このブログに寄せられるコメントを読んでいますと、ついおかしくて笑ってしまうのは私だけでしょうか?皆さん笑いますよね。自分の家のことだと、困ったり腹が立ったり悲しくなったりするのに、ほかの家の話だとプッと吹き出してしまうというのは、客観的に見るとやっぱりおかしなことだからでしょうね。 それなら、自分の家のことも、よその家のことのように考えて、笑い飛ばしたもの勝ちだと思います。

昨日思わず笑ったのは、とかちっこさんの文章で、高次脳機能障害のご主人について、「バイキングではスクランブルエッグとウインナとポテトサラダしかとってこないし(刺身もあるよ)」という部分。
すっかりお子様好みになっているご主人にがっかりしながらも、「刺身もあるよ」って、優しいですし、なんかのほほんとした書き方にほっこり癒されながら、やっぱり笑ってしまいました。

たとえばうちのこんな話も、私はカリカリしましたが、ほかの皆さんには笑えるのでしょうか?

①先週末のこと、スーパーで焼き鳥を5本買ってきたんです。私が考えていた内訳は、コウジさん、ワッチ、私、ウメ、残りの1本はやっぱりまたコウジさんかな、というつもりでした。
コウジさんは夕方4時に歯医者があったので、その時間帯は私がウメの散歩をしました。週末の散歩はコウジさんのはずなんですが、歯医者で疲れたあとに散歩してもらうのは可哀想だと思ったからです。
その日もすごく暑かったので汗だくになった私は、夕食前にお風呂に入ることにしました。コウジさんも既に歯医者さんから戻って、テレビを見ながらくつろいでいました。

で、お風呂から出てくると、焼き鳥の最後の1本を食べているコウジさんがいました。その足元には、おこぼれをもらうウメも。

「ちょっと!焼き鳥はみんなで1本ずつ食べようと思っていたんだけど。あなただけ2本で。」と怒ると、コウジさんはびっくりした顔で、「え、そうなの?」と。「あなたは5本あると、全部自分のものだと思うの?」と聞くと、「そう思った。」と。「なんで?普通、ほかのみんなはどうするのかな、って思わない?」「思わなかった。」

おかしいね~、コウジさんてこんな人だったっけ。障害を負っても、こういう時は思いやりがあった気がするけど。「あなた、障害が悪くなってない?」と聞くと、「悪くなってると思う!」と開き直るコウジさん。
そばにいたワッチに、「パパが焼き鳥全部食べちゃって、ワッチの分もないよ。」と言うと、「あ~あ、ま、いいよ。」とこっちの方が思いやりのある人間になっていました。昔は父娘喧嘩をよくしていたけれど、やっぱりこうなったか。
とにかく今度から、皆で分け合って食べるものについては、コウジさんから隠しておくことに決めました。

②コウジさんは歩いたり走ったりできますが、時々バランス悪くよろけます。その時も家の中でよろけたので、「大丈夫?外で転んだりしないよう気を付けてね。」と言うと、「あ、今日転んだんだ。」と言うので驚きました。
聞くところによりますと、満員電車から降りるとき、ドアの外の一番前に子どもが乗ろうと並んでいたそうです。子どもは身体が小さいので、コウジさんはその子をよけようとして変にバランスを崩し、なんと膝をついて転んだそうです。
そばにいた人が「大丈夫ですか?」と立たせてくれたそうで、コウジさんは「優しかったあ。」と喜んでいますが、その話を聞いて驚いた私がコウジさんの膝を見ると、少し腫れていました。しかも背広のズボンを見ると、破けていました。あ~あ、去年買ったズボンなのに。
でも大事に至らず良かったです。頭でも打ったり、骨折でもしたらそれこそ大変。でもそもそもなんでそんなホームで転ぶの?話をそばで聞いていたワッチも、「そんな、ホームで転んでいる人なんて、見たことないよ。恥ずかしい。」と嫌な顔をします。急いで降りようとするからかもしれません。今回だけでなく、今まで何回か転んでいるそうです。知らなかったよ。気を付けてほしいです。

③会社のお昼休み、コウジさんはお昼ご飯を急いで食べると、近くにある家電量販店へ行くのが日課となっていました。そこの6階にマッサージチェアが10台以上置いてあって、そこで彼は10分くらいいつもマッサージしてから午後の勤務に戻っていたそうです。
その話を初めて聞いた時は、「恥ずかしいからやめて。」とお願いしたのですが、どうしても言うことを聞いてくれず、毎日行っていました。座っている人がいっぱいでコウジさんが座れない時もあり、そんな時はすごくがっかりしていました。

そんなある日、前後2列あったマッサージチェアが、後ろの1列だけしか電源が入っていなくなったそうです。ただでマッサージする人ばかりで、一向に売れないし、本当に買いたい人も、チェアがいっぱいでは試すことができず、面倒でその売り場を離れてしまうからでしょうね。
かくして競争率が高くなり、その動いている後列に座れない時もあると、機嫌悪く帰宅しました。

ところがさらに、2週間ほど前から、全てのマッサージチェアに電源が入っていなくなったそうです。コウジさんは、1台1台リモコンを手に取って回り、全て動かないのがわかると、悔しがってそこを離れたとか。きっとお店の人たちは、「あ、来た来た、いつものおじさん。」「いやだね~、動いているのを探しているよ。」「買う気なくてただマッサージするだけに毎日来るなんて、虫がいいよね。」「でももうこれで来なくなるね。」と、物陰からひそひそ言いながら見ていたことでしょう。ああ恥ずかしい。そして売り場の邪魔をしてゴメンナサイ。
もちろんコウジさんだけでなく、ほかにも同じようなサラリーマンやおじさんおばさんもいたそうですが、毎日行っていたのって、コウジさんだけかもしれないし。

私が何度「恥ずかしくないの?」と聞いても、「全然恥ずかしくない。」と答えてたコウジさん。勿論、買いたくてパンフレットをもらってきたり、私に「買おうよ~」と言ってきましたが、この狭い家のどこにそんなものを置く場所があるの?と却下してきました。 手軽に腰や背にあてるだけの小さなマッサージ器ならあるし、マッサージチェアは私の実家にあるから、実家に行った時に使えばいいでしょ、と。

その日以来コウジさんは、家電量販店に足を踏み入れることをしなくなりました。時々小さな買い物は頼んでいたのだけど。「もう絶対行かない!行くもんか!」と、敵視しています。自分が悪いのに。

そしてお昼ご飯を食べて余った時間は、彼は今度は本屋に行くようになりました。いいじゃない、そっちの方がずっと!そして、本を買ってきました。『0(ゼロ)から学ぶ「日本史」講義 古代編』(出口治明著 文藝春秋)ですって。なかなか良さそうな本を買ってきましたよ。本なんてあまり読まなくなった彼ですが、この恥ずかしくも痛い経験を反動にして? これからは本を読むようになってほしいものです。