参加してきました。
先生はとても優しくてきめ細やかでわかりやすい指導をして下さるし、囲碁の歴史や現在の興味深い話を楽しく山ほどして下さるので、囲碁を学ぶ人たちからなぜこれほど絶大な人気があるのかがわかりました。ああ、私の家の近くに石倉先生教室があったなんて、なんてラッキーなんでしょう。これで上達しなければ、バチが当たりますね。

でも、私が毎日囲碁だけの生活だったら、きっともっと上達しているはずなんですが、あれこれ用事に追われて1週間碁石に触れられないまま教室へ行くこともあるため、いつまでたっても初心者の域から抜けられません。

たしかにもう少し上達すれば、もっと上級者のいる大教室の方に移れて、今よりずっと長い1時間は石倉先生の講義を聞けるそうなので、それも楽しみです。(でも、まだまだです。)

コウジさんの高次脳機能障害症状改善に効果があるのでは? と木谷正道さん(故木谷實九段のご三男)から誘われて始めた囲碁ですが、肝心のコウジさんこそ囲碁の本すら読もうとしません。ま、まずい・・・。

私が声掛けしないと、テレビばかりのコウジさん。母の病気騒ぎ等があって、ここ1か月は特に時間に余裕がなかった私は、コウジさんの前で碁盤を広げることがなかなかできませんでした。 けれど金沢講演も終わった今、11月19日の町田市講演(町田市民ホール)までは頑張って、コウジさんと碁盤をはさんで向き合いたい・・・ って、さっきから言い訳ばかりですね(苦笑)。

実はこれはまだここで書いていなかったかもしれませんが、2020年の東京オリンピックに合わせて、木谷さんは囲碁と障害と音楽とアートの祭典を企画しています(会場は碁石海岸のある岩手県大船渡市)。
それまでに私は、囲碁と高次脳機能障害、視覚障碍、身体障害などをテーマにした絵本を描き上げている予定・・・なのです。 だから尚更、コウジさんには囲碁に取り組んでもらいたいのです。

それはともかく、囲碁教室から帰宅した私は、留守をする時いつもするように、大きなカレンダーの終わった月の裏に、その日と翌日(講演日)のコウジさんや私のスケジュールを、見やすいようにマジックで書きました。

私が何時何分の東京発の新幹線に乗って何時何分に金沢に着くのか、宿泊するホテル名と電話番号、翌日の講演会場名と主催者(石川県リハビリテーションセンター)の電話番号と担当者名、何時何分の金沢発の新幹線に乗って、何時何分に東京に戻ってくるのか。帰宅は大体何時くらいか。その間コウジさんとワッチの食事のこと(冷蔵庫に何が用意してあるかや宅配チラシ等)、犬猫の餌やりや水替え、トイレ掃除や犬散歩、植木の水やりなど、たった30時間のことですが、細かく書きました。
コウジさんはいつもその大きな紙をいそいそと冷蔵庫に貼って、私の留守中はそれを見ながら過ごすのです。

さらに私の母親とコウジさんの母親2人に電話して、頻繁にコウジさんに電話して様子を見守ってくれるよう、いつものように頼みました(この2人からの電話が何度もかかってくるため、結構コウジさんにはうるさいようですが、やはり安心です)。もちろん私も、留守中何度もコウジさんに電話をします。

こうして私は1泊くらいならなんとかできるようになりましたが、2泊はちょっと厳しいです。コウジさんの不安やストレス、家事などの負担が彼を疲れさせたり、ブチッと切れた彼が思わぬ事故事件を招きかねないからです。(一番心配しているのは、犬のウメの散歩です。散歩中、よくイヤイヤをするウメにブチッと切れると、彼はリードを思いっきり引っ張るのです。それで今まで何度、ウメの首輪がはずれて脱走させてしまったことか。車にぶつかったら死んでしまいます。)

「絶対ウメのリードを引っ張らないこと」と何度も念を押し、一抹の心配を残して家を出た私。新幹線の中では詰碁の本を読み、金沢に着いたのは夜7時のことでした。 (つづく)

おっと、書き忘れました。今日9月13日は、コウジさんがくも膜下出血で倒れた日です。今日から14年目に入ります。 『続・日々コウジ中』に書いたように、新しいコウジさん誕生を記念してケーキは食べず、いつもの私のなんてことない手料理を山ほど食べて、今彼はソファーで幸せそうに寝ています。元気でいてくれて、嬉しいです。

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