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 昨日、このブログに、ニューヨークから投稿が届きました。

 個人名でしたので、アップしませんでしたが、びっくりしました。 私のブログも国際的になったなぁ?

 それは、「三田評論」 の中の私の文章を、ニューヨークで読まれた方からでしたが、「参考になるかも。」 とご親切に教えて下さったのは、フェリス女学院大学の立神粧子教授が昨年11月に出版された、「前頭葉機能不全 その先の戦略」 (医学書院発行) という本です。

 ニューヨーク大学の、「RUSK研究所脳損傷通院プログラム」 という、高次脳機能障害の有名な機能回復訓練プログラムを受けられた、立神様ご夫妻の治療体験が述べられているそうです。 (ご主人が2001年、右椎骨動脈解離性動脈瘤破裂のあと、高次脳機能障害者になられたそうです。)

 おそらくかなり専門的な内容だと思われますが、アマゾンで注文しましたので、読んでみようと思います。

 はるかニューヨークから、貴重な情報を送って頂き、どうも有難うございました。

 パソコンが苦手な私は、長崎講演資料を作るのに時間がかかり、昨夜は疲れて机に突っ伏したまま、1時間ほど寝てしまいました。

 何もしない1日、あるいは読書三昧の1日が欲しいこの頃・・・。 あ、でもダメだ、ウメとのハードな散歩があるわ。

 ということで、今日の写真はウメと梅。 甘く上品な、いい香りが立ち込めていました。

 「高次脳機能障害 第42回」。

 色々問題があったコウジさんの勤務も、1年を過ぎた頃から落ち着いてきました。その頃のことを書いて下さっている、同僚の方のコメントを、ここに載せさせて下さい。

 「一年を経過した位から大分、業務や会社、人間関係にも慣れてきたようになり、入社当時と比較すると比べものにならないほど、事務効率があがった。マニュアルを見ずとも、ルーティンワークを記憶しており、来訪者の記録データ作成、メール便集配を習慣業務としてこなせるようになってきた。マンツーマンでつかなくとも、一人で業務を行うことが可能となった。

 これは、ご家族や同僚の援助努力もあるが、個人の負けない努力が一番であろう。

 最もいい方向に変化があり、彼が成長したのでらはないかと思うことは、嫌な仕事も率先してできる様になったことである。

 メール便集配業務や、社員証作成、しかも人から注意されたり、指摘されたりする事が嫌いな性格でもあり、以前は敬遠しがちであった業務を、現在は、誰から言われずとも行なっている。

 又、人が嫌がる雑巾洗いであったり、シュレッダーであったり、自分の立場を理解し、業務内、業務以外の事でも、自身でできることを率先して行っている。

 とても素晴らしいことだと思う。・・・ 」

 そう考えて下さる彼女の方こそ、素晴らしいと思います。

 こんなに夫のことを、詳細に見て下さっている会社に勤務できて良かったです。

 このように、働き盛りの高次脳機能障害者には、就労が大切です。

 会社で過ごすうちに、症状は良くなるようですし、その意味においては、会社には申し訳ありませんが、最高のリハビリの場であります。

 コウジさん?自身も、「社会と繋がっているという認識は、やっぱり嬉しい。」 と言っているように、働くことは、本人の生きる喜びと、生きる力になります。

 介護者も、日中の時間が持てて、自分も就労やリラックスができるとともに、 経済的にも非常に助かります。 

 いいことばかりなのです。

 コウジさんが、今もきちんと会社勤務を続けられていることは、きっとこれから就労を目指す同じ障害者の方の励みになるのでは、と思っておりますし、また、今この瞬間にも、絶望しているかもしれない介護者の方々にとりましても、少しでも希望になれば、と願っております。

 ですから、これからもコウジさんが勤務を元気に楽しくけられるよう、私は家族として体調管理に気をつけて支えていきます。

 最後に、先ほどの彼女のコメントの終わりに書かれてあった一言を、紹介しますね。 とても有り難く、またうなづけるものです。

 「私は彼に出会い、人間としても、自分自身の業務の幅も広がったのではないだろうか、自分自身も成長したのではないかと彼の存在に感謝している。 人間の生命力回復力に感動を覚え、又、彼個人の努力に対して、尊敬の意を表する。」

 私を含めた健常者は、障害者に寄り添うことによって、そこから感じ取り、学び取るものが必ずあります。 なくして初めてわかること、 人が助け合うことの大切さ、 私も日々勉強中です。

 ー第42回おわりー