仙台講演の話の途中ですが、20日に椿山荘で行われた「第74期本因坊就位式」に関連するコウジさん話題を。(式については後日記します。)

本因坊になったのは、井山裕太さん。8年連続という快挙です。おめでとうございます!相当の精神力と体力と知力のなせる業、凄すぎます。
その会場で井山さんにお会いしたり、話したりしたコウジさん。井山さんと私とコウジさんの3ショット写真を家で見ては、「これは家宝だな。」と何度も悦に入っていました。

そんなコウジさんでしたが、そのうち案の定、井山さんの名前を忘れます。「あれ?この間誰に会ったんだっけ?」と言い出します。思い出そうとするものの思い出せず、そのままソファで転寝すること1時間。
目を覚ますと、「あれ?誰に会ったんだっけ?この前。」と、やはり気になる様子。そして自分で思い出すのはどうしても別の2人の名前。「一力遼」さんと「村上深」さん。しかも時々「一力遼太」と、「た」がつきます。しょうがないねえ。

そして、いきなり「あ!」と叫ぶコウジさん。目を見開き、私の顔を見ながら、「井山!」と言います。
「おお、よく思い出したね。下の名前は?」と聞く私。
「下の名前を思い出せないんだよね。う~ん・・・」と言った次の瞬間、「あれ?上の名前もまた忘れちゃった。」とがっかりした表情。また最初に逆戻りですか・・・。

「困ったねえ。ポンコツだねえ。明日、会社に写真持って行くんでしょ、でも見せる相手の人に、「この真ん中にいる人、誰でしたっけ?」と聞くの?」と、その光景を想像して思わず吹き出す私。

「おかしいよね、それじゃ。」とコウジさんも笑いながら、「一力遼の名前を思い出す時に、ある感覚があったんだ。こうしてす~っと頭に浮かんできた感じ。これと同じ方法でやれば、また(井山さんの)名前が浮かぶかも、と思ったら浮かんだんだよ。ウキウキ感があったんだよ。楽しかったんだよ。」「でも今はそのウキウキ感が消えちゃった。だから思い出せそうもない。」

ふ~ん、興味深い話ですねえ。コウジさんの頭の中は、どうなっているんだろう。

井山さんとの写真に向かって、「誰だ、おめえは。言ってみろ。」と話しかけているコウジさん(笑)。

ところが、私がためしに、「この人はなにした人なの?」と聞くと、「七冠取った人。」「こ、国民栄誉賞!」と答えるじゃありませんか。すごいな。よく知ってるじゃん!
「でも今は1つずつ失ってるよね。」と言うと、「え、七冠じゃないの?」と驚き、「だめじゃん、お前、頑張らないと。」と写真に向かって言う。全く失礼だな~。頑張らなきゃいけないのは、あなただ(笑)。井山さんは、国内外の対局で、忙し過ぎて疲れ気味なんですよ!

と、突然また目を大きく見開いたかとおもうと、「い、井山!」と叫ぶコウジさん。お、また思い出せたのね。でも下の名前はやはり浮かんでこないので、「井山裕太」と教えてあげました。「ん~。名前は知らなかったみたい。」とあまり納得していない表情。パソコンで井山さんの写真と名前を見せると、「うん、知らなかったような気がする。」と。「じゃ、もう覚えてね。」とパソコンンを閉じると、1分も経たないうちに、「あれ、また忘れちゃった。」「一力遼太!」・・・

「「た」は要らないよ。それに一力遼さんじゃないよ。」・・・こんなやりとりがエンドレスで続くので、「もういいよ、寝なさいよ。明日会社でしょ。」と寝かせることに。 

すると、寝室へ向かうコウジさんから、また素っ頓狂な声が聞こえてきました。「井山!」

「はいはい、その通り。井山裕太さんね。」と答えると、「井山裕太かあ。」とつぶやく声も聞こえましたけれど、きっと明日の朝には、また忘れていますね。

・・・ついでに書きますと、就位式の翌朝も、コウジさんはこんなことを言ってました。
「木谷さんのゆうべのあの集まり、あれは何だったんだろう。記憶ないなあ。」とか、「木谷さん、歌わなかったよな。そういう趣旨のものじゃなかった。何だったんだろうな、昨日のあれ。歌じゃないし。何も覚えてないな。」・・・さんざん悩んだあと、「「あ!思い出した!井山裕太の就位式だ!」と無事思い出していたんですが。その時は下の名前も憶えていたのにね。

さらについでに書きますと、就位式へ向かう電車の中でもコウジさんは、「今日、何しに行くの?全然わかってないんだけど。」と言ってました。勿論、何度も説明してきたんですけどね。

また、次のセリフはその時コウジさんが初めて口にしたものなんですが、これも興味深いですよ。

「何か悩んでいたことがあったんだけど、それを忘れるんだ。そういう時は気持ち悪いんだ。思い出せなくて、ちきしょー、って思うんだ。」「でも、あれ、なんだっけ、何を悩んでいたんだっけ、と考えるうちに、ああ、もういいや、ってなって。」「そして、忘れちゃうんだから大したことないんだ、って思うようになって、そうするとすっきりするんだよ。」「良かった、忘れちゃった、って思うんだよ。」「そういうことが時々あることを、(私に)言おう言おうと思っていたんだけど、良かった、今日言えて。」

ふ~ん。思い出せないと普通、気持ち悪いものですが、コウジさんの場合は、「忘れちゃうくらいだから、大したことないんだ。だから忘れちゃってよかった。」という風に決着をつけてすっきりするんですね。いつの間にそういうやり方を身につけたのかしら。

でも、わからなくもないけれど、それでいいのでしょうか。 う~ん・・・
誰かに迷惑をかけないのなら、それでいい気もするんですが・・・。迷惑かけることもあるだろうし、やっぱりここですよね。家族のサポートが必要となる場面とは。

でもでも、コウジさん論法で生きて行けたら、そして迷惑かかった人も、「しょうがないね。」と納得してくれるなら、幸せだろうなあ、楽だろうなあ、という気もします。

ではまた。
(井山さんには大変失礼な今日のブログでした。心よりお詫び致します。)