しかし、それにしても、です。 よくこんなに色々なことを覚えているものですね。

例えば人との会話は、自分の言ったこと、相手の言ったことを、まるでテープレコーダー(って言い方は、もう古い?)に取っといて、あたかもそれを再生しているかのようです。
3回目の『18歳のビッグバン』を読みながら、感心しきりの私。(なんと、また読んでいるんですね。なんか、気になる本なのです。)

普通の人だって、こんなに小さな時のことや、大きくなってもその時の状況や会話を覚えていられないと思うのだけど、ましてや脳梗塞を負って高次脳機能障害者となったのに、そこ(記憶)はまったく傷つかなかったのは、すごいことだな、ラッキーだったな、と。

しかも、文章が上手で面白いです。講演を聞きましたが、話も面白いです。これは持ってうまれた才能なんだと思う。障害を負って新たに生まれた才能ではなく、元々頭のいい方だということがわかります。この才能が残ってて本当に良かった、これからいくらでもご活躍できると思います。

人は、会う前と会った後とでは、印象やその人に対する感情が変わるのだと思いました。

1度目にこの本を読んだ時は、(この著者=小林さんは、本当に高次脳機能障害なのだろうか。私がこの8年抱いてきた一般的な高次脳機能障害者のイメージからは、かけ離れているのだけれど・・・。少なくとも、多くの当事者や家族が苦労する記憶障害や感情失禁、意欲低下、遂行機能障害などはないなあ。) と戸惑い、なかなか内容を受け入れられずにいました。

講演会前日に2度目に読んだ時は、(高次脳機能障害者といっても、本当に色々なんだな。)、と少し著者に歩み寄っていました。

そして小林さんと実際お会いし、小林さんという人がどんな人か大体分かった気になって読んだ3度目は、よりこの本の内容が、小林さんが書きたかったことが、理解できるようでした。

小林さんは、高次脳機能障害の症状そのものに苦しんでいるのではない。
小林さんは、自分よりもっと重度だと世間から認知される障害者が沢山いる中で、ふわふわした不安、じりじりした焦燥感、周囲から承認されないのではという危機感、失望感などに苦しんでいます。

それは、「健常者ではないが、重い障害者とまで認められない。なまじ外見が健康なだけ、面倒くさい。」「健常者でも、障害者でもない僕・・・。どちらにもカテゴライズできない自分が、どこか半端で社会的なアイデンティティのない存在のように思えていた。」「(いったい、自分は何者なんだろう?)」(P173~P174) という言葉で表現されています。

けれど、小林さんには「幸い、僕には行動力と知力があった。」「そう、僕の最大の欠点で最大の武器、それは他でもないこの「頭脳だ。」(P115)という自信があったので、次々行動に移されるわけです。

実は、私は小林さんがマイクロソフトのCMに出られたことも、動画広告やポスターに出られたことも、全然知りませんでした。DO-IT JAPANというものも知りませんでしたし、iTunes Store というところから、オリジナル曲を配信されたことも、テレビに出られたことも知りませんでした。 どれだけ情報難民の私(自分の努力不足のせいですが)。

今回茨城講演でご一緒しなければ、まだぼ~っとして新しい情報への関心薄く、ご著書を読んでなかったかもしれません。 (威張れたことではなく、恥ずかしいことですけど、ほかにも高次脳機能障害関係で、読めていない本が山ほどあります。汗。)
ですので、茨城講演を主催して下さった茨城県リハビリ講習会実行委員会と、助成下さった日本損害保険協会に感謝致します。

・・・まずい、もうあと15分で今日が終わりますので、話の途中ですが、ここで別の話題を。

8月29日にスタートした、当事者会「東大阪え~わの会」のクラウド・ファンディングへの支援が、ここ数日滞っているようでちょっと先行きが心配です。 まだ終了まで25日ありますけれど、一応またお知らせしますので、どうぞご協力願います。

「高次脳機能障がいの当事者が、社会参加できる環境をつくりたい」
https://readyfor.jp/projects/e-wa/announcements/84860

また、先日お知らせしたように、今週末の8日土曜日は、墨田区の東京都慰霊堂で「第6回首都防災ウイーク」というイベントがあります。

私とコウジさんは1時半から高次脳機能障害者の方やご家族と一緒に歌を、3時からは木谷正道さんや王銘琬九段、その他専門家の方々と「フォーラム 囲碁と防災・福祉・まちづくり」に出ます。そこでは、脳神経内科医で東京都健康長寿医療センター研究員の飯塚あい先生も、「認知症への囲碁の効果」という講演をされます。

是非お越し下さい。
http://shutobo.jp