日々コウジ中

日々コウジ中 - クモ膜下出血により、さまざまな脳の機能不全を抱える“高次脳機能障害”になったコウジさんを支える家族の泣き笑いの日々

2019年11月

今日の囲碁教室での話です。

対局しながら私は、(相手のこのへんの石を一網打尽で取るために、周りを固めておこう。)と、虎視眈々とその瞬間を狙いながら1つ1つ石を置いていました。

けれど相手のYさんが、別の場所で私の石を囲みつつあったので、頭の半分を使ってそちらに対応しなければならず、頭のもう半分で(早くこっちを取りたいのに。)という焦りが募りつつありました。

Yさんが私の石を1つ取ったので、(ん、これはどういうことだろう?)とまだ余裕の気持ちでそこを見つめました。すると、いつの間にか後ろにいらした石倉先生が、「ああ、コウになってしまいましたね。加藤さん(私の本名)がそこじゃなくてここへ打っておけば、放っていても相手は生きられなかったのに。」と仰いました。

ああ、そうか。頭の半分でしか考えていなかったから、取れていたそこも逃してしまったのか。と半ばがっかりしながらも、まだ自分の石が死んだわけではないので、コウザイ(コウになったところはすぐ打てないので、相手が対応せざるを得ない別の箇所)を探しました。

すると、ありました、ありました。私が打つと、相手が守らなければ10石くらい取れる箇所が見つかったので、そこに打ちました。ここを相手が守れば、私はまたコウの場所に戻って打てるのです。

ところが相手のYさんは、何を勘違いされたのか、守らずにそのそばへ石を置きました。
私は驚き、「え、じゃあここに置いて取ってしまいますよ。」と石を置きました。
Yさんは「あ!本当だ!」とびっくりし、そこで多分決着がつきました。
でもまだ私は、一網打尽で取れると思っていた場所に未練がありました。取りたかったなあ、と。

石倉先生がまたやってきて、「あれ?」と驚きました。
そして、Yさんにコウザイはなかったこと、でもYさんもこっちを打ったら勝てたことなど色々解説されるので、私は得意気に「先生、そんなことより私はここらへんの石を一網打尽しようと思って狙っていたんですよ。」と言って、取ろうと思っていたYさんの石群を指で囲みました。

プロの九段の先生がそこに気づかれていないはずはないけれど、もしかしたら気づいていないのかもしれない、と教えようとする私の図々しさというか、能天気さというか。否、愚かさですね。

すると、石倉先生が次のように仰ったので飛び上がりました。
「え? だって、ここ(私が囲もうとして作ってあった私の石の壁)は死んでるから、無理ですよ。」と。

なぬ? そっくり返って笑っていた私は驚いて真顔になると、碁盤に顔を戻して、死んでいると言われた自分の石を見ました。先生は、「ここにYさんが打つでしょ、加藤さんが囲もうと思っている手数より少ない手数で、Yさんが加藤さんの石を取れちゃうでしょ。」と、実際に石を置きながら説明してくれました。

ほんとだ~!なんてこと!なんで気づかなかったんだろう、とのけぞる私。
でも私の前ではYさんが、「私はそこに置こうと気づかないと思う。」と苦笑い。
7級同志だと、自分の弱点、相手の弱点にいい感じでお互い気づかず接戦になるということだなあ(笑)。

石倉先生は、「加藤さんは攻め碁。Yさんもそうだけど、自分の弱点にもっと気づかないと。」とアドバイス下さり、なるほど、と改めて反省しました。石倉先生は、「囲碁で一番大切なのは、自分の弱いところを守ることですよ。」とよく仰り、私も(ふんふん)とノートに書き留めているのに、どうしても弱いところを放っておいて攻めていってしまいます。そこを直さないとね。

というわけで、まだまだ下手ながら囲碁は本当に奥が深く面白い。あまりに負け続けて、自分には才能がないなあ、と落ち込むこともしばしばですが、きっと死ぬまでやると思います。夫コウジさんの言葉じゃないけれど、「囲碁は自分への挑戦」ですからね。囲碁で考え方を鍛えることは、生きる力を鍛えることに繋がると思います。そういえばコウジさんは、そんなことも言ってましたね。「陣地を取るというその陣地とは自分の命。人間の野心、才能、生きる力だ。」ですって。

こういう言葉をコウジさんは1年前に発していて、囲碁もまだあまりうまくないのに、いいことを言うなあ、と感心していました。元々お調子屋さんだけど、結構言うことに昔からセンスがあるコウジさん。・・・でも、自分がそう言ったことを忘れています(笑)。

コウジさんが発した言葉を書きとめていたので、さっき読み上げると、「オレ、そんなこと言ったの?すごいねえ。・・・でもその通りじゃん。今もその考えは変わらないよ。」とのこと。

ただ、まだまだ受け身のコウジさん。自分からは囲碁をやろうとしません。私が囲碁の会に連れて行ったり、囲碁友達を家に呼んできたり、私が囲碁の本を渡したりしないと、興味を示しません。そこが私とは違うんだなあ。そこが高次脳機能障害なのかなあ。それともコウジさんの性格なのかなあ。

明日の討論会を前に、改めてコウジさんに質問しました。なぜあなたは自分から囲碁をやらないのか?と。

コウジさんの答えは、「囲碁は、自分にとって与えられているものなんだよね。囲碁の面白さを自分からつかみとろうとするものでなく、誰かの施し。」なんだそうです。←今のところは。

そしてコウジさんは、受け身が好きなんだそうです。歌も好きだけれど、自分が歌うより、聞くのが好き(受け身)。←ああ、それは性格だね。じゃあ、今受け身でやっている囲碁も、好きなことは好きなのね。

あとは、自分にリスクがないことが好きだと。囲碁だと負けると嫌な気持ちになるから、自分からする気にならないと。←じゃあ、勝てるよう強くなればいいんだけどね。

・・・おや? あなたが会社を起業した時こそ、すごくリスクがあったと思うんだけど? ああ、でもあの頃はあなたもまだ若くて野心もあって、失敗することは思いもしなかったんだね。そういうあなたを私は否定しないけれど。夢はいつでも持っていたいものだし、持たないとね、うん。(まさかすぐ倒れて障害者になるとは、あなたも私も思っていなかったので、これは運命共同体で受け入れよう。)

それからコウジさんは、「誰かが喜ぶことが好き」なんだそう。囲碁をやると周りのみんなが喜んでくれるので、やるのだそう。←なるほどね。自分のためより、みんなのためなんだ。優しいじゃん!

・・・こういうコウジさんが、いつか囲碁を自分からやるようになったなら、その時は彼の中で何かが変わったということです。受け身から能動へ。気長に待ってます。

そのコウジさんが、明日はどんな発言をするのか、皆さん楽しみにしていて下さいね!私も楽しみです。

それでは明日、大田文化の森でお会いしましょう!

東京は毎日雨で、真冬並みの寒い日が続いています。先週金曜日から始まった雨は、今日で7日目で、うんざりします。「梅雨でも、こんなに雨の日は続きません。」、と5日連続雨の日の朝、天気予報士が言ってました。お日様が、青空が恋しいです。

ローマ教皇が38年ぶりに来日された時も、ほとんど雨で残念でしたね。ローマ教皇は、4日間のご滞在中と帰りの飛行機の中で、核に対して大変厳しく力強い反対のお言葉を述べられましたね。素晴らしいお方だと感動しました。

先日の講演会でサ―ロ―節子さんが仰っていたように、皆で「核廃絶」という目的へ向かって、這って行かなくては、と思います。

折しも、宮城県の女川原子力発電所2号機について、原発原子力規制委委員会が事実上の審査合格を出した、というニュースが飛び込みました。このあとパブリックコメントを募集するそうですが、再稼働なんて絶対やめてほしいです。よりによって東日本大震災の被災地ですよ。地震、それに伴う津波が起きる可能性がある場所なのですよ。
今回の地震が千年に一度の大地震だったとしても、次の地震が千年後というわけではないし、地震列島日本なのだから、いつどこに大地震が来てもおかしくないじゃないですか。
それに津波の高さが想定を超える高さとなり、「想定なんて意味がない。」、と私たちは教えられたばかりじゃないですか。なのに今度は海抜29メートルの防潮堤を作るから大丈夫、なんて全然説得力ありません。

マイクロプラスティックの問題も、深刻です。海の中だけでなく、空気中にもマイクロプラスティックが飛散しているそうです。川や海にプラスティックが素材のものを捨てないで。

地球を汚す罪深い人間の1人として、私達は少しでも有害なものを減らし除いて行く努力をしなくては。

オーストラリアの山火事で、コアラが千匹以上死んでしまったと。コアラだけでなく、家畜やカンガルーも。きっとウオンバットもですね。勿論人も亡くなっています。なんて悲しい。
コウジさんとずっと昔、25年くらい前にオーストラリアへ行ったことがあります。コアラを抱っこさせてもらったなあ。カンガルーだかワラビ―だかには、餌をあげたなあ。家にはコアラとウオンバットのぬいぐるみがありますよ。

なんだか滅入る話ばかりですね。
昨日あたりから、息が吸いにくく感じるのですが、これはストレスかな。骨粗鬆症の薬ももらいに行けてなくて、膝も痛いし、今一つ体調がパッとしないので、あれこれやらないで、少し体を休めた方がいいかな、1日ゆっくり読書したいなあ、と思います。読みかけの本や、読んでない本が山積みなのです。

でも明日はウメの病院だし、猫のハルとチーもワクチン接種に連れてくるよう言われたし、年内にする用事が色々溜まってき出しました。

コウジ村のメーリングリスト作成に、すっかり時間がかかってしまって、落ち込んでいます。50人ほどの方は登録できたのですが、一旦その作業を休んでいるうちに、このパソコンからご招待ができなくなっていて(なぜだか全然わかりません)、ここ数日イライラしてました。
ところが今日パソコンではなく、ふとアイパッドから招待してみたら、お、できましたよ!。ホッ。

まだ連絡がつかない人、アドレスが見つからない人、新しく声をかけようと思っている人などがいて、なんとか年内には形になればいいのだけど・・・ という状況。
おかしいですよね、普通の人は、きっともっとさくさくっとできるのに、なんで私はこう不器用なんだろう。自分に腹が立ちます。

3日後に迫る大田文化の森でのイベント、「高次脳機能障害と囲碁&心の唄コンサート」は、もうホール定員の250名を超える方々がお申込み下さっているようです。有難うございます。

でもホールだけでなくホワイエ(ロビー)や4階も使いますから、250名全ての方がホールにいらっしゃるわけではないと思います。当日も少しは入れるのでは?と思いますが、来られるようになった方は、一応念のためメールやFAXでお申込みください。FAX:03-3730-6823 Email:kurishiro@live.jp(栗城さん)




今日の東京は、1日中悪い天気でした。
朝から夜までずっと雨でしたし、すごく寒かった。
昨日今日の東京の雨量の合計は、平年の11月の1月分の降水量を越えたそうです。

台風19号で氾濫した多摩川の河川敷、草も木もなくなった場所で、仮に生き延びられた猫がいたとして、雨や寒さをしのげているのでしょうか。可哀想で心配で。
小西修さんのブログやツイッターを読むと、今回の台風被害は甚大で、行方不明の猫が多いようで悲しいです。姿を見かけなくなったホームレスさんもいらっしゃるというので、心配です。
http://www.top-virtual.com/kabuto/diarypro/

昨日も傘をさし、あまりの寒さに身を縮めて歩いていたら、工事現場そばで交通整理をしている若い男性がいました。傘もさせずヘルメットをかぶっているだけなので、顔にも細かく冷たい雨粒があたり、気の毒でした。家に戻って、ホッカイロを持って来て渡そうか、とすら思いました。 でも用事があり、そこに戻るのは数時間後なので、諦めました。どうか風邪をひかないで下さいね。
この青年のお母さんは、息子さんがこんな寒い思いで仕事をしているのをきっと心配して無事を祈っていることだろうなあ、と思いました。とはいっても、夏の炎天下よりはずっとましなのかもしれませんが。

日本は暑いか寒いかのどちらかで、台風被害もひどく、地震もあるし、なんだかとても住みにくい国になってしまったような気がします。昔は、春や秋は気持ちよい日がもっと多かったと思いませんか?

コウジ村のメーリングリスト登録作業、全然進んでいません(涙)。はい、私はパソコン仕事が苦手なのです。ごめんなさい。12月1日のイベントが終わってから、否、今年中には作業が完了することを目指しますので、気長にお待ちください。それまで、グーグルから「期限切れでグループに参加できませんでした」というようなメッセージが送られてきても、気にしないでくださいね。

昨日のこのブログで書いたことについて、コウジ村名誉村長の東川悦子さん(元日本脳外傷友の会理事長)から、修正を頂きました。
高次脳機能障害学会は、会費(13000円)さえ払えば誰でも参加できるそうです。
う・・・すごく高いんですね。行きたくても行けないような・・・まだ1度も行ったことはありませんが、東川さんは一昨年まで、ほぼ毎年行かれていたそうです。東川さんのフットワークの軽さには、いつも驚き敬意を抱いています。私より2回りも上だとはとても信じられず、私より若いのではないか、と思うくらい。

小林春彦さんのクラウド・ファンディングのページに、小林さんが私のブログや本のことを書いてくれました。有難うございます!ネクストゴールに向かって頑張ってください。
https://readyfor.jp/projects/kobayashi-haruhiko/announcements/117353

そういえば、小西修さんもHPの中で、リンク先としてもう何年も前から私のブログを紹介して下さっています。有難うございます。http://www.konishi-osamu.xrea.jp/frame_link.htm 

映画監督の村上浩康さんも、ツイッターの中でこのブログを紹介して下さいました。有難うございます。(7月のことなので、リンクを貼り付けられません。)

こうして高次脳機能障害とは関係のないサイトで、高次脳機能障害のことを載せてもらえると、嬉しいです。この障害を知らない人にも、知ってもらえるからです。

あ、もう零時になりますので、ここで投稿します。

それではまた!

…睡魔と闘いながら、ここへ来ました。

コウジ村のメーリングリストをグーグルに移行するために、村民1人1人にメールしてきました。でもお返事がない方がまだ10人以上いらして、整理が、なかなか進んでいません。それどころか、ご連絡すらもできていない方もいらっしゃいますが、もう少しお待ちください。

コウジさんの定期的な受診の付き添い、母のやはり定期的な受診の付き添いがあったりで、その日はやはり1日つぶれます(でも、大事なことだからいいんですよ)。お世話になってきた方が2人亡くなり、悲しみに暮れています。

実家へ母の様子見に行き、変わりなく元気なのを確認(病院付き添いはその2日後でした)。コウジさんと母、私と母、で囲碁対局もしました。まだまだコウジさんより母の方が腕は上です。私は母には勝てるようになってきましたけれど、土曜日の石倉先生教室では、負けてばかり。あれこれ忙しくて、ちっとも囲碁を勉強する時間がないからなあ~。でも勝ち負けに関わらず、軽い気持ちで楽しく続けよう、と思い直したところです。

前回のブログでご紹介した小林春彦さんのクラウド・ファンディングは、1週間で目標額達成したそうでおめでとうございます。今はネクストゴールを目指してあと28日頑張るそう(12月20日まで)。意欲盛んで、いいなあ。

私など、掃除洗濯料理だけでもぐったり。それに色々な支払いがあって、それをどうやりくりするかとか考えるだけでさらにぐったり。犬のウメの散歩が1回1時間以上が2回以上(今日は3回も引っ張り出されました)だし、ウメは下痢するし。猫に猫草買って与えたら、2匹大喜びで夢中で食べたあと、あちこちで吐かれました・・・(涙)。 

特に家の中をきれいに保つために、くりくり毎日動くわけですが、これ、今でもきついのに、10年後、20年後できるか相当不安です。今でも全然片付いていなくて、賞味期限がとっくに切れている古い食品があったり、きっと捨ててもいいのに、捨てられない古い資料が山ほどあったりします。トホホ。

さあ、そんなイライラしてないで、お知らせです。ここでお知らせするのがすっかり遅くて、すでにいくつかのイベントが終わってしまっていたり、申し込み締め切りが過ぎていたりですみません。これから開催されるイベントのお知らせです。


①12月8日(日)13時~16時半(12時半受付開始)
「神奈川脳外傷リハビリテーション講習会 高次脳機能障害と社会的行動障害を考える」

会場:川崎市総合福祉センター(エポックなかはら)川崎市中原区上小田中6-22-5
(JR南武線 武蔵中原駅 徒歩1分)

プログラム
●講演(13時10分~14時40分)
「高次脳機能障害と社会的行動障害について」
京都大学医学部附属病院 精神科・神経科 助教 上田敬太先生

●シンポジウム(14時55分~16時25分)
「高次脳機能障害と社会的行動を考える」
・ファシリテーター 
神奈川リハビリテーション病院リハビリテーション科 医師 青木重陽氏
・シンポジスト
クラブハウスすてっぷなな 総括所長 野々垣睦美氏
脳外傷友の会ナナ会長(家族の立場から)
神奈川県リハビリテーション支援センター総括主査 瀧澤学氏

●参加費無料
●お申し込みは必要事項(申込者・連絡先電話番号・所属) を記入し協働事業室(神奈川リハビリテーション病院内)へなるべくFAXでお送りください(TEL の場合は火~金 10:00~15:00)

申込先 脳外傷友の会ナナ 協働事業室
TEL046-249-2020  FAX046-247-2433
ホームページ http://www17.plala.or.jp/nana516/
E メール npo-nana@amber.plala.or.jp

②先日の17日(日)のNHKEテレ「囲碁フォーカス」に、飯塚あい医師が紹介されました。
囲碁が認知機能に与える影響のお話です。再放送は明日の午後3時~3時半です。見逃した方は、是非ご覧ください。
※飯塚先生は、12月1日の「高次脳機能障害と囲碁&心の唄コンサート」で御講演されます。

http://kokorono-uta.net/kokorono-uta/191201chirashi.pdf

③11月28日(木)・29日(金)
「第43回日本高次脳機能障害学会学術総会」
http://www.congre.co.jp/jshbd2019/

これは、学会会員と発表者だけの会で、きっと一般の人は行けないのだと思いますが、その中で高次脳機能障害と囲碁についての発表もあるようです。

11月29日(金曜)9:30~10:02
「 高次脳機能障害に囲碁がもたらす効果検証のための文献検討」
木村 綾子(きむら りょうこ)氏 弘前医療福祉大学 保健学部看護学科
興味あります。どんな発表なのかな。

④11月24日(日)開演13時半 終了15時半 (申込み締め切り11月1日だそうです。すみません!でも一応お知らせします。)
「高次脳機能障害とともに奏でる秋の多摩マインドフルコンサート」

チェロやヴィオラ、バイオリン、ピアノで沢山の曲が奏でられるようです。
参加費・料金: 無料  
定員: 80  
会場: 調布市総合福祉センター(調布市小島町2-47-1)
主催: 東京慈恵会医科大学付属第三病院リハ科・調布市社会福祉協議会
問合せ先: 調布市社会福祉協議会障害者地域活動センタードルチェ 042-490-6675

朝晩寒くなり、コウジさんも今日からコートを着て出勤です。
風邪をひいている人も多いので、皆さまも気を付けてくださいね。

『18歳のビッグバン』の著者、小林春彦さんがクラウドファンディングに挑戦されています。

https://readyfor.jp/projects/kobayashi-haruhiko

「題して『小林春彦、18歳のビッグバン全国行脚講演ファイナル』。長らく続けてきた講演活動に"一旦"ピリオドを打つにあたり、日本列島を約一年かけて回り切る講演会を開催する(いずれの会場も入場無料で自主開催を予定)というものです。」(小林さんのHPから抜粋)

小林さんの御本を読まれた方も多いのでは、と思いますし、お名前くらいは皆さんご存知でしょう。
18歳の時に広範囲脳梗塞に倒れ、高次脳機能障害となった方です。 ご著書を拝読した時、正直、(こんなに記憶力がおありで、理路整然とした文章を書け、感情も落ち着いた、しかも強力な発信力を備えられた頭の冴えた高次脳機能障害の方っているんだ。)と驚きましたが、それは、この障害を負った方というのは、私の夫のように「重い記憶障害」「感情失禁」「意欲の減退」「幼稚化」というものが主だった症状だという、いわば少々偏ったともいえる思い込みが私にあったせいです(実際、そういう症状を抱えた当事者の方が多いとは思いますが)。

小林さんのようなタイプの当事者の方を知らなかった私は、小林さんの登場にびっくり、衝撃を受けました。でも、高次脳機能障害者は100人いれば100通りといわれていますので、色々な方がいて当たり前なんですよね。

余談になりますが、夫の場合、それに加えて「保続」「作話」「遂行機能障害」「地誌的障害」「注意障害」などが依然としてあり、一言で言えば、見た目は大人、中身は大人と幼稚園児が合わさった不思議ちゃん、という感じでしょうか。 

・・・ここで大事なのは、昔は幼稚園児だけでしたが、だんだん「大人」の部分が見え隠れし出していることです。時々、(え?)と思うような、かつての元気だった頃の夫のような発言や考え方が出てくることがあり、そういう時私は思わず「すごいすごい!」と拍手してしまいます。 でもその1分後には夫はまた幼稚園児に戻り、私や娘(ワッチ)はがっくりしたり怒ったりするのが常です。

ただ、そういう場面が増えてきているのも事実です。
だから、この障害が「良くなる障害」「期待できる障害」といわれるのも頷けます。私も、(もしコウジさんの寿命が200年あったら、元に戻れるかなあ。)、なんて思うこともあります。・・・いやいや、やっぱりそんな保証はなく、完全にかつての夫と同じ人物になることはありえないんでしょうね。

けれど逆に元の夫がそんなにいい人だったかというと、そこは疑問で(笑)、今の方がよっぽど純粋(子ども)でいい人間になっている面もあるんです。 よく、「あのままだったらいつかは離婚していたと思うけど、障害を負ったら嫌だった部分が消えて新しい夫になり、仲良くなれた。」という声を聞きます。コウジさんもそうかも!(笑)
もちろん、障害を負ったことで嫌な部分が新しく出てきたけど、それは障害ゆえだからと思うと、受け入れられるのです。「怪我の功名」「障害有難う!」という面はたしかにあるようです。
(こう書いている私だって、夫にとっては嫌なところいっぱいだと思いますが。苦笑。)

繰り返しますが、この障害は100人いれば100通りなので、記憶障害がない方、紳士的な方、意欲旺盛な方もいらっしゃいます。夫にはない症状、「失語症」「失認症」「半側空間無視」「半側身体失認」がある方もいらして、それだけの方もいらっしゃいます。
小林さんは、「半側空間無視」と、ちょっとだけ相貌失認があるのかもしれない。そんな方なのかな。

とにかくその小林さんが、最近まで色々お考えになった結果、来年1年を無料で講演して回り、そこで一旦講演活動はやめ、渡米してアメリカの障害者を取り巻く環境や、アメリカ人の考え方を学んでくることを決意されたそうです。

再度HPから抜粋しますと、「時代が進み、障害者の周辺事情も変化しています。私は意見発信者として、より現代に即した視点や思想を持たねばならない。常に社会的価値のあるものを発信しなければならない。未来に向けて見識を蓄積し、発想を磨く必要がある。そのためには異文化やヒトと触れあう感動体験や言葉を紡ぐ一人の時間が不足している、そのように思うようになった」のだそうで、

「東京オリンピックパラリンピックが終われば日本を飛び出し海外の大学に留学して、最先端の障害者研究や多様な価値観を学び、日本に持ち込みたい」とのこと。

講演先は離島など遠隔地を優先し、これまで講演に来たくても来られなかった方たちに話されるとのこと。そのためには交通費がかかるので、その費用の支援を呼びかけていらっしゃるんです。

以前、交通費の片道分が自己負担になるため、お金を節約しようとした小林さんは夜行バスに長時間(13時間!)無理して乗ったら、左麻痺のお体ですから、「麻痺・硬直・痛み」が出てつらかったとのこと。さらに宿泊もやはりお金を節約するために、マンガ喫茶にしたそうです。

それでは肝心の目的である講演されるパワーが減ってしまうでしょうし、このような移動の仕方は心配ですしあまりにもお気の毒です(涙)。なのに、待っている人たちがいる、という使命感と情熱に押され、今まで東奔西走されてきた小林さんに、せめて新幹線や飛行機に乗せてあげたいという気持ちになります。

情報がなかなか届かないところにお住まいの当事者や御家族にとって、今回の小林さんのクラウド・ファンディング、とても嬉しいことではないでしょうか。

私も思っていることですが、情報が届くところには、届き過ぎるほど届いているけれど、届かない人には全く届いていない。それは問題です。特にネットを使わない人たちにとっては、このブログだってそう、各地の家族会や講演会、支援情報などなにも届いていない可能性があります。だから、テレビや新聞、広報誌の役割と効果に今一度着目し、それを有効活用すべきだと考えます。

(そういえば、昨日NHKで午後6時52分ころ、「千葉で高次脳機能障害者や家族が、歌によって交流を深めました。」というニュースを見ました。良かったですね。そしてこういう風に、この障害に関するニュースがちょくちょく頻繁に出る社会になって欲しいです。)

情報が届いていないところに自ら出かけて行かれる若き当事者、小林さんを応援したいと思います。
小林さんの決断力、行動力は、元々お持ちだった小林さんの素晴らしい長所だと思いますが、まだ32歳という若さですから、是非世界へ飛び立ち、さらに大きくなって戻ってきて欲しいです。

これからは、私のような当事者家族ではなく、当事者ご本人の発信が求められる時代です。私が本を書いた頃は、家族が発信していて、当事者本人はあまり発言されていませんでした。もっとも、夫のように「病識がない」=「問題意識がない」当事者の方が多く、発信することは難しいからです。

けれど小林さんや、鈴木大介さん、未来の会の市川剛さん、素晴らしいパワーポイント資料を作られ講演される島津渡さん(お2人はコウジ村村民です)、東大阪の「え~わの会」の方々など、発信される当事者が増えてきて、嬉しい限りです。これからも是非どんどん発言を続けて下さり、私達家族や支援者、一般の人に当事者のお声を聞かせてください。そして社会にこの高次脳機能障害への理解をもっともっと広めて下さるよう、お願いします。

小林さん、頑張って下さいね。
そして今これをお読みの皆さんが、少しでも小林さんの夢にお力を貸して下さると嬉しいです。
宜しくお願いします。

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