小室哲哉さんの引退会見ニュースで、高次脳機能障害者の介護の大変さを、世間が少しでも気にしてくれるようになれば、当事者家族としては有難いことではあります。小室さんがご自分の誇りある仕事と引き換えに、置き土産としてそのことを残して下さったのだと思うと、ご本人のつらさや無念さが身につまされます。

ただ世間の目は、高次脳機能障害者の介護よりも、不倫の方に向いているようで、「もっと大事な根本的な問題があるんですよ!」と言いたいです。

小室さんは大変な有名人なので、こうして話題に上りましたが、実は日本中に高次脳機能障害者はいらっしゃるわけで、その周りには小室さんのように疲れた介護者がいるのです。そこも気づいてくれなくちゃ。小室さんは、世間の人のこの障害への理解の入り口にもなり、当事者や家族の救世主にもなりえるのですが、小室さんご自身が今とてもお疲れのようで、心配です。

そんな介護者への支援を考える講演会が、今度は広島で催されます。
今度は、と申しましたのは、昨年12月10日に東京水道橋でも講演会やワークショップが催されたからで、私もそこへ行きました。主催はともに、「NPO日本ケアラー連盟」で、実は私も昨年正会員になりました。

なぜならいつも私が思っていることに、障害や病気の当事者も大変だけれど、そのそばにいる介護者も大変だということ、けれどそのことに今まであまり目を向けられてこなかったことがあるからです。

講演をさせて頂くたびに、「当事者の居場所と介護者への支えが大事なんです!」と声高にお話している私に、広島在住のフリーライター児玉真美さんが、ご自身が理事を務められている「日本ケアラー連盟」へ入られることを、時折勧めて下さっていました。(児玉さんには、重症心身障害の娘さんがいらっしゃいます。)
私が広島で講演した2013年11月23日、当時広島の高次脳機能障害支援コーディネーターだったSさんが、児玉真美さんが翻訳された「介護者の権利章典」を教えて下さったのが、児玉さんとのご縁の始まりです。
(このブログでも何度も取り上げてきた「介護者の権利章典」は、元々はアメリカの認知症家族を介護された人の文章だそうで、詠み人知らずとなっています。)

前置きはそのくらいにしまして、その広島の介護支援講演会のお知らせです。

【ケアラー支援講演会】
講演「ケアラーが『助けて』と言える社会をめざして」

講師 : 堀越栄子さん(日本ケアラー連盟代表理事 日本女子大学教授)
日時 : 2018年2月17日(土) 14時~16時(開場13時半)
場所 : 広島市中区民文化センター会議室AB(広島市中区加古町4-17 JMSアステールプラザ4階 TEL082-244-8000)
参加費 : 500円(申込不要)
問い合わせ : h.life.kenshu@gmail.com
共催 : 一般社団法人日本ケアラー連盟・広島 重い障害をもつ人の生活を考える会 

日本ケアラー連盟のHPは、こちらです。→http://carersjapan.com/
ここでも、講演のチラシが読めます。

これからは、介護者にも目を向ける社会になっていきますように。

当事者が良くなるか悪くなるか、そばにいる介護者次第といっても過言ではありません。
それだけ介護者の責任は重く、時として逃げ出したくなることもあります。逃げ出す人もいます。でもその人その人の置かれた状況、その介護者と当事者のそれまでの関係によっても、介護の姿勢は全然変わってくると思うんですよね。

昨日のNHK[おはよう日本」、皆さんご覧になりましたか?この番組はいつも大切な情報をくれる貴重な番組です。今日はアメリカの枯葉剤散布により、ベトナムでは今も奇形児が生まれている現状を取材していました。3世代にもわたり、影響が続いているのです。当時から現場の写真を撮り続けてこられた写真家中村梧郎さんが企画され、このたびベトナムでマラソン大会が開かれたそうです。オリンピック金メダリストの高橋尚子さんも、ドクさん(べトちゃんドクちゃんのドクちゃんです)らと走って、被害者を励まされていました。チャリテイマラソンなので、収益金は枯葉剤被害者の医療費等に充てられるそうです。

同じように、日本でも毎年10月には「パイロットウォーク」といって、全国のパイロットクラブさんが主催されているチャリテイウォ―クがあるのをご存知ですか?脳関連障害者支援をされているパイロットクラブさんが、参加費千円を頂いて、支援を訴えながら歩かれるイベントです。毎年サークルエコーの田辺代表が歩かれているのを知っていましたが、私は参加したことがありません。けれど今朝のドクちゃんが片足と杖で一所懸命走っている姿を見て、一緒に見ていたコウジさんにパイロットウオークのことを教えると、「ボクもそういうの出たい!」と言います。
え、そうなの?面倒臭がりのコウジさんなのに、このニュースにとても心揺さぶられたのでしょうね。
「じゃあ、今年出ようか?」と話しています。私は参加するとしたら、お付き合いのある八王子東京パイロットクラブさんのウォ―クだから、ちょっと遠いなあ、朝早いなあ、と今まで躊躇していたのですが・・・。 皆さんもお近くで開催されるパイロットウォ―クに、是非ご参加下さいね。

・・・話がまた違う方向へ発展してしまいました。
昨日の「おはよう日本」では、茨城県日立市に住む、向仁子(むかい としこ)さんというお母様が、障害を持つ息子さんとの暮らしについて、「すごく大変です。もうこれは大変です。ただ、不幸ではない。私たちは不幸ではない、そこは間違いないです。もしそこに親に不幸だと思わせるものがあるとしたら、たぶんそれは、その家族が置かれた環境が、周りに認めてもらえない、どこにも頼ることができない、そういう環境が思わせているのだと思っています。 私が『ほら行って来い』と背中を押してあげられるような、場所と人と、そういうものがあったら幸せですよね。」(NHKのHPより)と言われていました。
その輝くばかりの美しくも強い笑顔で、けれどこぼれてくる涙を拭かれもせず毅然と話される向さんの姿に、会社へ行く前のコウジさんを手伝う手を止めて、私も見入っていました。なんて素晴らしい方でしょう。

向さんへのインタビューは、相模原殺傷事件から1年半経つ今日(1月26日)に向けてNHKが取材してきた中でのものですが、向井さんは植松被告に憤りつつ、植松被告のような障害者への偏見を少しでもなくしていこう、と動き始められ、茨城キリスト教大学で、学生と障害者がスポーツを通して交流できるイベントを開催されたのです。「卓球バレー」というスポーツで、大学生に障害者をサポートしながら同じチームでプレーをしてもらったそうです。参加した大学生たちは、「とても楽しい。」「言葉が通じなくても、スポーツを通じて協力し合えた」と言っていました。

向井さんのようなこういう地道な取り組みがあちこちで同じように進んでいき、障害者と健常者が隔たりなく一緒に暮らしていける世の中になりますように。
そのためには、障害者サイドからばかり手を伸ばすのではなく、健常者サイドからもどうぞ手を伸ばしてください。一方からだけでは、無理なのですから。