昨日のコウジ村の話も書きたいのですが、色々続いた毎日が、ようやく今日で一段落しましたので、年末に向けて、記憶に新しい今日の出来事から遡って記していきたい、と思います。

今日は父の主治医との面談が午前にあったため、朝ウメの散歩を済ませると、洗濯する時間はないので諦め、駅までせかせか歩き、電車に飛び乗りました(その間お財布を忘れ、一度家に戻る)。 
最近電車も何かと遅れることが多くて、乗り換えた電車もまた遅れ、イライラしながら約束の面談の時間10分前にぎりぎりセーフ、病院に着きました。

まずいつものように病室の父のところへまっすぐ行きますと、目を閉じている父の鼻には酸素チューブが入り、口元へ加湿の蒸気が当てられ、痰を入れる容器にも痰が沢山入っているので、(ああ、まだ痰が結構出ているのだな。) (私が病室に入った時、ベッドに身を起こしてテレビを見ていて、私を見て (ああ。) とほほ笑む父がいる、という日は来るのだろうか。) など考えました。

それでも手を触ると冷たいので、(熱はなくて良かった。) と安堵。 目を覚ました父に、「今から院長先生 (主治医) と話してくるからね。」 と言いますと、父は (そうか) という表情をして、またうつらうつらとしていました。

医師との話では、胃瘻手術後の経過は順調だけれど、まずはベッドアップ (ベッド上で体を起こす) から始め、車椅子にも乗れるようになるよう、ゆっくりゆっくりやりましょう、とのこと。
勿論年末年始に自宅へ外出、というのは許されませんでした。 車椅子にも座れないから移動は難しいし、病院が休みの時に何かあったら困るし、寒い時期に表に出て風邪ひくより、暖かくなってから外出できたらいいな、と私も思います。

病室に戻り、父に今の医師との話を伝えていると母もやってきました。
実家からすぐそばのこの病院にして、良かったです。 母も来やすく、将来実家への外出も気軽にできそう。

母とお昼ご飯を食べよう、と病院の1階にある食堂で、もう顔なじみになった店員さんに挨拶し、席に座りました。
大体いつも私はナポリタンセット、母はビーフカレーセットを頼みますが (各620円でサラダも飲み物も付くんです。)、母は自分が何を頼んだのかすぐ忘れます。

それはコウジさんもいつもそうですが、コウジさんの場合は、頼んだものが運ばれてくると、「ああ、そうだ、これを頼んだんだ!」 と思い出すのに対し、母は運ばれてきたものを見ても、「これ頼んだのかしら?」 と首をかしげるのが、コウジさんと違います。 
これは高次脳機能障害とアルツハイマーの違いなのでしょうか???
高次脳機能障害の場合は、経験はどこかの引き出しにしまわれるけれど、アルツハイマーの場合は、しまわれずにこぼれ落ちるのでしょうか?

食堂内の売店で、今日母は栗饅頭を買いました。 そしてそれが白いビニル袋に入れられると、食堂を出た時にまず「あら、これは何かしら?」と袋の中を覗いていました。

そして栗饅頭を見つけると、「栗饅頭を買ったのね。」 と言います。 その数分後、また 「これは何かしら?」 と言って袋を覗いていました。

そして、「すぐ忘れちゃうわね。 困ったわねえ。 アルツハイマーなの?」 と苦笑い。 (「断じて自分はアルツハイマーではない!」、と言い張りますが。)
父の病室に戻っても、帰る時も、何度も母は白い袋を覗いては確認していました。

私も嘆息つきながら、「あああ、こんなになっちゃうとはねえ。 変なおばあちゃんになっちゃったねえ。」 と思わず本音をもらしますと、母はくしゃっと笑っていました。

母は不安なのか、何とも思ってないのかわかりませんが、どちらかというと、あまり気にしていないように見えます。

明日は趣味の囲碁の集まりに行くようですし、売店での支払いもお札ではなく、小銭で払っていますし、まだまだすごく進行しているわけではないのかもしれません。

けれど、今、週に3回入ってくれているヘルパーさんに見守られている生活が、いつまで続けられるのか。
今後、母にもっと介護が必要になることは間違いないでしょうから、心の準備だけはいつもしています。

また1時間半かけて帰宅すると、すでに暗くなってきた中を、2度目のウメの散歩に出ました。
明日が冬至なので、これからはもう少し日が延びて、ウメの散歩も明るい中できるようになるかな。

それにしても帰宅すると、転がるように出迎えてくれるウメとハルの犬猫コンビを見ると、疲れも暗い気持ちも吹き飛び、笑顔になれ、元気が体の中に充満してくるのを感じます。

有り難い犬と猫たち。 
言葉を話せないけれど、喜んでいる気持ちは伝わってくるし、柔らかく温かな体を触ると、心が落ち着いてきます。

人間は言葉を使うから、面倒なこともある。
犬猫とだけ一緒に暮らせたら、心穏やかな気もする。
とにかく、有難う。ウメ。ハル。

結構疲れ気味の私ですが、今一番嬉しい、ワクワクするのは、コウジ村の仲間とのふれあいです。

夫コウジさんがプレゼントしてくれた、同じ経験を持つ仲間は、どんどん増えています。
この年になって、こんなにすぐ互いに打ち解ける友達が増えるなんて、思いもしませんでした。

コウジさんも、有難う。
コウジさんも、ずっと元気でね。

今夜はコウジさんの好きなカレーを作りました。
コウジさんは、大喜びで2杯食べていました。

(ワッチが話に出てきませんが、ワッチも元気でウメとハルを構ったり、カレーに喜んでいました。)