杉本彩 本


犬猫の話です。
今日、一気にこの本を読みました。書かれてあることは私が思っていること、望んでいることそのものなので万歳したくなる一方で、知らないことも沢山あり、教科書を読むように鉛筆で線を引きながら、付箋を沢山つけながら読みました (写真。一緒に写っているのは、我が家の保護猫ハルちゃん。ベランダでのびていたので、すかさず本をそばに置いてパチリ)。

私事でも相模原の悲惨な事件などを考える中でも神経のすり減る毎日、私は飼い犬のウメと飼い猫のハルにどれだけ心癒され、助けられているかわかりません。 この2匹と暮らせてどんなに自分(たち家族)は幸せかを思うと、ウメやハルにもできるだけ幸せに暮らしてもらうだけでなく、犬や猫、すべての動物たち生き物たちにも同様に幸せになってほしい・・・ 毎日そう考えて生きています。

先日このブログへのコメントで、「柴本さんの生きる目的ってなんですか?」という大きな質問を頂いたので驚きながらも、返事をしました。そこでも書いたように、生きる目的はその時々状況によって変わりうるけれど、まずは自分と家族がしっかり生きること、そこを抑えてから社会のために役立つこと。けれど自分がいまだウロウロ、ふわふわしている現状で、次のステップへ行くのはなかなか難しい。 そんな中でもはっきりしているのは、人間に虐待されている動物や自然のために残りの人生を捧げたい、という気持ちが強い、ということです。このブログを長い間読んできて下さっている方々は、きっとそんな私の気持ちにとっくに気づかれていると思いますが(もちろん、高次脳機能障害と介護については活動続けますよ。それらは生活そのものですから)。

なぜなら人間は人間を、自分に関係するから助けますが、人間に虐待されている動物は、自分で自分を助けることができないじゃないですか。ましてや動物は、自分たちを虐げる人間に立ち向かう力もない、弱い存在なのです。だから虐げているのと同じ人間が、彼らを助けるしかないのです。人間は地球上に同じ命を授かった動物を虐待するのではなく、助け助けられる、共存の道を探らなくてはならないと思っています。勿論罪滅ぼしの気持ちもありますが、もともと動物大好きな私は、虐待されている動物、主に犬猫を救いたいといつもいつも思っています。

最近のブログでも触れた、宮崎県の「いのちのはうす保護家」。 そのHPもよく見ていて、今朝が3匹の命の期限だと一昨日知った私は、この2日間苦しくて、何度もその3匹の犬たちの写真を見たり、コウジさんに見てもらったりしていました。今朝は吐き気を抑えながら、ただ部屋の壁や床の汚れを夢中で拭き取っていました。別に今朝しなくてもいいことですが、犬たちのことを祈りながら、ただ拭いていました。・・・どうなったのか、怖くて悲しくてまだHPを見ていません・・・。 そして大事なのは、この3匹だけでなく、日本中には毎日こうして、せっかく生まれた尊い1つだけの命を、残酷で愚かな人間によって取り上げられている多くの可哀想な犬猫たちがいる、という現実を知ること。ドイツのように助けようと思えば助けられるのに、なんて遅れた未熟な日本。だけれど、私には何ができるのだろう・・・

そんな時、この本を知りました。出版されたのは3月だったそうですが、父が亡くなってこの半年くらい、心にも時間にもあまり余裕がなかったので知りませんでした。 杉本彩さんが「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva 」の理事長をされていることは、存じていました。芸能人なのに偉いな、と尊敬しています。芸能人としての活動は、スポンサーとなる企業や団体に支えられていると思いますが、たとえばスポンサーが動物実験を利用する化粧品会社だった場合、杉本さんの信条とは相容れないためぎくしゃくしたり、スポンサーを降りたりすることもあるでしょう。逆に杉本さんが断ることもあるでしょう。そういうリスクを冒してまで、ご自身の信念を貫かれる姿は、美しいし感動します。(ほかにも浅田美代子さんとか、滝川クリステルさんとか、動物愛護を主張される芸能人はいらっしゃいますよね。)でも、芸能人の最大のスポンサー、サポーターは企業ではなく、国民ですから。応援しています。それにしても、これだけの本を書かれるのに、杉本さんはどれだけ勉強されたり足を運ばれたりしたことか!頭が下がります。

「環境省の統計によると平成26年度、15万頭以上の犬猫が保健所など自治体の施設に引き取られ、そのうちの約7割に近い10万1000頭が殺処分されています。単純計算で1日に277頭もの犬猫が「望まぬ死」を選ばされている」 
「殺処分になってしまう犬猫をボランティアの動物愛護団体が救っている」 →そのおかげで殺処分数が減っている。
「求めていくのは「殺処分を減らす」ことではなく、「殺処分という行政業務そのものを認めない」ことであるべき」
「2014年度に国内のペットショップで販売されるなどして流通した犬猫は約75万頭に上り、そのうちの約3%にあたる2万3000頭以上が、流通過程で死亡している」 → その数は、殺処分数にカウントされていない。
「(ペットショップなどの)生体展示販売の規模はむしろ巨大化している」
「動物を迎えるとは、子どもを産んで育てるのとまったく同じこと」 「それなのになぜか動物に関しては、何の知識もなく、驚くほど無知の状態のままで迎えてしまう」 「安易で無責任な衝動買いという行動がネグレクト(飼育放棄)を引き起こし、結果として動物の命を奪うことになる」・・・

ペットショップを経営していた森猛さんは、ペットショップの裏側を知り失望、保護犬猫の里親を探す「まめちびくらぶ」を運営されているそうです。

ペットオークション(そういうものがあるのも知りませんでした) の現場を取材した作家の渡辺眞子さんは、「ペットショップから買わない」という行動が、動物たちを過酷な現状から救うことになる、と訴えられています。

岡山市にある「chou chou ~シュシュ~」というペットショップは、2015年1月に生体販売を止め、犬猫用品の販売と保護犬猫の譲渡活動をされています。

細川敦史弁護士は、2013年に改正された動物愛護法における問題点を述べられています。①取扱業者は登録制になったけれど、それが形式だけになっている。②動物愛護は国が法律などによって方向性を示すだけで、自治体がそれを守らなくても罰則はない。法律の実効性が発揮されていない。③動物愛護団体が、悪質繁殖業者へ動物のレスキューへ行っても、「所有権絶対の原則」がある限り手を出せない。④動物の商業利用に対して具体的な法令がない⑤ペット以外の動物(畜産動物、実験動物など)には、まともな法規制がない。⑥「心無い飼い主に対する安易な飼育放棄が問題である」など、この法律が人間社会のための法律になっていて、動物のための法律になっていない、と指摘されています。

そのほかこの本は、ペット税の導入の必要性(無責任な飼い主を減らし、その税収は動物のために使う)や、ペットを飼うなら保護施設からもらい、ペットショップでは買わないようにすることを訴えるとともに、「NST新潟総合テレビ」のようにメディアが率先して動物愛護に乗り出している例も紹介しています。

驚いたのは、環境省の中にある「中央環境審議会」の「動物愛護部会」こそが、日本の動物愛護法改正や動物の福祉に関する規制を新設しているにもかかわらず、その会を構成するメンバーの中は、「一兆円産業」ともいわれるペット業界側に立つ委員によって構成されているとか。 これでは「動物愛護」ではなく「業者愛護」に傾いていて、ペット業界にマイナスになるものは採択されづらいのでは、とのこと。そんなバカな話、ありません。皆さんご存知でしたか?

また、動物愛護法改正に関しても、超党派の議員連盟ができているけれど、その中には完全に業者側に立ってその既得権益を守るために入っている議員もいるそうです。つまり彼らは規制が厳しくなるような法改正がなされて、自分たちのうまみが減らないか、利権がなくならないかを心配し、それを守るために必死に抵抗するわけだと。 そんな動物の敵のような議員には、是非改心してもらって、真の動物愛護のために働いてほしい。

「Eva」が動物の保護活動ではなく「啓発普及活動」を活動のメインとし、杉本さん自身が全国で講演をされたり、保護活動をしている団体のサポートや動物愛護関連の政策提言、国や自治体への適性な動物管理の働きかけをする中で、特に「いのち輝く こどもMIRAIプロジェクト」をスタートさせたことは大きいと思います。
 
具体的には全国から応募された小中学校を訪問して、動画やスライドを上映しながら、「いのちの講座」を開催したり、ワークショップを行って、子どもたちと一緒に命について考えようというものだそうです。子供たちへの積極的なアプローチは将来も、大人たちも動かすことに繋がると。ちょうど今、参加小中学校を募集されていますので、関心のある方や学校は、「Eva」のHPをご覧ください。ちなみに開催時期は2017年1~3月、応募締切は11月30日。そして驚いたのは、講演料も交通費も無料だそうです。杉本さんの志の高さと強さを感じます。

私も今日、この本を読んで 『しあわせなおかいもの?』 という動画を初めて知り、見ました。 「Eva」が製作したもので、命ある動物がモノとして扱われ、流通、販売、そして処分されていく実態を描いたたった3分の動画です。是非皆様もご覧ください。ペット業界からバッシングされるのを覚悟で、「知ってもらうことからすべてが始まる」という気持ちで作られたそうです。 わかりやすい内容ですし、アニメとしても質が高いと思いました。

ほかにも、日本の犬猫たちが置かれている状況や、国の動きなど丁寧に書かれた本ですので、ここではご紹介しきれません。是非皆さんも一度お読みになり、自分の国のことなのですから、知って頂きたいと思います。
「ペットショップから買わない」「もし今飼っている犬がペットショップで買った犬猫だとしても、次からは保護施設から譲り受ける。」 国民1人1人がそうすることによって、生体販売はなくなり、ペットショップはペット用品その他、真にペットのためのお店になるのではないでしょうか。

こう書いている私の周りを、ウメやハルが、ひっきりなしに動き回り、ごはんを食べたり水を飲んだり、私の顔をじっと見上げたり、すりすりしたり。犬や猫と一緒の生活は、なんて心安らぎ、幸せを感じられるものでしょう!

けれど、犬猫殺処分があるのは、私たち飼う人間が原因なのです。飼うからには、最後まで責任と愛情を持って、大切に飼いましょう。そうでなければ、飼ってはいけません。(京都市のように、高齢者にこそペットを、という考えにも賛成します。万一の場合は、行政の愛護センターが引き取り、新たな里親を探すことになっています。杉本さんの地元の京都市、すごいです!)