日々コウジ中

日々コウジ中 - クモ膜下出血により、さまざまな脳の機能不全を抱える“高次脳機能障害”になったコウジさんを支える家族の泣き笑いの日々

2019年12月

大晦日です。

昼間は上着いらずの暖かさだった東京も、夕方から強い北風が吹き、あっという間に真冬の寒さになりました。

年末年始はヘルパーさんがお休みのため、1日おきに実家の母のところへ様子見や食料を届けています。今日は早起きして、おせち料理を作り、持って行きました。

車で片道1時間弱はかかるので、ちょっとしたドライブです。コウジさんもワッチも喜んで乗っているだけでいいけど、私は料理、洗濯、掃除、ウメの散歩を済ませての運転。帰りも運転して戻ると、ウメの散歩、夕食作り。ああ、疲れた。腰が痛い。

今、コウジさんに腰をマッサージしてもらって、少し楽になりました。

実家では、コウジさんと母が2回対局。母は生き生きとコウジさんに教え、上機嫌でした。
けれど私と母が対局した時は、私が長考するので母は嫌がりました。
結局私が勝ちましたが、母やポンポン打ち合う(あまり考えない)コウジさんとの対局の方が楽しいと言います。コウジさんもそうなんですって。

私は、考えている時が楽しいんですけど、やっぱりもう少し早く打てるようなればいいなあ。
でも、早すぎて間違えるのも嫌だし・・・ どうしたものでしょうね。

あさってはまた実家へ行くので、明日の元日くらいは、少しは家でゆっくりしたいと思います。
早速コウジさんと、新年初になる第1局を打ちましょう。

まだ6級ですが、今年頑張って初段になりたいなあ。無理かなあ。

さて、あと1時間で今年が終わります。
今年も大きな病や事故もなく、無事過ごせてよかったですが、来年も無理しないで、マイペースで行きたいと思います。

皆様も、よいお年をお迎えください。

柴本礼 
令和元年 12月31日



今日12月28日にも、囲碁教室はあったんです。もうさすがに年末なので、(ないだろうな~。)と思っていたんですが、ありました。しかも来週の1月4日から、早速新期が始まります。休む間なしで、生徒は勿論、先生も大変だあ。

(きっとこんな暮れ、来る人いないかも。)と思って行ったら、それがすごい賑わいでした。満席で、熱気ムンムン。みんな勉強熱心ですよねえ。(私もですが。笑)

顔馴染の人達と会い、頭をすごく使い、石倉先生にもご挨拶して、(ああ、楽しかった!)と囲碁教室の入っている商業施設の1階に降りてくると、そこももう目が回るほどの混雑でした!驚いた~。
みんな年末の買い物に来ていて、おせちコーナーの前は、商品が見えないほどでした。

私は囲碁をしてぐったり疲れていたので、とても買い物する気力がなくて、帰りました。まだ今年はあと3日あるので、あとで買いに来ます。でも、きっと家の近所のもっと小さなスーパー(せいきょう)ですね。いくら品物の種類が豊富でも、人混みは疲れるので。

帰宅すると、昨日いきなり電話をくれた植木屋さんが作業していました。台風19号で植木(スカイロケット)3本が傾いてしまったので、植木屋さんに電話して来てくれるよう頼んでいたのですが、2か月経ってやっと来てくれたんです。台風被害で20軒くらいから同じような依頼があったそうで、わが家も様子見にきたところ、まだ倒れるまでは行っていないと判断、後回しになったそうです。やれやれ、お正月前に、玄関周りがきれいになって良かったです。 とても良心的な植木屋さんで、安いので助かっています。(だから人気で、なかなかうちに来られなかったのですね。)

今日はもう少し囲碁話題を。地獄谷温泉後楽館のご紹介です。

私達高次脳機能障害者や家族に囲碁を教えて下さっている木谷正道さんは、昭和の名棋士木谷實九段の息子さんですが、お母様方の実家は、長野県にある地獄谷温泉後楽館です。温泉に入るお猿さんで有名ですね。(外国では、「スノーモンキー」と言われています。)実は、お猿さんが最初に温泉に入ったのは、この後楽館であって、そばの野猿公苑は、そのあとに整備された観光地ですよ。温泉に入るお猿さんは、野猿公苑の方がもしかしたら有名かもしれないけれど。

その後楽館の若女将は、竹節三枝さんと仰って、私とも仲良しです。後楽館には今までなんかやで2度伺いましたし(1回は泊まらず見学のみ)、大船渡の囲碁まつりや、この間の井山裕太さんの本因坊就位式でもお会いしました。(いつも、木谷さんに誘われて参加しています。)

後楽館には2年前に木谷道場ギャラリーがオープンし、囲碁も打てますので、スノーモンキーを見がてら、お出かけになってはいかがでしょうか?外国のお客さんが多いそうで、三枝さんが囲碁入門指導をされているんですよ。現在62か国950人以上の人が、入門されたそうです。三枝さん、頑張ってるなあ~!

後楽館のホームページ → http://www.jigokudanionsen.com/

三枝さんは、そんな山奥に碁会所もなければ囲碁教室もないので、独学で囲碁勉強しています。使っている教材は、石倉昇先生の本や水間俊文先生の教科書だそうです。パソコンは、宿の仕事だけで目がしょぼしょぼになるので、囲碁勉強には使えていないんだそうです。

私は、三枝さんが一所懸命勉強している本を書かれている、当の石倉先生に習っていて、授業はしっかりノートに取っているので、三枝さんに石倉先生の許可を得て、そのノートコピーを差し上げました。少しはお役に立てたらいいなあ。

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ところで、その地獄谷温泉後楽館に、10月にプロ棋士の柳澤五段が訪れて、三枝さんを取材されたそうです。その様子が、柳澤五段のメルマガのYouTubeに載っています。

https://www.youtube.com/watch?v=Ea6M7gt4kks&feature=emb_rel_pause

後楽館は、木谷實九段と呉清源九段が、新布石を考え出した「新布石発祥の地」でもありますよ。

さて、明日は実家へ行き、コウジさんと母がまた対局です。5子置かせてもらっても、負けるコウジさん。明日もきっと負けるんじゃないかと思いますけど、年末年始は、私が少しコウジさんの相手をして、鍛えたいと思います。そういう私も、まだ6級だけど。

母もコウジさんと囲碁を打てるのを、とても楽しみにしています。

それではまた!

すっかり年の瀬も押し迫り、あと4日で今年も終わりだなんて、信じられません。

大掃除らしきものはしていないけれど、結構掃除好きな私は毎日掃除しているので、特に気になるところはなく、しいていえば山のような資料、読みかけの本、切りぬいた新聞、犬猫のエサやおもちゃが目につくなあ。でもいいや、それより年賀状書きもまだ途中なのでそっちを優先しないと。

それよりさらに優先させなくてはいけないのが、ウメの散歩と週1回の通院(耳治療)です。
今日の病院では、脱走するウメへの対応策を相談しました。「ハーネスに変えようと思います。」と言う私に対し、獣医さんは、「ハーネスも脱げるので、ハーネスと首輪の2つするといい。」と言いました。そうかあ、じゃあそうしよう、と思いました。

夕方、今日2度目の散歩をしていると、親友犬アメリちゃんと会いました。(注・アメリちゃんは、うちの6軒隣に住んでいるので、この間ウメが脱走した時は、アメリちゃんちは探しませんでした。)
アメリちゃんの首輪をよく見ると、それは「ハーフチョーカー」というタイプだそうで、逃げようとすると軽くきゅっと首が締まるので、逃げないそうです。普通のチョーカーよりソフトなんだそうで、アメリちゃんはこれまで12年間1度も脱走したことがないそうです。ウメは10回は逃げているのに・・・(涙)。

ハーネスか、ハーフチョーカーか、どちらにするかよく考えようと思いながら歩いていると、「ウメちゃん!」と声をかけられました。わわ、ウメの命の恩人の男性です。

実は、昨日も家の近くで、恩人男性が飼い犬を散歩させていたところにばったり出会っていました。なんてよく会うんでしょう!今日で3日連続です。もしかしたら今までも毎日会っていたかもしれないけれど、ウメが脱走しなかったから知らなかっただけかもしれない。

昨日会った時、私はウメを連れていませんでした。ポストに年賀状投函とコンビニに支払いがあったので、5分ほど外に出た時の、彼との遭遇でした。

(ああ、犬連れの男性がいるな、かわいいな。)と犬ばかり見ていたら、その男性から「ウメちゃんの・・・ですよね。」と言われたので飛び上がりました。前日に車の中から声かけてくれたその男性は、車の中だからよくお顔を覚えていなかったのです。でも男性は、私のことを覚えてくれていました。

その時は、少し立ち話ができたので、当時の状況を聞けました。
男性は車に乗っていたそうです。するとウメが1匹で歩いているのを発見、交通量が多い道路だったので、「これはまずい!」とまずウメの写真を撮ったそうです。(その時から、飼い主を捜そうと思ってくれていたのですね。感謝。)
けれど車を置く場所がないので、一旦ご自宅に車を置きに戻り、自転車に乗り換えるとまたウメのいたところへ戻ったそうです。
ウメがいなかったので、ウメを探していたところ、リードを持ってウメを探しているコウジさんを見つけたそうです。そして「探しているのは、この犬ですか?」と写真を見せたそうです。あとはブログに書いた通りです。

犬のために、わざわざ自宅に車を置きに行って自転車でまた探しに出てくれる人っているでしょうか?100人に1人、いえもっと少ないかもしれません。なんてお人柄がいい方なんだろう、と感激するやら興奮するやら。 しかも、コウジさんがきっと口にしたのでしょう、ウメの名前も覚えてくれていたんです。 もう、大感激。

夜、コウジさんやワッチにその話をすると、2人ともすごく感動しました。でもワッチの次の言葉に(へ?)と思ったのですが、ワッチは「ママみたいなお人よしがいるんだな。」と言ったんです。
(へ?私がお人よし?)(ワッチったら、いつも私のことをバカにしているけれど、そんないい風に思ってくれていたんだ!)と、嬉しくなりました。お人よし=いい人 ですもんね。

そしてふと、実際私だったら?と考えると、たしかに私もそんな感じのことするかもしれない、と思いました。ただ、急ぎの用事(親が急病とかの)がなければの話だけれど。・・・いえ、急ぎの用事があったとしても、その犬が命の危険にさらされないための、最低限のことはするだろうなあ。

今日の3度目の邂逅時には、きれいな奥様も同伴されていました。男性も奥様も、ウメのことを撫でたり可愛がったりしてくれたので、ウメが喜ぶこと喜ぶこと!

良かったねえ、ウメ。いい人(ご夫婦)に助けられて。私も素敵なご夫婦と知り合えて、嬉しいです。犬は人と人を結んでくれるんだなあ、と改めて思いました。

今日はコウジさんは仕事おさめ。会社の仲良しの人達と忘年会をして、ほろ酔い気分で帰ってきました。楽しかったそうです。良かったね。上司や同僚に恵まれた、働きやすい会社に勤められて、コウジさんは幸せ者です。お陰様で、来月15日から就労14年目に入ります。

冬休みの9日間、ゆっくり休んでね。

今朝、「さぶい、さぶい」と震えながらウメの散歩をしていた時、一台の車がスッと私とウメの横に止まりました。
車の窓が開き、感じのいい若い男性が、「すみません。」と声をかけてきましたので、(道を聞くのだな。任せて!)と思い、「ハイ!」と笑顔で答えました。

するとその男性は、「もしかして、ウメちゃんですか?」と言うのです。
その途端、パ~ッと私の頭の中が輝きました。そして、「あ、写真を撮って、夫を犬のところに連れていって下さった方ですか?」と聞くと、「そうです。」とのこと。
後ろから車が来るかもしれないので、私は早口で、「有難うございました。あのあとすぐ見つけて捕まえられたんです。命の恩人です!」と感謝の気持ちを伝えました。男性は「良かった!」と嬉しそうに笑うと、会釈して走り去りました。

ああ、良かったです。ワッチが、「その人も、そのあとどうなったか気になっているだろうね。」「わざわざウメの写真を撮って、犬を探している人はいないか、探してくれていたんだから。きっと。」と言っていましたが、どこのどなたかわからないので、ウメの無事を知らせる手段がなく、もやもやしていました。ただ、コウジさんからは、「若い男性」とだけ聞いていました。でもそれが合っているかわからないし、無事を伝えるのは絶望的だと思っていたんです。

コウジさんが帰宅した時に、その話をするとコウジさんも喜びました。あとはワッチにも教えなくちゃ。

また明日同じ時間帯に、同じあたりにウメといたら、会えるかな。会えるようだったら、いつかお礼をしたいな。

さて、1月の講演情報です。色々あるので、駆け足で・・・特に兵庫のイベントは、あさってが申込み締切です。

●港区高次脳機能障害理解促進事業「高次脳機能障害研修会(支援者・専門家向け)」
第一回
日時:令和2年1月22日(水) 18時半~20時半(受付18時~)
18時40分~19時40分 講演「脳卒中のリハビリテーション」講師 羽田拓也氏(東京慈恵会医科大学附属病院リハビリテーション科医師)

19時50分~20時半(質疑応答含む)事例報告「社会的リハビリテーション~地域における自立に向けた支援~」パネリスト 宇津野絵里氏(港区障害保健福祉センター言語聴覚士)

会場:港区立男女平等参画センター「リーブラホール」 港区芝浦1-16-11 みなとパーク芝浦1階
参加費:無料(配布資料含む)
定員:200名
対象者:支援者、専門家、当事者、家族及び関心のある方
申込み期間 令和2年1月20日まで
申込み先:みなとコール 03-5472-3710
※一時保育が必要な方は、研修会の1週間前までにみなとコールにご相談下さい。

●神奈川脳外傷リハビリテーション講習会
日 時 :令和2年1月19日(日) 13:00~16:30
会 場 :藤沢市商工会館ミナパーク 6階多目的ホール3
参加費 :無料  
定 員 :70名
講 師 :神奈川県リハビリテーション支援センター 総括主査 瀧澤 学氏
     クラブハウスすてっぷなな 統括所長 作業療法士  野々垣 睦美氏
     (福)光友会 藤沢市高次脳機能障がい者相談支援事業所チャレンジⅡ 平野 美夏子氏・澤谷 悠里氏
お申し込みはなるべくFAXで、神奈川リハ病院内協働事業室へ(TELの場合は火~金10~15時)
対象:高次脳機能障害に関心をお持ちのすべての方、是非ご参加ください
FAX046-247-2433  TEL046-249-2020  脳外傷友の会ナナ
ナナさんのHPの「お知らせ」から、申込み用紙がダウンロードできます。
http://www17.plala.or.jp/nana516/

●所沢市 令和元年度第5回こころの健康講座
「見えない障害、高次脳機能障害~制度の谷間に生きがいを求めて~」

日時:2020年1月18日(土)13:00~16:50 
会場:所沢市保健センター 多目的ホール
内容:
・第一部 講演 「 生きがいを求めて 息子の場合 」奈良県 高次脳機能障害友の会 代表 大久保 康子 氏
     ギター演奏:サンタナ 「 哀愁のヨーロッパ 」 他(当事者 松谷 圭 真 氏)
・第二部 講演 「 ここでしか聞けない !働く当事者が語る 『 私たちの生きがい』 」
     (講師 「未来の会」 代表 市川 剛 氏、当事者 島津 渡 氏)
入場無料、申し込み不要

★第二部でお話される市川さんも島津さんも、コウジ村会員です。市川さんは「未来の会」代表、島津さんは華麗なパワーポイント資料を駆使されて講演されるので有名です。(今回はきっと資料はないと思いますが) お2人が同時に登壇されるのは、初めてとのこと。是非皆様万障お繰り合わせの上、お出かけ下さい!

●兵庫県令和元年度高次脳機能障害リハビリテーション講習会
「地域における高次脳機能障害の支援 『主体性を引き出す関わり方』~医療と福祉の立場から~」
講師:長谷川幹氏(三軒茶屋リハビリテーションクリニック院長)・和田敏子氏(社会福祉法人世田谷ボランティア協会福祉事業部次長 高次脳機能障害相談担当)

日時:令和2年1月18日(土)13時~16時(受付12時半~)
会場:神戸国際会館セミナーハウス9階大会場
締切:令和元年12月27日(金)
参加費:無料
定員:120名
主催:ひょうご高次脳機能障害リハビリテーション講習会実行委員会
お申込み・お問い合わせ : TEL078-925ー9262 FAX078-925-9299

読みづらかったらすみません。
このあと、まだやることが色々あり、きれいに体裁を直している時間がないので、お許しを!


今日は定期的な受診日なので、コウジさんを車に乗せて玉川病院へ連れて行きました(コウジさんは有休取得)。

クリスマスだからか、病院はいつもよりすいているように思いました。みんな家にいるか、友達と会っていたいですよね。うちはクリスマスは特に予定を入れませんし、病院の方が大事です。

さて、病院に早めに着いたのは、受診の前にお昼を病院内の食堂で食べようと思ったからです。
ここのランチは、とてもヘルシーですごく美味しんです。家から近かったら、毎日来たいくらいです(笑)。以前は「世田谷食育弁当」という名前でしたが、今はただの「ランチ」という名前になりました。みんなランチを頼むので、すぐ提供数がなくなり、売り切れになります。でもほかのメニューもみんな美味しいですよ。コウジさんはランチじゃなければピラフが好き。私はナポリタンですね。でもそばを運ばれていくミックスサンドも、美味しそう。ビーフシチューなんて豪華なメニューもありますよ。

で、食堂に入ろうとしたら、コウジさんが「トイレに行きたくなった。」と言うので、近くにあるから1人で行かせました。でも何も考えずにすぐ歩き出すコウジさん、外へすぐ出る廊下を歩いて行ってしまい、また戻ってきました。「あっちでしょ。」と呆れてトイレ方向を指さすと、そっちへ行きました。その様子を見ていた食堂前に立っていた女性が笑うので、「夫はくも膜下出血を起こし、高次脳機能障害という後遺症があるので、道に迷ったり記憶が悪かったりするんですよ。」と説明しました。

女性は驚き、その障害名も知らなかったそうですが、興味を持って色々質問してくれました。そしてなかなか戻ってこないコウジさんを心配し出し、トイレから戻ってきた自分の連れの女性に、トイレの場所を聞いてコウジさんを探しに行こうとされました。

私は慌てて、「探しに行くなら私が行きますよ、多分大丈夫なんですが。」と、もう食堂の順番待ちの紙に名前も書いたので、探しに行きました。 すると、やはりウロウロ迷っているコウジさんを発見、しかもどんどん離れていこうとしていたので、呼び止めて無事連れ戻しました。
「迷っちゃったよ~。」と照れるコウジさんと食堂まで戻ってくると、先の女性がほっとした笑顔で喜んでくれました。いい人だな。その女性は、診察後の会計の時もちょうどそばを通り、私に笑顔で会釈して帰っていかれました。誰だろう、と思った私は、ああ、あの食堂の時の女性か、と思い出し嬉しくなりました。

美味しいランチ後、時間になったので受付機械で受付。なるべく自分でできるようになってほしいから、受付するコウジさんを遠くから見ていると、なぜかできなくて、近くに立っていた職員の女性に機械操作してもらっていました。
こっちに戻ってきたコウジさんに、「どうしたの?」と聞くと、機械が動かなかったと。「どうして?」としつこく聞くと不機嫌になったので追及をやめ、受診票を脳神経内科の窓口に出しに行くことにしました。

コウジさんはもう何十回もこの病院に来ているのに、いまだに診察を受ける場所を覚えられず、昔リハビリを受けていた地下へ、すぐ降りて行こうとします。
「そっちじゃないでしょ。」と、引き止めたあと、コウジさんにどこへ行けばいいのかを考えてもらおうかとも思いましたが、早く受診票を窓口に出さないと、それだけ受診順番が遅くなるので、私が先導しました。あ~あ、突っ込みどころがいっぱいのコウジさんだ。 

すいていたから、わりとすぐ診察室に呼ばれ、早速私が主治医の和田先生に、コウジさんの「むせ」や「皮膚炎」や「困った行動」などについて相談しました。(コウジさんは問題意識ないので、自分からは話せません。)

コウジさんは、本当によくむせます。急いで食べたり、食べながら何か話そうとしたり、テレビを横目で見ながらお茶を飲んだり、そうした時はむせます。ひどい時は呼吸ができなくなるのでは、というくらいむせます。最近は薬を飲んで良くなってきましたが、それでもむせますね。皆さんのお宅の当事者の方々はどうですか?

皮膚炎ですが、コウジさんはくも膜下出血で開頭手術、水頭症でシャント術を受けています。そのシャントが頭から右の耳の後ろを通って腹腔へ続いているのですが、右の耳の裏やそのあたりの頭皮、そしてここ半年くらいは耳の中まで広がるカビのような皮膚炎に悩んでいます。放っておくとじゅくじゅくした液まで出てくるので、私がマメに薬を塗布するのですが、私が面倒だったり忙しかったりで時々手が回らなくなると、すぐカビカビ、じゅくじゅくしてきます。もう、手のかかる夫だ。自分では「できない」というし、たしかに頭頂部や後頭部の皮膚炎は見えづらいので、仕方ありません。もう何年もこの薬塗布作業をしている私です。

和田先生のお話では、シャントが入っていると感染症のようなものを起こす人もいるそうなので、夫はそのタイプのようです。シャントを抜けばいいけれど、もう長年(15年)体に入っているので、抜けないそうです。抜くのも大変なので、いいです。薬塗布頑張ります。

ウメを脱走させてしまった件にも、首輪ではなく胴輪(ハーネス)にしてみたらどうか、とアドバイスもらいました。ウメが若い頃、「ハーネスは手の動きを妨げるからやめた方がいい。」、と今は亡きブリーダーさんから言われたのを今まで私は守っていました。でもウメも高齢となり太って動作も緩慢になったので、ハーネスはいいかも。 

コウジさんのことばかりか、飼い犬のことまで心配しアドバイス下さる和田先生に、夫は「我が家の生活全般を見てくれるなあ。」と喜んで笑っていました。
たしかに、和田先生に相談すると、いつもいい案を出して下さるので、その場で悩みが一気に解決、助かります。

たとえば、コップでお茶を飲んでむせる悩みには、「おちょこみたいな小さな器で飲むようにしたらいいよ。」 テレビに向かって暴言を吐く悩みには、「テレビから離れて見るようにしたらいいよ。」テレビを横から見ながらお茶を飲んでむせる悩みには、「逆の方向からテレビを見るといいよ。気管は両側とも狭く(?ちょっとこの部分、記憶が曖昧です。すみません。)なっていることは少なくて、どっちかが狭くても、どっちかは大丈夫だから。」と。

それでいつもと逆方向に座ってテレビを見ながらお茶を飲んでいると、たしかにむせません。
テレビから離れて見させると、コウジさんは「つまらない。」と言って映像にのめり込めず冷めた感じで大人しく見ています。

「なんで先生はわかるんだろうなあ。さすがお医者さんだな、なんでもわかるんだなあ。」とコウジさんは(私も)感心しきりです。いい先生に巡り合えて、幸せです。

その和田先生が、来月ご講演されます。

●目黒区第12回高次脳機能障害者支援セミナー
日時 : 令和2年1月31日(金曜日)午後6時から午後8時まで(午後5時30分開場)
会場 : 目黒区総合庁舎 本館2階 大会議室(目黒区上目黒二丁目19番15号)
内容 : 
第一部 「脳卒中による高次脳機能障害」
副題 回復期リハビリテーションから社会復帰支援まで
講演者 日産厚生会玉川病院 院長/区西南部高次脳機能障害支援センター長 和田義明先生

第二部 当事者のご家族からのお話(いきいき・がくだい)
演題 「高次脳機能障害の夫とともに歩む回復までの道」

参加費 : 無料 
対象 : 高次脳機能障害のご本人、ご家族、関係機関、一般他
申込方法 : 令和2年1月22日(水曜日)までに、電話又はファックスで目黒区高次脳機能障害者
       支援センターにお申し込みください。先着150名。
申込先及び問合せ先 : 目黒区高次脳機能障害者支援センター
            TEL 03-6808-8575 FAX 03-6808-8576

チラシや申込書は、目黒区のHPにあります。
https://www.city.meguro.tokyo.jp/event/kouenkouza/hattatsukeihatsu3.html

尚、和田先生は読んだ人たちから「わかりやすい!」と評判の本を、書かれています。それは、
『リハビリスタッフ・支援者のための わかりやすい高次脳機能障害』(秀和システム)

なんと、私がイラストを描かせて頂きました。是非お読みください。
https://www.shuwasystem.co.jp/book/9784798032894.html

1月にはほかにも色々講演会があるのですが、今日はすでにここまでで長くなりましたので、ここで終わります。続きは明日に!

うう、めっきり寒くなりましたね。
皆さんも、風邪ひかないよう温かくしてお過ごしください。

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