昨日は夫 (コウジさん) の会社訪問をしました。

くも膜下出血で倒れて高次脳機能障害者になってから、2年4ヶ月で今の会社に就職できて、もうはや勤続8年半になります。

 

今は、就職する時にお世話になったナカポツさん (障害者就業・生活支援センター) が会社と夫との間に立って、問題解決や相談に乗って下さっていて、大変お世話になっています。

 

そのナカポツさんと一緒に、コウジさんの上司お2人と面談してきました。

 

コウジさんが入社したばかりの頃は、私も心配だったり、会社の方々もこの障害に戸惑われたりで、結構頻繁に会社訪問をして会社の方々と話し合っていました。

 

おかげで私の知っている社員の方々もいっぱいるのに、上司の方々やナカポツさんとの話に夢中になりバタバタと帰ってきてしまったので、うっかりご挨拶しに行き忘れた方々が何人もいて、後悔しました。

 

私が帰ったあと 、「え、奥さん来てたの? 会いたかったのに。」 と残念がって下さった方もいたそうで、(また行かなきゃ!) と喜ぶ私でした (笑)。

 

それはともかく、まず最初に結論を申しますと、夫は想像以上に職場に馴染んでいました。

何よりも、上司を始めとする周りの方々が、夫の障害を理解して下さっていましたし、夫の良い所をちゃんと認めて下さっていました。

 

夫の良い所は、真面目で会社を休まず、何を頼まれても絶対嫌な顔をしないこと (実際夫は、どんな仕事でも嫌だと思わないそうです)。

優しくてサービス精神旺盛なので、特に女子社員に人気があるそうです (お昼ご飯は女子社員たちと仲良く一緒に行ってるそう)。

 

この美点は、元々彼に備わっていたものです。

私も夫を誉められて嬉しくて、思わず図に乗り、「そうなんです、夫を煎じ詰めると、善人の “善” が残ります!」 「だから結婚したんです!」 なんてのろけてしまいました (笑)。

 

良かったなあ、障害を負っても尚、夫にこの美点が残っていて。

否、障害を負って逆に、ピュアな部分が益々増長されたような感じです。

 

この人柄の良さが、夫の就労継続に役立っていることは間違いありません。

(騙され易く、損することも多い性格ですが、騙されていること、損していることにも気づかない、ハッピーな人かも知れません。 私より人間は上です。)

 

私が高次脳機能障害になっても、彼ほどピュアじゃないから (もっと疑い深い。 裏を見ようとする。)、偏屈なコウジ子さんになるかも。

 

とにかく高次脳機能障害者の就労を考える上で、この従順さは、実は武器になると思います。 彼は意識していないけど。

 

夫は会社では障害者雇用第1号なのですが、今や夫のいる本社だけでも18人の障害をお持ちの方々がいて、いわば夫は古株。

だから上司は新しい障害者の方々に目を向けがちで、夫のことが手薄になるほどなんだそうです。

 

若くてかわいい障害者雇用の女性社員たちに囲まれ、ニコニコしているコウジさんは、家にいる時よりなんだか幸せそう。 良かったね。

 

さて、問題点ですが、上司のお話をまとめると、記憶障害、いい加減さ、注意欠陥、面倒くさがり、などによるものでした。

 

・ 例えば、シュレッダーに分厚い書類をかけてしまう。

何度言われても 沢山紙を入れて、「ガガガガ・・・」 とすごい音がして壊してしまいそうなんだそう。

だから夫は、「シュレッダーをかけてはいけない。」 と言われているそうですが、上司がいない時は、「いないから、かけちゃえ。」 とかけてしまうので、慌てた周りの方々に止められるそう。

 

・ また、ネクタイが嫌いで、してなかった時があったので注意すると、「だって、おできが・・・」 と言い訳するそう。

「おできがあるなら絆創膏でも貼って、ネクタイ締めなさい。」 と言われても、のらりくらりとして1日締めなかったそう。

 

・ パソコンを立ち上げるのに複雑なパスワードが必要ですが、全然覚えられないので、仕方なく夫にだけ秘密の場所にパスワードを書いて貼って下さったそう。

でも立ち上げるのを手伝ってくれる社員がいると、自分でやらなくなり、 「〇〇ちゃーん、やって〜。」 とやってもらっているそう。

 

・ お昼ご飯を食べに行くのをとても楽しみにしていて、仕事が12時15分前に終わると、食べに行ってしまうそう。

 

・ 午前中いつもと違う作業をしてもらったら、お昼ご飯のあとその作業を忘れ、自分の机でほかの仕事をしていたそう。

 

・ 他部署からの依頼仕事は、上司を通して来る決まりなのに、直接引き受けてきてしまい、仕事量が多すぎてパニックになるそう。

 

そういったこと全てが、「悪気はない、ということはわかるのです。」 とのこと。

 

昨日聞いた諸問題は、コウジさんにインプットされるまで、私からも注意し続けよう、と思いました。

 

また、コウジさんの机にだけ、色々な注意書きが挟んでありました。

 

例えば、1日のスケジュールを結構細かく (1時間ごとに) 書いた紙。

 

「出社したら鍵で引き出しを開ける。」 「パスワードを入力してパソコンを立ち上げ、出社時刻を打刻する。」 「3回失敗したら、〇〇さんか△△さんに指示を仰ぐ。」 など書かれた紙。

 

「仕事は丁寧にゆっくりする。」 「困った時は〇〇さんに聞く。 〇〇さんがいない時は、人事部の誰かに聞く。」 「シュレッダーはかけない。」

 

別の紙にまた、「シュレッダーはかけない。」 (よほど夫のシュレッダーには困っている様子です。)

 

「キーボードはここに置く」 など という、基本的な注意書きも。

 

夫は、「こんなに沢山注意書きが挟まった机、ほかにないよ。」 と文句を私に言い、「頭に来るから見てない。」 とも言ってました。

 

ああ、長くなりますので、ここで今日はやめます。