最近、飛ぶように毎日が過ぎていく気がします。

 

前日から周到な準備をして、父を老健から連れ出し、病院で受診してもらったのは3日前の木曜日のことでした。

その日とその翌日の一部始終を書くには、色々なことがありすぎて長くなりますし、他人の 「ああ、もう疲れちゃったあ〜。」 という話を読んでも退屈だと思うので、できるだけ短く、大事なことだけ書きます。  (と言っても、いつものように長くなりましたが。)

 

以前からわかっていたのは、老健に入所中の人間の薬については、外部の病院にかかった場合、医療保険は効かないということ。

さらに、パーキンソン病などの難病の薬代を軽減するための国の支援策、「特定医療費(指定難病)医療受給者証」 も無効だということ。

 

とすると、高額な薬が全額自己負担になるので、難病患者は老健に入所するのはやめた方がいいということになります。 (有料老人ホームに聞いたところ、特定医療費医療受給者証は使えるとのこと。)

 

せいぜい老健入所前に病院が処方してくれ、た3ヶ月〜100日分の薬が切れる前には退所した方が、家計は助かります (rinrinさんのご主人は100日分出してもらえたそうですが、我が父は3ヶ月分でした。 これも知らないで薬を持ち込まずに入所すると、初日から全額負担になります。 まさに情報は金なりなのです)。

 

勿論、いくらかかっても気にしない方なら、老健にずっと入所していてもいいのですが、せっかくの制度を利用しないのは勿体ないし、老健でなくても有料老人ホームでも特養 (特別養護老人ホーム) でもいいわけです。

 

では、なぜ私が父に老健に入ってもらったかというと、父は施設入所を嫌っていたため、「3ヶ月リハビリして帰宅を目標とする」 老健なら、と入所してくれたからです。

 

当時私は睡眠時間もろくにとれずに父の24時間介護をしていて、私どころか温和なコウジさんや受験生のワッチまで壊れそうでした。

5キロ痩せた私は、こんな無謀な介護生活では父も私達家族も共倒れだ、と判断。

父を説得して入所させました。

半年たった今、また私は元通りの体重に戻り、家庭も少しは平穏を取り戻しつつあります (しかしながら頻繁な父の外出や外泊、毎日の父母との電話やりとりや次々生じる用事で、相変わらず余裕のない毎日)。

 

当初私も、父の回復次第では、父が自宅で暮らすことも無理ではないかもしれない、と考えていました。

 

ところが父は残念ながら、回復というより現状維持、もしくは悪化、という道を辿っています。

 

それは必ずしもパーキンソン病の悪化というだけではなく、もう81歳という高齢ならではの全体的な体の衰えも関係しているし、肺炎や転倒といった 「イベント」 を経るごとに衰えていくものだ、と木曜日受診した医師の率直なお話でした。

 

一方母も物忘れがひどく腰痛もあって、体の動かない父の世話は絶対無理、2人だけで暮らしたらその日のうちに2人とも即入院になりかねません

(→母骨折、父も骨折や頭打ったりお風呂で溺れたり。 まず母には父のトイレ世話やお風呂世話は不可能なり)。

 

かといって、私が障害者の夫であるコウジさんを置いて実家で父母の世話をする、というのも無理。

私が常にフォローしているからこそ、コウジさんは今日も無事に過ごせている、という自負がありますし、コウジさんも私の実家に同居、というのは、職場が非常に遠くなるし無理。

 

とすると、やはり父は施設に入って時々自宅に外出外泊する暮らしがベストだ、というのは明白です。

 

それに施設が嫌だと言っても、お金のかかる施設に入れることだけでも恵まれている、という気が私はします (虐待やネグレクトのある施設は論外として)。

私が両親の年くらいになって体がいうことをきかなくなった時に、施設に入れるほどお金がある気がしません。

単身赴任20年、父が懸命に働いてくれたおかげで私は大学まで出られましたし、父が築いた資産は、父と母で老後の生活に使ってもらって当たり前。(それどころか、足りるかな、という心配の方がある。 あれもこれも、と希望を全部かなえていたら足りません。)

 

私やコウジさんが70代になる20年後くらいには、日本は高齢者ばかりになり、施設生活が安価に送れる制度ができていたらいいのですが。

最後は自宅がいい、という考えもありますが、どうでしょうね。 病院や施設にいて、人の目に見守られている方が最後まで安心な気がしますけど。

 

とにかく、年取った両親を見るにつけ、老後にお金がかかることを痛感しています。

 

そして最初は施設暮らしを嫌っていた父も、施設でこそ安心して暮らせることはわかったようです。

 

ただ、老健は介護看護がしっかりしていて本当に有り難いのですが、難病の薬の費用の問題のほか、父には以下の不満があります。

 

1・ 好きな食べ物 (お酒・お刺身やお寿司・菓子パンなど) が食べられないこと。

「これから何年生きられるかわからないのに、好きなものも食べられない生活で、何が楽しみで生きているのか、という気持ちになる。」 のだそう。

 

ということは、命の危険があっても、好きなものを食べたいということですね。

その気持ちもわかります。 私も父の立場になったらそうかもなあ (私はお酒も飲まないし、お刺身も好きじゃないけど、パンは好き)。

 

2・ 入所している人と知的な会話ができない。

認知症みたいなおばあさんばかり。 おばあさん達は一日中座って人のことを見ている。 「神様助けて下さ〜い。」 と毎日叫んでいる人もいる。 夜中2時になると、必ず机をバンバン叩く人がいる。

父が唯一知的な会話ができていた90歳の男性は、その騒音を出す女性の隣室だったので、「眠れなくてたまらん。」、と退所してしまったそう。

 

3・ 10人1ユニットで生活しているので (個室だが)、1人、口を開かない人がいて、その人の食事に職員はかかりきりになるので、自分は介助してもらえない。 自分が食べ終わっても、その人が食べ終わるまで20分待ってなくてはならないのが苦痛。 部屋に戻りたいのだが。 とのこと。

 

ところが父に、「それらの不満を私が老健に伝えるから、改善してもらいましょうよ。」、と言っても、「いやいや、良く世話してくれているし、職員の皆さんが忙しいのは見ていてわかるから、そんなこと言ったら悪いから言わないでくれ。」 と頼まれてしまいました。 だから黙っています。

 

世話する人も世話される人もたしかに両方大変ですし、世話してもらう方には、遠慮が出ます。

 

たとえ諸々の理由で今後老健から有料老人ホームなどに移ったとしても、同じように父を悩ます問題はついてくるでしょう。

 

ただ、薬代や自宅からの距離、好きなものを食べられるか否か (命に関わっても) はプライオリティ (優先順位) が高く、今後の道を今私は考えているところなのです。

 

そして今週からまた、連休が始まりますね。 父の外出の計画を、早くたてなくては・・・

 

そうそう、言い忘れました。

木曜日の受診は、予約なしだったので受け付けから3時間半待ちました。 (ちぇぶさんのアドバイス通り、父には老健から介護タクシーで来てもらいましたが、それでもせっかちな父は予定より早く出て、しかも高速を使って来たので、父も1時間半待ち。 もうここの病院は待ち時間が長すぎてダメ、今回で辞めました。 そのため、他病院への紹介状も今回頼みました。)

薬をもらえると思ったけれど、医師が書いてくれた処方箋では病院前の薬局で、薬が出ませんでした (いつものフォーマットではない処方箋で、多分それは老健が医師に渡すように父に持たせてくれた書類についていた処方箋。 小さな紙に、医師は手書きで 「ニュープロパッチ」 云々と書いて下さったので、頂いた時、(変だなあ。) と思ったのですが、案の定薬局で却下されました。)

 

わけがわからないまま、病院の会計に相談したり老健に電話したりして、薬が薬局で出ずに困っている話をすると、「老健で出せるから処方箋持ってきて下さい。」、とのこと (ケアマネさんも、事務のほかの方もそう言いました)。

 

ところが老健に父と戻ってケアマネさんに処方箋を渡し、「はいはい。」 と老健の医師に処方箋を持って行ったケアマネさんは、 「この薬は、老健では出せないよ。 家族持ち込み=家族が用意するものでしょ。」 と医師に言われたそうなのです。

 

(ケアマネさんの話が違うじゃん。)、と不満ながらも仕方なく、翌日また病院に電話して、「老健では薬を出せないと言われたので、薬を出して下さい。 父が動けなくて困っています。」 と泣きつきました。 (父からは電話で、「いつニュープロパッチはもらえるんだい?」 と催促の電話が私に何度もかかってきていました。)

 

多少すったもんだがありましたが、結局病院が薬を出してくれることになり、一日でも早く父に薬を届けるために受話器を置くと、慌てて家を飛び出して病院へ。 もうその時は午後3時近く。 1時間半かかって病院着。

 

そこで担当でない医師の、冷ややかな、尋問に似た質疑応答で大変嫌な思いをしたあと、全額自己負担で薬をもらえたのでした (医師もお忙しいので仕方ないですが)。

 

私には、もうそのあと老健に薬を持って行く力と時間は残念ながら残されていなくて、宅急便で薬局から老健に送りました。

 

もう夕方だったので1日おいた今日、「今朝届いた。も う使っている。 有難う。」、と父の嬉しそうな電話をもらって、やれやれ、とほっとしているところです。

 

老健のケアマネさんが、もう少ししっかりしてくれていたら (つまり、老健ではニュープロパッチを出せない、処方箋も書けない、病院で全額負担でもらってくるしかない、と教えてくれていたら)、こんなに疲れなかったのに、と愚痴も出ますけど、私はこうしてどんどん詳しくなっていけるので、ま、いっか(笑)。

 

疲れるけど・・・(涙)

 

でも、ケアマネさんも事務の人も、よくわかっていないのかなあ、と思った出来事でした。 患者家族の方が詳しい時もある、ということも、高次脳機能障害の場合と重なる状況です。