今日はヘトヘトです。
犬(ウメ)の話にあまり関心のない方は、長い話なのでスル―してください。

朝の気忙しい家事が終わり、昨日餌をあげたプラナリアの水槽が、餌の赤虫で汚れているのを、ぽかぽか日が当たる窓越しに至福を感じながら掃除し始めた時のこと。
ウメの散歩に出ていたコウジさんが慌てて帰ってきて、「ウメの首輪が抜けた! 逃げちゃった!」と叫びました。

その一言で一瞬に至福から奈落の底へ落ちる心境になった私は、手にしていたスポイトを放り出すと、予備の首輪とリードを手に家の外に飛び出しました。化粧もしていないし、髪もボサボサでとかしてないし、着の身着のままだし、マスクもしていませんでした。一刻も早くウメを捕まえないと、この辺は車も通るので、ウメの命が危ないからです。

ところが、「どっちに行ったの?」と聞きたい相手だったコウジさんの姿はどこにもなく、どこへ行ったらよいやら、360度ぐるりとあたりを見回し、適当な方向に自転車を走らせました。

(もう、一体何度ウメを脱走させたら気が済むの?)(ウメが逃げたと私に報告に帰ってくるよりも、ウメを捕まえに走った方がウメは太って年取って歩くのも走るのも遅いのだから、捕まえられたでしょうに!)とコウジさんに腹が立ったり、(コウジさんを信用してしまっていた私が悪いんだ!)と自分を責めたり、(今日がウメの命日になってしまうかも・・・涙)と、車にぶつかり血を流して横たわるウメの姿を想像したりすると、発狂しそうでした。もしそんなことになったら、こんなに可愛がって大切にしてきた愛すべきウメが、最後にすごく痛い思いをして死んでしまうことになり、なんて可哀想なことでしょう。それに相手の車にも迷惑かけてしまいますし。(あとでワッチから、犬を轢いたら車にも損害を与えるだろうから、賠償しないといけなくなる、と指摘されました。)

(もう嫌だ、これでウメが死んだら離婚だ!)、なんて思いながら30分ほど血眼で息を切らせながら探し、歩いている人計20人くらいに「茶色い柴犬見ませんでしたか?逃げちゃったんです!」と声をかけてまわり(「見た」という人は1人もいませんでした)、動物病院にも報告し(そこがウメは大好きなので、もしかしたら来るかもしれず)、仲良し犬の飼い主にも連絡し(彼女も自転車を出して必死に探してくれました)、寝ていたワッチも飛び起きて自転車で広範囲に探し回り、時々すれ違うコウジさんだけなんだかのんびり歩きながら探しているのが癪にさわりました。
そして、これだけ探してもいないし、事故にも遭っていないようなので、これは誰かがウメを捕まえてくれて警察に連絡してくれているのかもしれない、と思い出しました。

その頃にはウメが脱走してから、既に1時間くらい経っていました。もう息も切れ、汗だくです。
前にもウメが脱走した時、警官が捕まえてくれていたので、すぐこれは警察だと思って110番したのでしたが、それは緊急の場合とのことで、私も相当テンパっていたのでしょう。電話に出た人がこのあたりを管轄する警察署の番号を教えてくれたので、そこに電話し直しました。すると、私が電話口で一所懸命説明したウメの特徴を持った犬が、現在その警察署にパトカーで搬送されてくるところだとのこと。パッと光明が差した気もしましたが、もしかして違う犬かも知れないので、嬉しい気持ち半分、不安な気持ち半分でした。

けれど電話口の警官が、「いなくなった時間帯、地域、犬の特徴を考えると、搬送されてくる犬はほぼ間違いなくお宅の犬だと思います。」と言ってくれたので、心配してこっちを見ているワッチにVサインし、簡単な問答を終えた私は、すぐ身分証明書(運転免許証)と、ウメと私が一緒に写った写真を警察から言われるままに持って、ワッチと一緒に車に乗り込みました。そこへちょうどコウジさんが歩いて帰ってきたので、「多分ウメが見つかったから警察へ引き取りに行ってくる!でももしかしたら違う犬かも知れないから、あなたはベランダから、ウメが歩いてくるかもしれないから見ていて!」と告げ、喜んでいる彼を残して警察署へ急ぎました。 そしてそこで、まぎれもないウメと再会できたのでした。

どこにでもいる柴犬ですが、最近ウメに老化でできていた右目の下のイボが決め手になり、警官たちも「うん、間違いない!」と写真に写ったイボのあるウメと、ケージから出されて尻尾を振っているイボのあるウメを見比べて、喜んでくれました。 その後書類に色々記入し、優しく笑顔で見送ってくれた警察の方がたにお礼と、「もう絶対逃がしません。」と誓いを申し上げ、ワッチと帰ってきたのでした。うちのせいで、警察の方がた、友人、ウメを捕まえてくれた人に多大なるご迷惑をおかけし、本当に申し訳なかったです。

ということで、もうコウジさんはウメを逃がしてばかりなので、これからはコウジさんにはウメの散歩をさせないことにしました。コウジさんは、「いいよ、オレだって好きでしてたんじゃねえ!」なんて、どこか本音のような捨て台詞を吐きました。

友人にお礼のお菓子を持って行ったり、遅い昼食を食べたり、掃除の途中だったプラナリアの世話を再開したり、でもう夕方になっていました。ああ、1日終わっちゃった。

そして、夕方の散歩は私がウメを好きな方に歩かせてみたところ、ウメは私が滅多に行かない区域(我が家のそばですが)の道へ進み、とある家の前で止まりました。そして動こうとせずじっと門扉の中を見続けました。 そこは門扉が閉まっていましたが、庭には猫が座ってこっちを見ていて、家の中には大きなキャットタワーも見えました。

実は、ウメが見つかった経緯は、あるお宅の前をウロウロしているウメを見つけたそこの住人が、ウメを庭に入れて道に出ないよう門扉を閉め、近くの交番に通報してくれたそうです。そこから連絡を受けた警察署がパトカーでその家へ向かい、犬用ケージにウメを入れて警察署に連れてきたそうです。その住人が適切な対応を取って下さり、大変有り難いことです。おかげでウメは無傷で戻ってこられたのですから。その住人の住所は番地までしか教えてもらえませんでしたが(その方が教えるに及ばず、と言われたそうです)、ウメが私を連れて行ったお宅は、その番地にありました。 きっとここのお宅の方だったのだろう、と確信しました。ウメは、好きな猫をそのお宅の庭に見つけ、門扉から長い時間動かなかったのでしょう。そしてそんなウメに、住人が気づいてくれたのでしょう。あるいは猫がうなり声をあげて気づいたのかもしれません。

うちから歩いて5分もかからないお宅だったので、ほとんど歩いていないはずのウメでしたが、ストレスがあったのでしょう、今日は餌をほとんど食べず、ずっと寝ています。

コウジさんは、実は最近ほかにも色々しでかしてくれているので、私はしょっちゅう爆発していますが、結局はコウジさんは障害があるので仕方なく、非は私にあるのだという結論に落ち着いています。(そうすると、腹の虫もおさまるんです。)
今日のウメの脱走も、コウジさんにウメの散歩を任せてしまった私が悪いのです。

今日のところはこのへんで。
また「コウジさんは障害だから仕方ない、咎められるべきは私である」話を書きますね。

ではまた。

さくら警察署で

警察署で再会したウメ

さくら右目下のイボ

右目下にイボがあるウメ