羽田河口から奥多摩まで流れる多摩川138キロの両岸で暮らしている猫たちに餌や治療を施したり、そんな猫たちの世話をされている心優しいホームレスさん達に物資を配られていたりするのは、小西修・美智子ご夫妻です。
それを雨の日も雪の日も台風の日も酷暑の夏も、1年365日、つまり毎日されているのです。 もうこれだけで、ちょっとやそっとの覚悟ではできないことだとお分かり頂けると思います。しかも、それを27年ですよ。

こういう方がこの日本にいらっしゃるなんて、皆さんご存知でしたか? 今年の4月27日の私のブログでもご紹介しましたが、私も小西ご夫妻の存在を知ってから、ご夫妻が作業の合間に書かれているブログを拝読しています。そこには、カメラマンである修さんが撮られた数々の猫たち(ホームレスさんたちも少し)が登場します。まだご存知ない皆さんも、是非ご覧下さいね。

私は小西ご夫妻と直接お会いしたことはありませんでしたが、先月20日から25日にかけて、世田谷の祖師ヶ谷大蔵のギャラリー「肉球画廊」さんで、修さんの写真展が開かれるという情報を、ブログで知りました。
これは行かなくちゃ、と思い、原稿書きや講演の終わった写真展最終日の25日に、行ってきました。

会場では来年のカレンダーである、『多摩猫2017オリジナルカレンダー』も販売されているそうなので、それも買わなくちゃ、と思っていました。売上は猫たちの救済基金になるそうです。今からでも購入できますので、興味のある方は、http://www.kabuto.tank.jp/cgi-bin/mart/mart.html をご覧下さい。 

ともかくその日その画廊で、初めて小西修さんとお会いすることができたのでした。
小西さんはギャラリーに来られる沢山の方々と、それぞれ話し込まれていましたが、初対面の私にも色々とお話して下さったので感激しました。やはり、猫やホームレスさんたちのお世話をされていらっしゃる方なので、お優しい。

会場には、多摩川河川敷で懸命に生きている猫たちの写真が沢山掲げられていましたが、小西さんの著書『多摩川猫物語』に収められているような、心無い人間による虐待を受けた傷だらけの猫たちの写真は、今回はありませんでした。小西さんは、そういう写真も今後また掲示する必要を感じている、とのことでした。

小西さんは、「これを見て。」と言って、モデルガン?(エアガン?)が何個か置かれているテーブルに私を導きました。モデルガン、と書きましたが、私はモデルガンとはどんなものなのか、どうやったら手に入るのか、何も知りません。ただ「モデルガン」という言葉は聞いたり読んだりするので、これらがモデルガンというものなのかな、と初めて見ました。手に取ってみると、割と重たく、見た感じはおもちゃのようですが、本物のピストルも見たり触ったりしたことがないので、違いはわかりません。 

とにかく、これらのモデルガン?は、河川敷で小西さんが持っていた人たちから取り上げ(取り上げるのも相当な危険を伴うそうです)、今回の展覧会で初めて現物を展示されたとのこと。そして小西さんのご自宅には、こういうモデルガン?がもっと沢山あるのだそう。 

一体、どういう人がこういうものを手に入れ、生きているものに狙いを定めて撃とうという気になるのでしょう。(今調べますと、モデルガンだったら、玉は出ないで火花と音だけのようですが、改造したエアガンで猫を射抜く人間もいるそうです。)ものすごく恐ろしいことですし、その気持ちが全く理解できません。(たとえ玉は出なくても)命あるものが痛がって苦しむのを見て楽しもう、というその心理が。そして、そういう人たちが私の家の近くの多摩川沿いにウロウロしている、ということを考えると、これはとても、とても怖いことです。決して、放っておいていい問題ではありません。

杉本彩さんが、「アニマルポリス」の必要性を3年以上も前から説かれていますが、たしかに必要だと思います。アニマルポリスとは、動物を虐待したり、きちんと飼育していない飼い主などを取り締まったり逮捕したり(逮捕権のある人が)するアメリカやイギリスにある職業で、難関を突破しないとなれないほどの人気なのだそう。日本にもアニマルポリスができて、いつも多摩川河川敷を監視、パトロールし、動物に危害を与えている人間を取り締まり、逮捕してほしい。できたら私もなりたいけれど、無力な猫を殺そうとする人はかなり危険な人なので、ちょっとやそっとの防備ではこちらが危ない。大人数でパトロール、中には屈強な男性(女性でも)がいた方がいいですね。

そして小西さんがご著書や会場で必ず口にされていることは、「こうやってホームレスさんに助けられ生き延びられる猫は、100匹のうち1匹くらいです。あとは捨てられたらそのまま、衰弱したり飢えたりで命を落とすのです。」「ホームレスさんに助けられた猫も、十分な食事がないため衰弱して病気になったり、虐待する人間たちによって殺されたりするのです。」(小西さんの言葉そのままではありません。私が勝手にまとめました。)
そうなんだ、多摩川に捨てられる猫たちは、ほとんど全部がすぐ死んでしまうし、運よくホームレスさんのところに行き着け生きられた猫も、危険と隣り合わせの生活で、短命に終わることも多いんだ・・・。捨てる人たちは、それがわかっているのでしょうか。捨てる=殺す とほぼ同じだということを。

ウメの散歩をしなくてはならないので、あまり長居できずに帰ってきましたが、また小西さんとゆっくりお話したいな、と思いました。(あるいは、小西さんがどなたかと話されているのを、聞いているだけでもいいです。当然ながら、この27年間感じてこられた沢山の思いや、沢山の考え、そして沢山の願いをお持ちなので。でも、小西さんが撮られる写真から、それらが伝わってきます。皆さんも機会がありましたら、小西さんの写真展やHPを是非覗いてみて下さい。)

実はこれまで、小西さんのブログにコメントしたり、メールを送ったり、なんやかやコンタクトしてきていた私は、拙著『日々コウジ中』『続・日々コウジ中』も送ってありました。 
すると小西さんは、その本をとても興味深く読んで下さっていて、猫のお世話から戻ったちょっとした時間にも、パラパラと開いて読んでくれているのだそうです。嬉しいなあ。 

猫世話と高次脳機能障害はあんまり関係ないけれど(根っこは同じだけれど)、宮崎の「いのちのはうす保護家」さんなど、ほかの犬猫保護活動をされている方たちにも、実は今まで配ってきました。この障害のことを少しでも知ってもらいたい、という気持ちと、私のことを知ってもらう自己紹介用として。

真夏の暑さや台風が、河川敷にいる猫たちにとって一番の脅威(もちろん、虐待する人間たちがその上をいく脅威ですが)だそうで、これからの季節はまだマシだとのこと。 でも寒い日、雨の日にも少しでも猫やホームレスさんたちが、温かく過ごせますように。1年通して、穏やかな日が1日でも多いことを祈ります。