日々コウジ中

日々コウジ中 - クモ膜下出血により、さまざまな脳の機能不全を抱える“高次脳機能障害”になったコウジさんを支える家族の泣き笑いの日々

2019年07月

まずは、ふなごやすひこ(舩後靖彦)さん、木村英子さん、当選おめでとうございました。
「れいわ新選組」から2名の当選者が出て、これから国会では難病者や重度障害者が議員となって活躍できることになりました。(岩手からも、車椅子の横澤高徳(よこざわたかのり)氏が当選とのこと、おめでとうございます!)

比例区で最高獲得票数を得ながらも、落選した山本太郎さんですが、党首ですので、これからも党首討論会などで発言できますし、メディアに出てくる頻度も高くなると思います。皆さまのご活躍を楽しみに見守り応援したいと思いますので、頑張ってください。

そう考えると、山本太郎さんは偉いですねえ!今までほかの誰が、難病者や重度障害者を国会へ送り届けることをしたでしょうか? 自分の体を張ってそうしてくれた山本さんに、感謝しかありません。それに、いつかは高次脳機能障害の議員も出てくるといいなあ。うん、夢じゃないかも。(でも、疲れやすいから無理かなあ・・・。どうだろう。)

さて、21日の投票日のことを記しますね。この日もコウジさんは、高次脳機能障害のコウジさんでした(笑)。

そもそも娘ワッチが、「え、家族3人で投票に行くの?やだよ、恥ずかしい。」と言い出したことが発端です。
たしかに両親と3人で連れだって投票所へ行くのは、22歳の娘としては嫌かもね、と納得した私は、靴をはいて「早く!早く!」と、投票へ行くという目的に集中して焦っているコウジさんに、「ワッチが、3人で行くの恥ずかしいんだって。あなた先へ1人で行ってくれる?」と頼みました。歩いて3分のところにある中学校が投票所なので、さすがに迷わないでしょうから。

コウジさんは、どこかへ行くとなると、すごく焦ります。これは元々の性格か?障害のせいか?障害を負う前の彼を思い出しても、ここまでせっかちではなかったので、心に余裕がなくなってるのは、やっぱり障害のせいだと思います。

また、コウジさんは投票する人を家を出る前に一所懸命覚えているので、「メモ持って行けば?」と言っても、「それくらい忘れないよ!」と不機嫌になりました。それも障害なのか、ごく普通の反応なのか。でもプライドが高いのは、いいことだと思うので、覚えていられることを信じて、メモは持たせませんでした。(そうして失敗することも多々あるのですが、今回は投票終えるまで、覚えていたようです。)

とにかく1人で先に行くよう頼まれたコウジさんは、「そうか、わかった!」「じゃ、出口で待ちあわせな!」とワッチの気恥ずかしさをわかり(偉い!)、鼻息荒くすっ飛んで行ってしまいました。

そのあとすぐ、ワッチと2人で投票所へ行くと、もう投票箱に記入した投票用紙を入れているコウジさんがいました。
・・・そこで一言声をかければ良かったのかもしれませんが、当然彼は私達に気づいていると思ったんですよね。でも気づいていなかったんですね。

ワッチと投票を終えて出口へ来ると、コウジさんがいません。

「あれ?ここで待ち合わせになっていたんだけど。」と困る私に、ワッチは「近いんだから勝手に帰ればいいじゃん。なんで待ち合わせなんてするの?」と呆れ顔。「みんなで一緒に帰りたいんでしょ。でもどこへ行っちゃったんだろう。」

実はワッチがそのあとすぐ出かけることになっていて、もう時間がないので私は車で駅まで送るつもりでした。コウジさんを探していては、ワッチが人と待ち合わせしている時間に間に合わなくなります。まったくもう、なんでこうなるの?面倒臭いなあ。待ち合わせしたことを忘れて帰ったのか、あるいはまさか以前一度だけあったように、家から遠い方の、別の校門から出てしまったのか。

とりあえず帰宅すると、やっぱりコウジさんはいなくて、ワッチを車で送ったあと、別の校門の前をそのまま通ってコウジさんがいるかチェックしました。でもいなかったので、もう帰宅したのかな、と期待して車で帰宅。ところが、まだコウジさんは帰っていませんでした。

私もさすがに、段々心配になってきました。投票を終えて30分は経っているのに、なんで帰っていないの?まさかどこかで倒れているとか?

家を慌ただしく出たり入ったりしている私に、犬のウメがいい加減しびれを切らして、「自分も一緒に出かけたい!」と騒ぐので、仕方なくウメにリードをつけてまた中学校へ歩いて行きました。入口の柵にウメを縛り付けて、さっき投票した部屋へ行くと、当然ながらコウジさんはいません。そのまま別の校門の方へ出ると・・・いた!コウジさんが木陰のベンチで、気持ちよさそうに涼んでいました!そこは車通りからは見えない、引っ込んだ木陰でした。

私に気づくと、コウジさんは「よっ」と片手を挙げて立ち上がり、ご機嫌でこっちへ歩いてきました。

「なんでここにいるの?待ち合わせの出口は入ってきたところでしょ?しかも30分もなんで座ってるの?私たちが来なくておかしい、と思わなかったの?」とまくしたてる私にコウジさんは驚きながら、「おかしいなあ、遅いなあ、と思ったけど、またワッチが洋服着るのに時間かかって家を出るのが遅いんだろうと思って。でも、そろそろ帰ろうかと思ってたんだよ。」と言うコウジさん。
へえ、そこまで考えていたんだ、と内心びっくり、感心しながらも、質問を続けました。

私「投票所に私とワッチがいたの気づかなかったの?」
コ「え、気づかなかった。」
私「もしここにベンチがなかったら、こんなに待っていなかった?」
コ「あ、ベンチがなかったら帰ってた。」
私「座ってて気持ち良かったの?」
コ「ん、ちょっと気持ち良かった。」

つまり、いつも投票の時は私にくっついて歩くコウジさんなので、入り口と出口が同じだとか、そういうことは何も考えていないんですね。ただ私と一緒に歩いていれば安心、ということなんでしょう。今回は1人だったので、投票後、別の出口へ行く人について行ったのでしょう。
そしたらちょうどいいところにベンチがあったので、すぐ座り、気持ちよかったからずっとそこで休んでいたんでしょうね。

あ~あ、やっぱりどこかへ行く時は、私の金魚のフンのようじゃいつまでもコウジさんは自立しないよね。

正直なところ、コウジさんに怒りたい気持ちはあったのですが、コウジさんが急にまた脳卒中を起こして倒れたりしていなかったし、私とワッチを探し疲れたり怒ったりしていなかったし、この30分楽しい気持でいたんだと思うと、ほっとし、良かったな、と思う自分がいました(でも、疲れた・・・)。

心配しているだろうワッチにも早速、「パパ見つけたよ!」とメールして安心してもらいました。

最後になりましたが、ふなごさんが19日の新橋で話されたスピーチの全文が、雨宮処凛さんのブログで読めます。どうぞ皆様にも読んで頂きたく、お読み下さい。
https://ameblo.jp/amamiyakarin/entry-12495788541.html

いよいよ明日になりました、参議院議員通常選挙。
こういう国政選挙で投票しない国民は、4000万人以上いるそうです。多すぎ。

自分達の暮らしを少しでも良くしようと願うならば、まずは投票しなくては。
投票しないのが一番いけないことで、投票したい人がいないなら、投票所へ行って白紙で出すことです(と、ある人の受け売りですが、共感)。それが、自分の気持ちを表すことになるのですから。
我が家も出不精の娘ワッチも連れて、明日は家族3人で投票しに行きますよ。

昨日は新橋駅前の人混みの熱気と、梅雨独特の蒸し暑さに疲れて帰ってから、ブログを書きましたので、頭も朦朧としていました。落ち着いて思い出しますと、新橋駅に着いた時には、橋本操さん、そのあと天畠大輔さんも「あかさたな」を使った方法で話されていました。ただ、あまりの人混みで姿は見えませんでしたが。

橋本さんは、日本ALS協会の副会長。天畠さんは四肢まひ、言語障害、視覚障害をお持ちです。
橋本さんは、何年か前に参議院議員会館で催された「尊厳死法制定化を考える院内集会」に参加した時に、初めてお見かけしました。天畠さんも、何年か前の「脳損傷者ケアリング・コミュニティ学会」で名刺交換をさせて頂きました。

「れいわ新選組」を応援している難病者、障害者、支援者には、当然ながら存じ上げている方が多いです。
昨日は候補者のふなごやすひこさんの移動を、さりげなく自然にサポートされている党首山本太郎さんの姿を拝見しました。慣れている感じで、(ああ、この方は本物だ。本当に障害者や難病者の側に立っている。)と思いました。

「れいわ新選組」は、障害者や病気の人達、貧困やブラック企業にあえぐ人達、虐げられている人たちが、今よりずっと生き易い社会にしてくれるでしょう。

明日は是非、最低でも3議席、獲得できますように。もちろん、10議席獲得できたら嬉しいです。

ただ、朝起きると真っ先に考えるのが、京都アニメーションの火事で亡くなられた34人や怪我された方々、そのご家族、失われた貴重な原画、憔悴した社長のこと。

突然理不尽にも命を奪われた方たちの、アニメに捧げた熱い思いと夢は、どうなるのか。どこへいくのか・・・。まだ、あの焼けてしまった建物のまわりに留まっている気がしてなりません。

今月26日は、19人の入所者が殺された、津久井やまゆり園事件からまる3年です。

1人の狂気が、信じられない残酷な事件を引き起こします。
どうやったら事件を防げたのか、どうしたら容疑者の心を、事件を起こさないようなだめることができたのか。

どちらの容疑者も、1人で考え行動しているので、そばに誰かそれを阻止する友人がいたら違ったのではないか・・・

7月28日(日)、相模原市の橋本ソレイユさがみにて14時から、「津久井やまゆり園事件を考え続ける・対話集会Ⅱ」があります。お問い合わせは、080-5459-3439 (杉浦さん)まで。
伊勢真一監督らによるトーク、対話イベントです。映画上映はありません。


参議院議員議員通常選挙は、2日後の7月21日です。皆さん、投票に行きましょう。

夕方、新橋駅前で「れいわ新選組」の演説があるようなので、実際に聞いてみようと思って、ウメの散歩と病院を済ませると、出かけていきました。(コウジさんの夕食は問題ないようにして。)

ところが上りの電車なのに、すごい混雑。ぎゅうぎゅうです。向かいを走る下りの電車も同様。
夕方6時頃は、いつもこんな感じなのかと思うと、朝はさらにひどい混雑ですから(コウジさんは、乗れなくて電車を見送ることもあるそう。)、通勤だけでコウジさんは疲弊するだろう、と同情しました。そして、もう12年半も通っていることを思うと、コウジさんがすごく偉く思えました。もっとコウジさんに優しくしなくちゃ。

同じく、一般の通勤客の方々も、本当に偉いです。皆さま、お疲れ様です。

新橋に着いたのが遅かったので、比例代表2位の木村英子さんのお話には間に合わなかったようです。(お話されたのかも存じ上げないのですが。すみません。)でも1位のふなごやすひこさんには間に合いました。ふなごさんの言葉を女性が代読されました。

ふなごさんについては、宍戸大裕監督がブログで書かれています。
7月10日の「あらゆる当事者を国会へ」をお読み下さい。
https://furisakemireba.hatenablog.com/

また、れいわ新選組HPの中のふなごさんの紹介も是非ご覧下さい。ふなごさんのお考えが読めます。
https://v.reiwa-shinsengumi.com/candidates/yasuhikofunago/


ふなごさんはALS当事者でいらっしゃるから、ふなごさんが当選したら、国会は障害者仕様に変える必要があります。昨日の東京新聞では、そこを取りあげていました。

「参院選には、自力で移動できない筋委縮性側索硬化症(ALS)患者や、聴覚障害者も立候補している。参院では、議員活動に介助の必要な重い障害のある議員がいたことはない。障害者団体などからは、当選すればバリアフリー化が進むはずみになるという期待や、「当選者の有無にかかわらず改善を」との声もあがっている。」

その記事の中で、「内閣府の二〇一八年版障害者白書によると、国民の7.4%が障害者とされる。」という文がありました。この数字を多いとみるか少ないとみるか。私の率直な印象では、「結構多い」でした。ざっくりみて10人に1人がなんらかの障害を負っているなら、国会議員の10分の1の人が障害を持っていてもいいのでは?なんて思います。

是非ふなごさんや木村さん、聴覚障害者の方たちには当選して頂き、日本を障害者や病気の人に優しい国に変えて頂きたいです。

それにしても、今日の新橋駅前の蒸し暑さは尋常ではありませんでした。
ふなごさんは長時間そこにいらしたので、相当お疲れではないでしょうか。
集まった人たちが候補者の方たちと記念写真を撮ろう、と延々に続く列を作っていましたが、暑さに弱い私はそれを横目で見ながら帰ってきてしまいました。

ふなごさんにお声かけしたかったけれど・・・

応援していますよ!



今日、京都でひどい事件が起こりました。
京都アニメ―ションという会社が放火され、30人以上の方が亡くなられたとのこと。
詳しい話はまだ入ってきませんが、犯人は取り押さえられてやけどで入院しているものの、意識不明の重体とのこと。
今死なれては困ります。なぜこんなことをしたのか、話してほしい。
否、たとえどんな理由があったにしても、こんな残酷なことをしていいわけがない。
きっと犠牲になった方たちは、アニメが好きで夢がいっぱいの、優れた技術を持った、まだまだこれから沢山活躍するはずだった方たちでしょう。

暴力は絶対許せません。
亡くなられた方たちを、心から悼みます。可哀想でなりません。

そんな心が落ち着かない中ですが、あさってのテレビ番組と25日のセミナーのお知らせだけします。

●7月20日(土)
NHKEテレ 午後11時~午前零時
ETV特集「親亡きあと 我が子は・・・~知的・精神障害者 家族の願い」
JD(日本障害者協議会)の藤井克徳代表が出演されるそうです。

●7月25日(木)午後1時~4時半
JDサマーセミナー2019「価値なき者の抹殺 優生思想ー私たちはどう立ち向かうかー」

http://www.jdnet.gr.jp/event/2019/190725.html

◆場所:参議院議員会館講堂(東京都千代田区永田町2丁目1−1)
◆参加費:無料
◆定員:300名 ◎定員になり次第、締め切ります。事前申し込みをお願いします。
※参議院議員会館入口の簡単なセキュリティチェックを受けていただいた先の1階ロビーにて午前11時50分から通行証をお渡しさせていただきます。
※要約筆記、手話通訳、点字資料(要約版)を用意します。必要な方は7月17日までにお知らせください。

≪ 主なプログラム ≫
【 基調講演 】
 ■藤井 克徳 日本障害者協議会代表
 「強者だけの社会が理想なのか!-弱者をしめ出す社会は弱くもろい-」

【 マスコミ討論会 】
 ■NHK:渡辺 由裕氏
 ■毎日新聞:上東 麻子氏
 ■共同通信:宮城 良平氏
 ■中日新聞:出口 有紀氏
 ■朝日新聞:森本 美紀氏
 ■コーディネーター:増田一世氏 日本障害者協議会常務理事

【 特別報告 】
 ■北 三郎氏(優生手術被害者・家族の会共同代表)

お申込み :WEBから申し込めますが、メール・FAX・電話でのお申し込みも受け付けしているとのこと。日本障害者協議会(JD)事務局 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
電話:03-5287-2346 FAX:03-5287-2347 Eメール:office@jdnet.gr.jp

お名前(ふりがな)、ご所属、ご連絡先(メールアドレス、電話番号、FAX番号)障害による必要な配慮(手話・要約筆記・点字資料、車いすスペースなど)をメール、FAX等でJD事務局までお知らせください

とりいそぎのお知らせでした。

この間の雨ふりの日曜日、新宿にある「k's cinem a」という映画館へ行ってきました。
伊勢真一監督の「えんとこの歌」を見るためです。

コウジさんと行くつもりでしたが、雨でしたし、新宿は家からはちょっと遠いし、人混みもすごいだろうし、コウジさんが疲れてはいけないので、1人で行きました。コウジさんも家にいられるとなると、ほっとした表情で「行ってらっしゃ~い!」と機嫌よく私を玄関で見送りました。
家には娘のワッチ、犬のウメ、猫のハルとチーがいるので、コウジさんは寂しくないですし、ワッチがコウジさんのことを見張ってもくれます。子どもっぽくなったコウジさんは犬猫をからかっていじめたり、不注意から家から脱走させたりするので。しかも、面倒で捕まえに行かないんですからね。1人で留守番してもらうのは、実は私は心配でたまらないんです。

その日の上映会は、新聞記事に掲載されたり、宍戸大裕監督とのトークもあるので、80人ほどの劇場がいっぱいで入れなくなると困ると思い、早めに着いて1番前の席に座りました。でも、車椅子の方が増えてきたら後ろに移ろうと思っていました。

ところが、私の予想に反して、観客数が少なかったので驚きました。3連休ですから皆さん遠出されているのかもしれませんし、朝から雨が結構降ってたので、車椅子や身体に障害がある方、ご病気の方は外出をやめられるでしょうし、仕方なかったかもしれません。でも、すごく良い映画ですので、もっと沢山の方に見に来てほしいです。

「えんとこの歌」は、遠藤滋さんという脳性まひで30年以上寝たきりの生活を送られる方(伊勢監督の大学時代からの友人でもあります)を追いかけたドキュメンタリー映画です。「えんとこ」とは、「遠藤滋のいるところ」「縁のあるところ」をひっかけた造語だそうです。1999年公開の「えんとこ」の続編だとのことで、映画の中には遠藤さんが書かれた短歌が沢山ちりばめられていました。

自分の行きたいところへ自由に行けない、ということはとても残念なことだとわかります。
私の亡き父が、パーキンソン病が進んで歩けなくなった時、「なにが困るって、自由に行きたいところへ行けないことが困る。」と言ってました。車椅子に乗せて、これからあちこち連れて行ってあげようと思っていたけれど、私には高次脳機能障害のコウジさん、犬猫、大学受験期のワッチがいて、私は身動き取りづらく、何もできないうちに父は病院で逝ってしまいました。そんなに早く逝かれるとは思っていなかったので、考えるとつらくて悲しくて、いまだに毎日後悔や寂しさに落ち込んでいます。

・・・話が横道に逸れました。
でも、この映画に出てくる遠藤さんは、どうしてどうして、全然弱々しさを感じられません。それどころか、大きな黒目がちの目が発する生命力に圧倒されますし、沢山の介助者に毎日囲まれての笑顔、特に海の中を介助者に支えられながら右足、左足、と動かないはずの足が動いた時のあの豪快な、嬉しくてたまらないというような笑顔は印象的です。 ただ、朝遠藤さんの足を襲う痛みは、壮絶そうで、見ているこちらも体に力が入り、一緒に痛みに耐えている気になりました。

遠藤さんは、病気が進んで声が出なくなってからは、短歌を作るようになりました。
その歌1つ1つが、また胸に沁みるんです。思わず歌がおさめられているパンフレットを買ってきました。

介助者の方たちもユニークで、真剣で、奥深いものを持たれた魅力的な方々ばかり登場されました。
いえ、遠藤さんのところに来て、そのように元々持っていた魅力が引き出されたのかもしれません。

真っ暗な映画館で、私は思わず自分のバッグから手探りでメモ帳とペンを取りだすと、ちゃんと字が重ならずに書けているか確認できないまま、映画の中で次々語られる珠玉のような言葉の数々を書きとめていました。

以下、順不同で書きとめられたものだけご紹介しますが、実際の言葉そのままではなく、私が勝手にまとめていたりします。

遠藤さんの言葉 : 「人に迷惑をかけること。それは大いに必要なことである。」「僕のハンディを武器とせよ!」「粘ることしか、武器はなかった。」

介助者の言葉 : 「カッコ悪いところを見せ続けるカッコ良さ」「遠藤さんが全てをさらけ出しているのに、(排泄などの介助を)無理です、なんてみっともなくて言えない。」「予定があるのはいいことだな。(遠藤さんのところへ来るまでは)予定なかったですよ。」「ここは自分の居場所だ。」「バイトだと面倒だ、休んじゃえ、となるところを、介助だと絶対それはない(休めないから.
。介助に行かないと、遠藤さんは死んじゃうから)。」「ここへ来て自信ついてきた」「ここにいる人はみんな、ここで人生ぼろぼろ出てきてしまう。」「どうしても必要な人がその期間ここへ来る。」「遠藤さんの居場所であると同時に、ここへ来る人の居場所でもある。」「今まで感じなかった、”生きてる”実感がすごくある。」「介助の仕事は人間関係だ。」「寄り添う より 寄り合う。」「来る人は心開いているので、遠藤さんは構える必要がない。」

~映画のあとの伊勢監督と宍戸監督のトークから~
重度訪問介護従業者の資格を持つ宍戸さん : 「伊勢さんの映画は、漢方薬のように、じわっと効いてくる。」「縮こまらせる社会で、伊勢さんの映画を見ると、ほっとする。」「遠藤さんのところへ来ると、リセットするという介助者がいるけれど、そこ、わかるんですよね。僕も非力な人の空間に入ると、リセットするんです。」「伊勢さんの映画には人間肯定がある。」・・・

伊勢監督 : 「人でも風景でも、撮影するのに基本的に肯定感がないと撮れない。”寄り添う”は一方的。”寄り合う”という関係になれた時、「やっと撮れたな。」と思う。」「見てる人の肯定感を引き出していく。徹底的に肯定して見ていくと、きれいな光景が撮れたり。映像だから、言葉で伝えきれないことが伝わる。」
「この映画に通底しているもの、それは、弱さの力というより、弱さの方にこそ力がある、ということ。」「弱いことがほかの人の力を引き出してくれる。ほかの人が助けてくれる。宍戸さんの作品にも、じわっと流れている。」

宍戸監督 : 「介助に初めて入った人が、”怖かった”と言うのが印象的。初めて会う人は、僕も怖い。ALS患者の方には、自分が見通されている感じがある。でもその「怖い感情」は大事なんじゃないか、と思う。ちょっとしたきっかけでちょっと近づいてみると、その怖さの中身が見えてくる。だから近づいて欲しいと思う。」

伊勢監督 : 「是非若い人にこそ、見せたい映画です。勿論、お年寄りにも見せたい(笑)。」

私はこの映画を見ながら、『こんな夜更けにバナナかよ』(渡辺一史著)の主人公、筋ジストロフィー患者の鹿野靖明さん(2002年に逝去)を思い浮かべていました。(原作は読みましたが、映画化された映画は見ていません。)

鹿野さんも、札幌のケア付き住宅で一人暮らしをされていましたが、その生活は大勢の介護ボランティアによって支えられていました。遠藤さんの介護をされている方々は、お金をもらっているのでそこは違いますが、鹿野さんも遠藤さんも、介護される人とする人の間に上下関係はなく対等で濃密な人間関係を築かれている点、胸を張って堂々と生きている点、けれど介護してくれる人を見つけるのが大変な点などが同じだなあ、と思いました。

今月26日で、あの津久井やまゆり園事件から3年になります。事件を伝えるテレビの映像も、この映画には出てきます。事件を受けて遠藤さんが作った短歌の数々も。

「えんとこの歌」が新宿のほかに、名古屋、広島、横浜、綾瀬、渋谷・・・と7月に上映が多いのは、伊勢監督の言葉を借りるなら(HPの中の、「監督のつぶやき」より。https://www.isefilm.com/ )・・・

「7月に集中して映画が公開されるのには、理由があります。3年前の7月26日、神奈川県相模原市で起きた陰惨な出来事、寝たきりの障害者が大量に殺傷された事件のことを忘れてはいけない、考え続けよう、、、という思いがあるからです。7月26日前後に「相模原での出来事を忘れないために」と、連続上映会も企画しました。

7月26日(金)渋谷・LOFT9 SHIBUYA T03(5784)1239

7月27日(土)相模原・相模女子大学マーガレットホール T090(1557)3838

7月28日(日)相模原・橋下ソレイユさがみ T080(5494)3439

7月29日(月)世田谷・梅ヶ丘パークホール T080(3483)3811」

※詳しい上映情報は、HPをご覧下さい。

皆様、是非見に行かれて下さいね。


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